2010年1月10日日曜日

会報かわうそ40号 2007年3月26日

会報 かわうそ 40号
  [発行責任者]  清流球磨川・川辺川を
             未来に手渡す流域郡市民の会
             会長 緒方俊一郎
             熊本県人吉市九日町36-3F 
      2007年3月26日発行 TEL/FAX0966-24-9929

◆相良村がダム反対表明!
  ダム反対集会に2300人が参加!!  
 2006年11月、川辺川ダム建設予定地のある熊本県相良村の村長と村議会が、相次いで川辺川ダム建設反対を表明しました。
 勇気ある相良村の決定を支持し、建設目的がなくなったダム計画を完全に中止させ、清流川辺川を未来に手渡すために、12月17日に「この川にダムは似合わん!」と題する大集会を開催しました。
 会場となった相良村総合体育館は、みぞれ交じりのあいにくの悪天候にもかかわらず、村民や流域住民など2300人の参加で満員となりました。
 集会では、実行委員長の緒方正明さんと、相良村議会議長の横山良継さんが挨拶。相良村議の吉松美代さんと生駒浩一さんが、スライドを用いて「川辺川・球磨川の治水案」を提案。徳島から駆けつけた、元木頭村長の藤田恵さんも応援メッセージで「木頭村でも私が村長になってはじめて細川内ダム建設が止められた」と、首長が住民とともに明確なダム反対の意思を表示することの重要性を強調しました。
 利水訴訟原告団長の板井優弁護士が、「流域住民は川辺川ダムを望まない」と題して講演。地元相良村の高校生・鮒田茜さんの意見発表につぎ、相良村長の矢上雅義さんが、「この川に、ダムは似合わない」と題して講演。相良村がダム反対に至った理由と経緯を、分かりやすく報告しました。最後に集会アピールを採択して、大成功のうちに集会は終わりました。

     2300名の参加で超満員の相良村総合体育館
       2006.12.17 緒方撮影
◆ダム推進の旗頭・福永市長逮捕!!
 福永浩介・人吉市長は3月3日、人吉球磨広域行政組合の業者選定に絡む収賄の疑いで逮捕されました。
 福永氏は、大多数の市民の意思とは裏腹に、川辺川ダム建設促進協議会の会長を長年務め、強引にダム建設を推進してきました。また、大きな事業のたびに様々な疑惑が噂されていました。
 全国的にも官製談合が問題になっており、国交省のダムなどの水門設備工事でも官製談合が認定されたばかりです。「住民のための公共工事」という基本的な精神が忘れ去られています。
 ダム推進の最大のリーダーである福永氏が逮捕されたことは、ダム推進にとって致命的な打撃です。4月の人吉市長選挙では、是非ともクリーンな市長、そしてダム絶対反対の市長を誕生させなければなりません。
◆穴あきダムは害しかない!
 球磨川流域の長期治水方針などを協議する検討小委員会が昨年4月から開かれています。2月14日に開かれた第10回検討小委員会で、近藤徹委員長が「穴あきダム」方式も検討するよう国交省に求めました。
 「穴あきダム」というと、ダム本体の底部に穴を開け、普段はその穴を川が通り抜け、何ら環境に影響を与えないようなイメージを受けてしまいますが、それはとんでもない間違いです。
 「穴あきダム」の例に挙げられる立野ダム(南阿蘇村に計画中)の放流口は、河床より高く設置されます。つまり、穴あきダムでも大量の土砂がたまるし、常時ダム湖もできるのです。
 川辺川上流部の朴木(ほうのき)砂防ダムを見ても明らかなように、穴あきダムは洪水時に大量の土砂を堆積させ、流量が減ったあと少しの雨でも堆積した土砂が溶け出し、川の濁りを長期化させます。また、下流への土砂供給が止まると、河床の岩盤がむき出しになり、河川の環境も大きく変わります。その変容は、市房ダム下流の球磨川本川を見ても明らかです。
 ダムには寿命もあります。2010年には球磨川下流の荒瀬ダムの撤去が始まります。巨大ダムは大手ゼネコンが受注しますが、河道の整備や森林の保全は地元の業者が受注できます。郷土の未来のためにも、ダムに頼らない治水が求められます。

    検討小委員会で、御用学者の真っ只中で
    国土交通省の説明責任を求める潮谷義子・熊本県知事
           2006.12.25 緒方撮影
◆会計報告(2006.9.22~2007.2.21)
│収入の部 │ 金額 │備考 │
│繰越金 │  ▲63,332│ │
│年会費・カンパ │ 332,538│グッズの売上、雑収入なども含む│
│合計 │   269,206│ │
│支出の部 │  金額 │備考 │
│郵送費 │  173,395│会報発送、資料発送 │
│交通費 │  27,975│高速代など │
│事務用品費 │  15,155│紙代、文具など │
│事務所維持費 │  287,863│家賃、電気、電話など │
│その他 │ 310,500│東京行動3回分(小委員会)ほか│
│合計 │   814,888│
(収入)269,206-(支出)814,888=▲545,682
◇東京行動が続き、赤字に陥りました。「手渡す会」は、皆様方の年会費とご寄 付のみで運営しております。2007年分の年会費(一口1000円)払込用紙を同封 させていただきました。ご支援ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。
◆4月22日人吉市長選挙に
   上原義武さん出馬表明!!
 4月の人吉市長選挙に、人吉市議の上原義武さんが、「手渡す会」など川辺川ダム反対グループの推薦を受けて立候補します。
 上原さんは、市議を連続5期務め、球磨川水系ダム問題対策特別委員会委員長などを歴任。球磨川流域のダム反対議員でつくる「川辺川ダム問題を考える議員の会」の会長も務め、ダム建設に絶対反対の立場で精力的に活動をしてこられました。
 2月7日、午後7時から人吉旅館に「手渡す会」副会長の岐部明廣さんをはじめ、川辺川ダム反対グループの代表ら25人が集まり、4月の市長選への立候補者について協議。上原さんに立候補を要請し承諾が得られたため、記者会見を開きました。
 記者会見で上原さんは「きれいな球磨川や自然を残すためにもダムを建設してはいけない。ダムは洪水には効果がない」「利水事業については、相良村が言われるように身の丈にあった事業が必要だ。川辺川ダムから水を引くよりも、人吉市は万江川用水の残った水を引けばよい」などと述べました(人吉新聞より引用)。
 清流を未来に手渡し、川辺川ダム建設を完全に中止させるには、相良村に続き「ダム建設の最大の受益地」とされる人吉市にも、私たちと志を同じくする首長を誕生させることが不可欠です。ご理解ご協力の程、よろしくお願い致します。
◆編集後記
 昨年末、東京で開かれている検討小委員会を傍聴しました。12月24日の夕方に吉村勝徳さんのワゴン車に7名が乗り込み人吉を出発。約1300kmを夜通し交代で運転し、翌朝霞ヶ関に到着。東京の会のメンバーや飛行機での上京組と合流して、小委員会を傍聴。地元とは全くかけ離れた議論に唖然としました。その夜、東京の会のメンバーと交流し、安宿に一泊。翌朝、ワゴン車で東京を出発し、人吉に帰り着いたのは真夜中でした。この小委員会を傍聴し、監視して行く必要をひしひしと感じました。事務局長の重松隆敏さんをはじめ、毎回ワゴン車で上京し、傍聴している皆さんには、頭が下がる思いです。毎回、高速代やガソリン代として、手渡す会から10万円をあてています。会費・カンパのご協力、どうぞよろしくお願いします(N.O.)