2008年10月31日金曜日

会報かわうそ21号 1998年11月30日発行

会報 かわうそ 21号     
        [発行責任者]       
         清流球磨川・川辺川を        
         未来に手渡す流域郡市民の会          
         会長 池井 良暢  熊本県人吉市新町16番地       
         1998年11月30日発行 TEL・FAX0966-24-9929


◆「川辺川ダム基本計画変更」に
     3850人が異議申し立て! 
 ~みんなの声でダム建設を中止に~
 建設省は、川辺川ダムの総事業費や工期を大幅に引き伸ばす基本計画の変更を6月9日に告示しました。これに対して「手渡す会」など各市民グループは、ダム建設の目的や規模は何ら見直されていないことから、計画変更には納得できないとして行政不服審査法に基づき異議申し立てを行いました。 皮切りは、7月29日に建設省川辺川工事事務所に提出した743人分。その後、福岡の九州地方建設局や東京の建設省本省にも続々と提出され、建設大臣に直接郵送された分も含め、異議申し立てを行った住民は3850人(事務局把握分)に上っています。
 異議申し立て書は、「ダム建設の目的は科学的な吟味を経ていないし、地域住民の意思を正しく反映してもいない」とし、異議申し立ての理由として「建設目的が喪失したダム事業に巨額の税金を投入すべきでない」「ダムは堆砂に埋まり将来災害の発生源になる」「球磨川本流の市房ダムとの統合管理は不可能」など、論点は70通り以上にのぼります。
 また、水没予定地区3人を含む42人の五木村民が異議申し立てを行ったことは、五木村民の意思が形として現れた注目すべき事実です。「五木村民に犠牲を強いるダム建設の推進は許せない」「国は五木村民のさまざまな被害・犠牲を認め、十分な生活再建策を講じよ」「ダム建設の目的はなくなり、これでは五木村民は犬死にではないか」などと村民は訴えています。
 その後、9月7日には「口頭意見陳述の申し立て書」を提出しました。前例のない事態のためか、建設省の対応は慎重そのもの。「特定多目的ダム法と行政不服審査法に基づいて審査する」と答えるにとどまっています。
     異議申立書の提出 建設省川辺川工事事務所(相良村)
     左から木本雅己さん、堀尾芳人さん、西村忠孝さん、重松隆敏さんら
       1998.7.29 緒方撮影
       異議申立書の提出 建設省川辺川工事事務所(相良村)
         1998.7.29 緒方撮影
◆手渡す会・7月~11月の出来事
98. 7. 4 建設省川辺川ダム説明会(人吉市チサンホテル)。事業に異議を
      唱える意見相次ぐ。
  7.12 公共事業のあり方を問題提起している五十嵐敬喜・法政大教授ら
      が川辺川現地調査。
  7.29 川辺川ダム基本計画変更に743人が異議申し立て。
  8. 7 異議申し立て2780人に。
  8.13 農水省が、川辺川利水事業を「公表せず再検討」していたことが
      新聞報道で明らかになる。
  8.14 川辺川利水訴訟原告団が「原告側の声も聞くべき」と抗議。
  8.20 異議申し立て3850人に。(事務局把握分)。
  8.22~ 第2回清流・川辺川現地調査(400名参加)
  9. 7 異議申し立て「口頭意見陳述の申し立て書」を提出。
  9. 8 五木村の水没2団体、新たな補償基準を建設省に要求。
  9.10 川辺川利水事業「再検討」問題緊急シンポジウム(熊本市)
  9.18 人吉市議会で、川辺川ダム建設促進と見直し陳情8件、採決され 
      ずに継続審議に。
  10. 8川辺川利水裁判・第8回口頭弁論(熊本地裁)
  10.12「川辺川ダム建設見直しの要望書」を流域首長・議会に提出。
  10.15重松事務局長ら上京し、建設・農水省に事業見直しや情報公開を
      求める要望書を提出。
  10.16シンポジウム「川を守るのは誰か」(東京)150名参加。
  11. 1国土問題研究会、川辺川現地調査開始。(主に治水問題)

◆人吉市議会関連
 9月人吉市議会において、『ダム問題特別委員会』でこれまで継続審議になっていた、川辺川ダム建設に関する8件の陳情のうち「早期着工」3件を採択、「建設見直し」5件を不採択という報告がなされ、本来であればそのまま本会議を通過するものが、本会議において数々の疑問や意見が噴出し、議会は紛糾。結局採決は行われずに一転、『ダム問題特別委員会』に差し戻されました。
 市の有権者の過半数が「ダム見直し」陳情署名を提出していたにもかかわらず、ダム促進決議が強行採決された4年前の市議会と比べれば、ようやく市民の声が議会に届き始めたとも言えるのではないでしょうか。

◆川辺川利水問題関連
 計画中の川辺川ダムから水を引こうとする川辺川利水事業の必要性を、農水省が再検討していることが8月に新聞報道で明らかになりました。この再評価システムは、昨年12月に当時の橋本首相が公共事業の効率的な執行と透明性確保を課題として導入を表明したものです。
 ところが、再評価の対象事業や審議日程さえ事前には公表しないまま、すでに結論の取りまとめにはいっているとのことです。審議過程をオープンにしなければ、住民の声は反映されず、事業者にとって都合のいい結論が出るだけです。
 農水省は「土地改良区からの意見聴取で農民の声を聞いた」と言っているとのことですが、改良区組合員は337人しかおらず、対象農家のほんの一部でしかありません。ところが、この利水事業は不要として裁判所に訴えた農家(原告団)からは、対象農家の過半数を越える2000人以上に達しているにも拘らず、意見聴取さえなかったそうです。一体、誰のための、何のための「事業見直し」なのでしょうか。
 また、10月8日の口答弁論で、農水省は死者76人から同意を取ったことを認めました。さらに、農水省は同意署名の達成ノルマを関係市町村に課していたことも新聞報道で明らかになりました。農水省が計画変更の「錦の御旗」とする同意書のずさんさは、ますます浮き彫りにされています。

◆会計報告(98、6、27~98、11、21) 
収入の部      金額       備考 
繰越金        504,019 
年会費・カンパ   788,443 グッズの売上、雑収入なども含む  
合計       1,292,462  
支出の部      金額       備考 
郵送費        151,540 会報発送、資料発送など  
紙代          24,191 会報、チラシ、資料など  
事務用品費      89,206 タックシール、印刷機インクマスターロールなど 
事務所維持費   451,715 家賃、電気、電話、コピー機、水道など 
旅費         59,800 栃木1名、高速料金など  
その他        14,700 NGOの会負担金、鍵工事費  
合計         791,152   
(収入)1,292,462-(支出)791,152=501,310円
◆今年度の年会費(1,000円)未納の方は、ご協力何卒よろしくお願い致します。カンパも大歓迎です。カンパ・会費は、下記までお願い致します。郵便振替「01970-1-27826」 「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」 

◆川辺川ダム・代替案の検討を進めよう!
 建設省は、川辺川ダムに代わる治水対策について、堤防かさ上げなど5つの対案を比較検討したとしています。「いずれの案よりもダムが最良の策だ」とのことですが、まず、治水対策のもととなっている基本高水流量が過大に設定されていると、多くの専門家が指摘しています。
 さらに、5つの案を別々に切り離して検討し、その中の1つの案のみで過大に設定されたピーク流量をカバーしようとする点が問題です。真の治水対策を考えるためには、個々の治水対策案が環境に与える影響やコストなども考慮しながら、複数の対策を組み合わせて、それらの良いところを生かせるような形で、総合的に検討すべきです。
 11月1日、国土問題研究会の上野さんらの現地調査に同行しました。川辺川合流点から上流の球磨川を、水上村までさかのぼりました。建設省が検討した「遊水地候補地」は、球磨川の連続堤防ができるまでは多くが現役の遊水地であったことや、建設省の代替案では、これら「遊水地候補地」を全て買い上げ、掘り下げることになっているので膨大なコストがかかってしまうことが分かりました。 ピーク流量を適正に設定すれば、遊水池や森林を保全して『緑のダム』を育てるなどの手段を複合的に使って、ダムなしでも治水対策はできるはずです。川辺川ダム建設中止後の『治水代替案』検討を進める時期にさしかかっています。(国土研調査の詳細は、同封の新聞記事をご覧ください)
     球磨川流域を現地調査する国土問題研究会の上野さんら
      1998.11.1 緒方撮影

「手渡す会」総会&忘年会 
●と き 12月14日(月)午後7時30分~  くま川ハウスにて 
●なかみ ・経過報告、会計報告、今後の活動方針 ・忘年会(会費500円)   
◆出欠確認のはがきや委任状など同封しなければならないところですが、正直な話、経費節減のため省略させていただきました。

◆編集後記 
 11月14・15日に「球磨川・川辺川源流水リレー」(球磨川水系ネットワーク主催) に参加しました。14日の早朝、水上村の球磨川源流に歩いて登り、源流の水を汲みました。その後、自転車、たくさんの小学生や大人達、みこし、おじいちゃん、女子高生、人力車など200人くらいの手を経て、夕方、人吉市の中川原に到着。夜は、川辺川源流から運ばれた水と合体。そして、100名程の大宴会。2日目は中川原を朝7時にカヌーで出発。球泉洞からは、またたくさんの人の手を経て、夕方、球磨川河口の水島に到着。夕日が八代海に落ち、合唱団が「組曲・球磨川」を歌う中、源流の水が八代海に放されたときは感動ものでした。のべ300人以上の手を経て、人力で源流の水を海に運ぶ。たくさんの人達が、いろんな角度から川を、そしてふる里を見つめているんだなと、深く感動した2日間でした。(N.O.)

会報かわうそ20号 1998年7月6日発行

会報 かわうそ 20号         
       [発行責任者]         
         清流球磨川・川辺川を          
         未来に手渡す流域郡市民の会       
         会長 池井 良暢  熊本県人吉市新町16番地        
          1998年7月6日発行 TEL・FAX0966-24-9929


◆あなたの声を伝えてください!
川辺川ダム事業計画に、異議申し立てを
 建設省は6月9日、川辺川ダムの基本計画変更を官報に告示しました。当初350億円だった総事業費も、これで2650億円にはね上がります。
 ダム建設の目的や規模の見直しはなされず、また、この財政難の中、熊本県の負担金も580億円(熊本県民1人あたりなんと3万4000円!)にのぼることから、「計画変更は不当」として行政不服審査法に基づき建設大臣に異議申し立てを行うことに決定しました。
 異議が認められたら、ダム建設中止に向け大きく前進できます。異議申し立てに対して、建設省は口頭審理など異議を聞く場を設け、記録も残す義務もあります。また、川辺川流域に限らず、国民全てに(未成年者でも)ダム建設に異議を申し立てる権利があります。ダム事業そのものを対象とした異議申し立ては全国でも前例がなく、ムダな公共事業の象徴として全国的運動に発展させる大きなチャンスでもあります。
※そこで、皆様方にお願いです!
①同封の異議申し立て文(A)にご賛同いただける方は、右下の「委任状」欄に署名捺印してください。(6人以上の署名が集められる方は、コピーを取ってくだされば幸いです)
②ご自分で異議申し立て文を書いていただける方は、同封の書式用紙(B)に「異議申し立ての趣旨」「異議申し立ての理由」「住所・氏名・年齢」を書かれ、捺印してください。(手書きでもワープロでも結構です)
 異議申し立ての期間は60日以内です。7月24日(金)必着で、下記「異議申し立て事務局」まで郵送してください。よろしくお願い致します。(返信用封筒などを同封すべきところですが、経費節減に何卒ご理解ください)
(異議申し立て文・送付先) 〒868-0004熊本県人吉市九日町93 木本雅己宅
      お問合せ 電話0966(22)4004

        異議申し立てを訴える、会報かわうそ20号一面


◆手渡す会・4月~6月の出来事
98. 4. 9 建設省、来年度後半に本体着工と記者発表。
  5. 2~3「川辺川リバーミーティング98withうんばば中尾」
     60艇、120人が参加。(相良村~人吉市)
  6. 7 「県民の会」総会。日本自然保護協会の横山隆一さん「川辺川を
     守る戦略と戦術」と題する講演。
  6. 9 建設省、川辺川ダム基本計画の変更を告示。「手渡す会」「県民
     の会」など、異議申し立て活動を開始。
  6.17 川辺川ダム補正予算(追加要求)がゼロ査定に。
  6.19 川辺川利水裁判第7回公判。
  6.28 「川辺川を守る福岡の会(仮称)」第1回学習会。福岡市立青年
     センターにて、26名参加。福岡でも異議申し立て活動を開始。

     「川辺川リバーミーティング98withうんばば中尾」
      カヌーデモ(胸川)  1998.5.3 緒方撮影

      「川辺川リバーミーティング98withうんばば中尾」
       前夜祭でのうんばば中尾、森徳和弁護士ら
         1998.5.2 緒方撮影

◆川辺川利水裁判・第7回公判の報告
 「本日、川辺川土地改良事業の根拠が音を立てて崩れました」国宗弁護士の感慨深い意見陳述が法廷に響き渡ると、傍聴に駆けつけた多くの人が目を潤ませました。 6月19日、熊本地方裁判所で開かれた川辺川利水裁判の第7回公判では、原告農民と弁護士、支援団体が一体となって進めてきた、対象農民への同意調書の聞き取り調査の結果が報告されました。それによると、例えば用水事業では農水省側が「事業に同意した」とする3913人に対し、不同意者が1714人となるなど、農水大臣の「3分の2以上の同意」という虚構は完全に崩れ去ったのです。 調査した対象農民の実に9割近くが、「自分の署名・捺印ではない」などの理由で同意していないことが明らかになったのです。中には、すでに死亡していた人が署名・捺印しているケースが7件もありました。 今後の課題としては、農民一人ひとりについて同意書の有効無効を確かめる根拠調べを裁判官にやってもらうことだと、板井優・弁護団長は話されました。

◆会計報告(98、4、3~98、6、26) 
収入の部      金額       備考 
繰越金       305,428 
年会費・カンパ   724,296 グッズの売上、雑収入なども含む  
合計       1,029,724  
支出の部      金額       備考 
郵送費        182,480 会報発送、資料発送など  
紙代           9,733 会報、チラシ、資料など  
事務用品費       5,912 タックシールなど 
事務所維持費   220,456 家賃、電気、電話、コピー機、印刷機、水道など 
旅費          88,306 岡山2名、講師交通費など 
その他         18,818 水源連負担金、水道工事費など 
合計         525,705 
  (収入)1,029,724-(支出)525,705=504,019円
◇ありがとうございました!
 前号の会報に、郵便振替用紙を同封させていただきましたところ、多くの皆様方から多額の年会費・カンパをいただきました。厚く御礼申し上げます。
 住所の変更や、事務局あてへのご意見などございましたなら、振替用紙の通信欄にお気軽にどうぞ。電話やFAX、お手紙でも結構です。




◆川辺川を守る戦略と戦術
 去る6月7日、「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」の総会が熊本市内で開催され、日本自然保護協会の横山隆一さんが「川辺川を守る戦略と戦術」と題した記念講演をされましたので、報告します。
 「手渡す会」の目的は、川辺川ダム建設の見直しと、川辺川の価値を知ってもらうことになっているが、そのためには「この川にダムを造ってなぜ悪い」と思っている人に、この川の価値を分からせる事が大切です。
 戦略とは、誰を味方にして誰を敵にするかを明確にする事で、戦術とはどう戦って行くか、守るものは何かをはっきりさせることです。例えば、建設推進者に対しては、今はどの手段を使って戦うのが効果があるのかを考え、味方にしたい一般市民には、こちらに注目してもらうネタには何がよいかを考えることが重要です。
 クマタカは、生態系の中で弱い(絶滅しやすい)生物であり、自然の状態が分かる指標生物です。貴重なクマタカが住んでいることは、川辺川の価値を語っているようなものです。ダム反対運動は多方面から運動を展開していく必要があるが、クマタカが子孫を再生産でき、その種が存続できるような環境を守るという点からも運動を展開していってほしい、などと語られました。



◆編集後記 
 建設省は4月9日に、1999年度後半に川辺川ダム本体工事に着手すると記者発表しました。これまでは「2001年までに本体着工する」と言っていたのを、なぜ唐突に2年も繰り上げる必要があったのでしょうか。まず2001年には、現在係争中の利水裁判も農水省側が破れ、ダム建設目的の見直しを余儀なくされているでしょう。「過大である」との指摘が大きい基本高水流量も、新河川法により実績流量から再計算しなければなりません。橋本首相の「時のアセスメント」の対象にもなるべきですし、国の財源も今以上に苦しくなるでしょう。ということは、2001年までに本体着工を引き伸ばすことができれば、ダム建設中止の可能性もますます大きくなると言えます。まずは、異議申し立てです!(N.O.)

会報かわうそ19号 1998年4月13日発行

会報 かわうそ 19号     
       [発行責任者]
         清流球磨川・川辺川を
         未来に手渡す流域郡市民の会
         会長 池井 良暢  熊本県人吉市新町16番地
          1998年4月13日発行  TEL・FAX0966-24-9929


◆川辺川ダム問題ヒヤリング
 超党派国会議員により霞ヶ関で開催! 
 超党派の国会議員でつくる「公共事業チェックを実現する議員の会」主催による、関係省庁とダム見直しNGO(住民団体)との話し合いが1月28日と3月26日に、東京・永田町の衆議院議員会館で行われました。初代環境庁長官の大石武一さんも、『清流川辺川を守る東京の会』の会長として参加されました。(このヒヤリングは、今後も継続されます)
◇第1ラウンド(1/28)
 人吉からは「手渡す会」事務局長の重松さんが上京し、市民側から14名、国会議員が9名、行政側からは建設省・農水省・大蔵省・環境庁の川辺川ダム担当者が計8名参加しました。
 市民側が事前に提出していた「すでに計画当初予定建設費を上回る1300億円を投入しているが、総事業費はいくらか」「利水事業は係争中でも事業を進めるのか」などの質問に、納得できる回答は得られずじまい。中でも、建設省が総事業費について明確な数字を示さないまま予算を計上している点について、批判が集中しました。

    第1回川辺川ダム問題ヒアリング(衆議院第1議員会館第4会議室)
          1998.1.28 東京の会撮影

◇第2ラウンド(3/26) 
 人吉からは「手渡す会」事務局長の重松さん、原さん、利水訴訟原告団長の梅山さん、漁師の吉村さんが上京しました。市民側から15名、国会議員が4名、行政側から6名が参加しました。
 今回は、地元からの実情報告、問題提起が全体を圧倒しました。まずは梅山さんが農水省のむちゃくちゃな利水事業の進め方を告発。次に原さんが「受益者」であるはずの人吉市民がダムはいらぬと署名がどんどん集まる事を報告。重松さんは昭和40年の市房ダム放流による水害の被害を説明。吉村さんは行政側の強引な事業の進め方を告発。松本先生は一目瞭然な図面によるダム付近の地質学上からの危険性を告発。これら全てが今後、建設省にとってボディーブローとなって効いてくるはずです。(2度のヒヤリングの間隙をぬう形で、建設省は総事業費を2.3倍増やし2650億円とし、熊本県議会の同意もあっという間に取り付け、4月9日には来年度後半を目途に本体着工をするとの記者発表を行いました。建設省もあせっています)

◆手渡す会・12月~3月の出来事
97.11.29 鷲見一夫教授(新潟大)が川辺川現地調査 
  12. 6 フレッド・ピアス氏(環境ジャーナリスト) 谷田一三教授(大阪府立大)
      川那部浩哉氏(琵琶湖博物館館長)が川辺川現地調査。
      忘年会(くま川ハウス)
98. 1.19 理学博士・松本幡郎氏(元熊大教授)の地質学習会開始
  1.28 第1回川辺川ダム問題ヒヤリング(衆議院・議員会館)
  2. 2 中島煕八郎教授(熊本県立大)「五木村の将来を考える」学習会  
  2.10~ ダム建設が止まった町・矢田ダム(大分県大野町)見学ツアー
  2.23 遠藤隆久教授(熊本学園大)「情報公開と直接請求」学習会
  3. 3  川辺川ダム基本計画変更について慎重審議を県議会各会派に要請
      熊本県庁前で早朝ビラ配り 
  3. 4 川辺川利水裁判第6回公判
  3.19 熊本県議会総務委員会で「川辺川ダム基本計画変更に反対」の請
      願は不採択に。県知事意見は可決
  3.24 熊本県議会本会議で同上の請願は不採択に
  3.26 第2回川辺川ダム問題ヒヤリング(衆議院・議員会館)
  4. 9 建設省、来年度後半に本体着工と記者発表

     水生昆虫の権威である谷田一三教授(大阪府立大)
     淡水魚研究の権威である川那部浩哉氏(琵琶湖博物館館長)
     を迎えての、川辺川水生昆虫観察会
      相良村権現橋下の河原にて    1997.12.6 緒方撮影 


      「ダムはムダ」の著者、世界的な環境ジャーナリスト
      フレッド・ピアス氏を迎え、満員の球磨川ハウス  
           1997.12.6 緒方撮影

         球磨川ハウスで語るフレッド・ピアス氏
            1997.12.6 緒方撮影

◆ハンコ行政が農民だます川辺川利水事業
 役所に出す書類のうち1万1570種類が、1年以内に「ハンコ不要」となるそうです。一体、何のためにハンコが必要なのでしょうか。本来は、本人と確認するためなのでしょうが、認め印などどこでも買えます。印鑑が犯罪に使われるケースもあるでしょう。
 さて、計画中の川辺川ダムから水を引こうとする川辺川利水事業は不要として、裁判所に訴えた農家(原告団)は対象農家の過半数を越える2060人に達しています。一方、被告の農水省側は対象農家の3分の2以上の同意を取得したとしながら、同意書の署名の中に本人以外による署名捺印があることを認めています。
 先日、この利水裁判の弁護士による、同意書の署名の筆跡と印鑑が本人のものであるかを確かめる確認調査に同行した際、驚きました。「これは私の署名(筆跡)、印鑑ではない」という農民が続出したのです。ということは、農水省は偽りの印鑑で、偽りの同意を取ったということになります。
 このような地道な弁護団の調査により、これまでに同意書の署名が「自分の署名(筆跡・印鑑)でない」という農民が322名、「水代はいらない」など虚偽の説明で同意させられたという農民が390名いることが、3月4日に開かれた利水裁判第6回公判で明らかになりました。農水省が事業執行の根拠としている2/3以上の同意を取り付けたという同意書の信憑性は、これで完全に崩れたことになります。

◆川辺川ダムの基本計画変更で
     総事業費2650億円に!
 建設省は、川辺川ダムの基本計画を変更するために特定多目的ダム法に基づき熊本県知事に意見を求め、3月県議会において審議されました。建設省による変更内容は、①かんがい対象面積を20%縮小する②ダムの総事業費を2.3倍増やす③工期を平成20年まで8年間延長する、の3点です。
 ダムの目的や規模は見直しもなされず、また、この財政難の中、総事業費2650億円のうち熊本県の負担金も580億円(県民1人あたりなんと3万4000円!)にのぼることから、県議会開催日の3月3日に慎重審議を求める要請を、県議会各会派に行いました。また、県庁前で早朝1500枚のビラ配りも行いました。
 また、3月13日にはダム見直しの各住民団体から「慎重審議」や「ダム建設中止」を求める10件の請願が提出されました。
 結果的には、10件の請願は全て不採択になりましたが、県議会の各会派や全議員に川辺川ダム問題を働きかける初めての機会となりました。利水裁判に勝ち、かんがい目的を完全に消し去り、再びダム基本計画の変更がなされる状況を作り出しましょう。
◆会計報告(97、11、21~98、4、2) 
収入の部      金額       備考 
繰越金        504,755 
年会費・カンパ   619,969 グッズの売上、雑収入、シンポジウム収益金なども含む  
合計       1,124,724  
支出の部      金額       備考 
郵送費        131,440 会報発送、資料発送など  
紙代          18,919 会報、チラシ、資料など  
事務用品費     17,517 タックシールなど 
事務所維持費   472,045 家賃、電気、電話、コピー機、印刷機、水道など 
旅費         142,000 東京2名、講師宿泊費など 
その他         37,375 封筒1万枚など  
合計         819,296 
  (収入)1,124,724-(支出)819,296=305,428円
◇会員拡大にご協力を!
 皆様方の資金面でのご協力に、厚く御礼申し上げます。年会費を納入された方、ハウス応援団で御協力いただいている方には大変失礼ながら、今回、郵便振替用紙を同封させていただきました。また、今後さらに活動を広げていくためにも、皆様のお近くの方に川辺川の事をお話しいただき、会員を1名増やしていただけないでしょうか。年会費(1000円) を納入された方には、会報「かわうそ」をお送りします。よろしくお願い致します。

◆ダム建設が止まった町  
    矢田ダムを見学しました!
 建設省が昨年建設を中止・休止した18のダム計画の中に、大分県・矢田ダムが含まれていました。そこで、地元・大野町の町長さんや住民団体の方との交流を含め、2月10日からの2日間にわたり現地調査を行いました。
 昭和44年、建設省は一方的に矢田ダム計画を発表しました。水没戸数は190戸。治水、都市用水(工業用水・水道用水)を目的にしています。何よりも、水没住民諸団体の徹底した反対運動が、ダム「休止」となった最大の理由のようです。また、都市用水の需要が当初の予想を大きく下回ったこと、さらに治水面でも下流域からダムを求める声は聞かれなかったことは、川辺川ダムとも類似している点でした。 結局、地元にとって28年間も振り回されてきたダムとは①人心を破壊するもの、②地域振興を著しく遅らせるもの、③ダム対策のために余計な出費を強いるもの、ということが分かりました。
         「アメリカでダムの時代は終わった」と宣言した
          アメリカ開墾局総裁ダニエル・ビアード氏
          の講演会に手渡す会スタッフ参加(福岡市)  
             1998.3.28 緒方撮影

         アメリカ開墾局総裁ダニエル・ビアード氏
          の講演会後、交流する手渡す会スタッフ(福岡市)
          1998.3.28 手渡す会撮影

◆編集後記 
 11月は、国際的な見地から河川行政に疑問を投げかけている鷲見一夫教授(新潟大) が、12月は、世界的な環境ジャーナリストであるフレッド・ピアス氏、水生昆虫の権威である谷田一三教授(大阪府立大) 、淡水魚研究の第一人者である川那部浩哉氏(琵琶湖博物館館長)が相次いで川辺川を現地調査されました。忘年会は、上のご三方をゲストに、くま川ハウスは50人の大入り満員となりました。(同封の新聞記事をご参照ください) 3月28日、福岡で「アメリカでダムの時代は終わった」と宣言された、ダニエル・ビアード氏の講演会に参加しました。95年2月に手渡した英文の文書や、96年9月の長良川デーで御覧になった川辺川の写真もよく覚えておられ、次回は是非川辺川を訪れたい、と述べられました。(N.O.)

会報かわうそ18号 1997年12月1日発行

会報 かわうそ 18号   
         [発行責任者] 
          清流球磨川・川辺川を
          未来に手渡す流域郡市民の会 
          会長 池井 良暢 熊本県人吉市新町16番地
            1997年12月1日発行 TEL・FAX0966-24-9929


◆今こそ川辺川ダム建設中止を!
 全国のダム建設見直しを進めてきた建設省は今年、全国で18のダムを建設中止や休止とすることを発表しました。長良川河口堰の運用開始を決めた際、当時の野坂建設大臣が「国家が国民の血税を使って行う公共事業に間違いはない」と言い切ってから2年、建設省の言う事は180度変わったのです。
 川辺川ダムによる利水事業は不要として裁判所に訴えた農家(原告団)は、9月3日に対象農家の過半数を越える2060人に達し、同事業は実質的に実施不能の状態に追い込まれています。また治水面でも、ダム放流による洪水や市房ダムとの統合管理、基本高水流量の過大設定などの問題点が、最近の各政党の調査でもますます浮き彫りにされています。
 このような目的が失われた川辺川ダム建設に、今後2000億円以上の私たちの血税がムダに使われるのです。次に中止すべきダム建設は、川辺川ダムです。
 五木村にとっても、村の中心地と広大な自然環境がダムに沈んでしまっては、今後の地域振興に限りなく大きなダメージを与えるのは明白です。また建設省は、中止するダム建設に投入してきた国の補助金について、地元自治体に返還を求めない方針も固めました。「立派な道路と代替地ができて、ダムはできない」のが、五木にとっても最良の道なのではないでしょうか。
 川辺川ダム計画は、水没によって生活権を奪われる五木に30年以上にわたる苦難を強いてきました。今後、ムダなダム建設に使われる私たちの血税は、五木村の地域振興に投入すべきです。これだけ条件が整ってきた今こそ、川辺川ダム建設は中止させるべきです。         第1回川辺川現地調査 川辺川河畔交流会
         1997.8.30 緒方撮影


       第1回川辺川現地調査 人吉市内パレード
        1997.8.31 緒方撮影


◆手渡す会・7月~11月の出来事
97. 7. 5 討論「九州の自然を壊す公共事業」で川辺川ダムも報告(博多)
     博多・天神で川辺川ダム問題のビラ配布。
  7. 9 矢上代議士の「川辺川ダム事業計画の見直し」要請に建設省は
      「見直さない」と回答。
  7.20 シンポジウム「諫早湾のギロチンが川辺川を狙っている」
  7.22~ 民主党が川辺川ダム問題を現地調査。
  8.10 ダム審答申1周年記念シンポ(人吉商工会議所80人参加)
  8.27 建設、農水、大蔵、環境の各省庁に川辺川ダムと利水事業見直し要請。(東京)
  8.30~ 川辺川現地調査会、研究討論会(JA球磨人吉支所200人参加)
  9. 1~ 共産党が川辺川ダム問題を現地調査
  9. 3 川辺川利水裁判第4回公判。原告と補助参加で2060人に。
  10. 4 建設省、2年ぶりに川辺川ダム事業説明会。住民から意見相次ぐ。
  10.18 中島重旗氏(熊大名誉教授)をまねき学習会。「ダムができれば川はどうなるか」(紺屋町会館30人参加)
  10.19 川辺川のアユ食い大会(中川原公園60人参加)
  11. 3 横山隆一氏(日本自然保護協会)を招きクマタカ学習会(人吉カルチャーパレス30人参加)
  11.8,9水源連大会(神奈川県)に参加。
       第1回川辺川現地調査 パネルディスカッション
        1997.8.31 川辺川現地調査報告集より


        第1回川辺川現地調査 パレードとカヌーデモ合流交歓
         人吉市水の手橋
         1997.8.31 川辺川現地調査報告集より


◆連続シンポジウム、いずれも大成功! 
◇7/20 人吉カルチャーパレスにて
 「諫早湾のギロチンが川辺川を狙っている」と題し、ムダな公共事業と環境破壊を問うシンポジウムを7月20日に開催し、約300名の参加者を得る事ができました。
 各パネラーは、「この事業でメシが食えるのは役人と土建業だけ。川辺川ダムを造らんがために農家をダシにしている」(川辺川利水裁判原告団長の梅山究さん)、「官僚は情報を隠すし、何を言っても通らない。諫早や川辺川の問題は、民主主義の問題だ」(諫早干潟緊急救済本部の山下弘文さん)、「自然破壊とは何かと何かのつながりを分断すること。ダムが建設されることで何が分断されるのか考えてみては」(日本自然保護協会の横山隆一さん)などと講演されました。
 後半は、熊本県弁護士会の竹中敏彦さんをコーディネーターにパネルディスカッション。最後に「ムダな巨大公共事業に地域住民の声を正しく反映させ、その必要性を科学的に検証し事業計画を見直す事を関係機関に求める」大会アピールを採択しました。
        シンポジウム「諫早湾のギロチンが川辺川を狙っている」
          1997.7.20 人吉カルチャーパレス 緒方撮影

        シンポジウム「諫早湾のギロチンが川辺川を狙っている」
         1997.7.20 人吉カルチャーパレス 緒方撮影


◇8/10 人吉商工会議所にて
 川辺川ダム事業審議委員会の答申1周年に合わせ、川辺川ダム事業とダム行政を考えるシンポジウムを8月10日、人吉商工会議所で開催しました。わずか2週間という短い準備期間だったにもかかわらず、会場は約80名の参加者で満席となりました。
 各パネラーは、「ダム審は住民の意見を取り入れる場でも、ダム計画の妥当性を科学的に検証する場でもなく、行政側の主張のみを取り入れ、事業継続を表明させる場でしかなかった」(手渡す会・原豊典さん)、「治水計画の問題点を指摘したが、取り上げられなかった」(ダム審に参考人として出席した毎日新聞記者・福岡賢正さん)、「ダムサイト予定地は地質に問題がある」(元熊大教授・松本幡郎さん)などと指摘。会場からも活発に意見が出されました。
 なお、開催に先立ち「手渡す会」などの地元市民グループは、建設省に担当職員の出席を求めましたが、建設省側は出席を拒否しました。
        川辺川ダム事業とダム行政を考えるシンポジウム
         1997.8.10 人吉商工会議所 緒方撮影


         川辺川ダム事業とダム行政を考えるシンポジウム
          1997.8.10 人吉商工会議所 緒方撮影



◆会計報告(97、6、21~11、20) 
収入の部      金額       備考
繰越金        443,449 
年会費・カンパ   932,636 グッズの売上、雑収入なども含む  
合計       1,376,085  
支出の部      金額       備考 
郵送費       241,068 会報発送、資料発送など  
紙代          31,174 会報、チラシ、資料など  
事務用品費      22,427 タックシールなど 
事務所維持費   438,896 家賃、電気、電話、コピー機、印刷機、水道など 
書籍購入       50,100 諫早関係、現地調査報告集など 
旅費          50,000 水源連大会、神奈川  
その他         37,665 街宣許可、旗竿、水源連会費など 
合計        871,330   
(収入)1,376,085-(支出)871,330=504,755円
■会員拡大にご協力を! 皆様方の資金面でのご協力に、厚く御礼申し上げます。今後、さらに活動を広げていくためにも、皆様のお近くの方に川辺川の事をお話しいただき、会員を1名増やしていただけないでしょうか。 年会費1000円を「郵便振替01970-1-27826 清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」までお振り込みいただいた方には、年4回程度、会報「かわうそ」をお送りします。よろしくお願い致します。


◆川辺川ダム説明会、住民の疑問相次ぐ!
 建設省は10月、2年ぶりに川辺川ダム説明会を開催した。川辺川ダム建設の「4つの目的」とされるもののうち、『発電』はダム建設により水没する、現在稼働している発電所の発電量を補うに過ぎず、『流水の正常な機能の維持』はダムのない状態が正常な川であることは明白であり、『かんがい』も、恩恵を受けるはずの農家の過半数が裁判所に異議を訴え、3つの目的は完全になくなったと言っても過言ではあるまい。残る論点は『洪水調節』だけであり、説明会もそれを中心に説明が行われた。
◇治水計画の過大な設定
 川辺川ダムは、80年に1度の確率で起こる洪水、すなわち人吉地点で毎秒7000トンのピーク流量を想定して造られるという。ところが、きちんとしたデータのある昭和29年以降、最高の流量は昭和57年の5700トン。昭和40年の大水害でさえ5000トンである。それ以降、河川改修や幼樹林の成長で洪水の起きる要因は減少しているはずである。にもかかわらず、過大な洪水を想定し、巨大なダムを造る必要はない。
◇代替案の検討も不十分
 ダム以外の5つの代替案(河川改修や遊水地、放水路など)を示し、「いずれの案よりもダム建設が最もよい」と説明していたが、それらを有機的に組み合わせれば無数の方法が考えられるはずである。「他の組み合わせ案は検討しないのか」と質問したが、検討はしないと明言した。結局、ダムを造ること自体が目的になっている。ア
メリカなどの先進国では、住民の意見をもとに何十もの案を絞り込んで行くという手法が採られているのだ。
◇市房ダムとの統合管理は不可能!
 「市房ダムとの統合管理は現時点ではできない」と建設省は明言した。
◇毎秒5160トンもの非常用放水門
 川辺川ダムには毎秒5160トンも放流できる非常用放水門があり、使用される事もあり得ることも分かった。洪水時に放流されたら下流はひとたまりもない。さらに、昭和40年水害を体験された方は「市房ダムによって引き起こされた災害だ」と
怒りを込めて述べられた。多くの疑問点を残したままダム説明会は終わった。ダム建設に対する疑問は募るばかりだ。

◆編集後記
 8月の川辺川現地調査では、各地から200人以上の参加があり、また輪が広がりました。「川辺川現地調査報告集」を、今回同封させていただきました。11月に水源連大会が神奈川で行われた際、首都圏在住の「手渡す会」会員や、川辺川ダム問題に関心を持つ方が20名近くも集まり交流会が開かれ、初代環境庁長官・大石武一さんもかけつけられたそうです。東京でも会が設立できそうな勢いです。忘年会には、世界的なダム問題ジャーナリスト、フレッドピアス氏も参加されます。本当に広がってきたなと実感できる1年でした。来年は「手渡す会」も早や6年目です。皆様、よいお年をお迎えください。(N.O.)

会報かわうそ17号 1997年6月30日発行

会報 かわうそ 17号   
       [発行責任者]
        清流球磨川・川辺川を
        未来に手渡す流域郡市民の会
        会長 池井 良暢 
           熊本県人吉市新町16番地
           1997年6月30日発行


◆木頭村・羊角湾に続こう!
 建設省は、長年地元が反対を続けてきた徳島県木頭村の細川内ダム建設を断念すると発表しました。私達は3年前、人吉カルチャーパレスで『子守唄の里・五木と清流球磨川を守る全国集会』(入場者1000人)を開催しましたが、その時のメインゲストが、村ぐるみで細川内ダム反対を取り組んでおられた木頭村長の藤田恵さんでした。藤田村長がその時、「ダム反対は地方自治を守ること」と力説されていたのが、ついに実現したのです。
 また農水省は、熊本県天草の羊角湾干拓事業を断念する方向であることを明らかにしました。木頭村と羊角湾に共通して言える事は、事業の目的がなくなった事が、はっきりと証明されたことです。これまで、ダムや干拓などの巨大公共事業が見直される事は不可能だと言われてきましたが、木頭村と羊角湾の勝利は今後の大きな転機となりそうです。川辺川も続きましょう!

          ダム本体建設予定地にて 大山さんと東さん
          1997年5月23日 小杉邦夫さん撮影

◆諫早湾や川辺川が問うものは?
 諫早湾の干拓事業は、多くの見直しや疑問の声を残したままギロチン(湾の閉め切り)が落とされました。今、国内の農地はあり余っています。減反で遊んでいる農地だけで16万5千ヘクタールもあるのに、行財政改革が叫ばれる中、膨大な税金をかけて農地を拡大する必要は全くありません。
 このたび、諫早のムツゴロウ裁判、奄美のクロウサギ裁判などの「動物の権利訴訟」などで全国で環境保護の先頭に立ってご活躍の弁護士の先生方が、7月19日から人吉で「環境法律家連盟サマーセミナー」を開催されます。その一環として、7月20日にシンポジウムを開催します。
 川辺川ダム建設による利水事業は不要として1805人(45%)の対象農民が裁判所に訴えるなど建設目的がなくなり、クマタカなどの環境への致命的なダメージも明らかになっているなど、諫早湾と川辺川に共通する問題点を、時の人・山下弘文さん(諫早湾干潟緊急救済本部・代表)ら豪華ゲストが斬ります。
 膨大な税金と農家の負担の上に貴重な自然環境を破壊することは、もうやめにしましょう。川辺川の場合、それは十分可能です。多数のご参加をお願いいたします!(同封のチケットは当日精算でお願いします)
           「諫早のギロチンが川辺川を狙っている」のプログラム
            1997.7.20 人吉カルチャーパレスにて

◆手渡す会・4月~6月の出来事
97. 4. 7 「河川法改正をめぐるシンポジウム」で川辺川ダムを報告(東京)
  4. 9 ダム本体着工中止を各政党に要請(重松事務局長ら上京)
  4.17 「川辺川利水訴訟を支援する会」発足(熊本市)
  4.20 相良村村議選挙(ダム反対・見直しの新人2名当選)
  4.26 「守ろう川辺川、リバーミーティング97with野田知佑」前夜祭250名参加
  4.27 カヌーデモ(くま川下り発船場前)120艇参加

  5.21 利水裁判第3回公判、新たに618農家が補助参加(計1805名に)
  5.22 県庁と川辺川工事事務所に仮排水路着工中止申し入れ
  5.23 バイパス工事安全祈願祭に抗議(相良村・ダムサイト予定地) 
  5.25 県民の会シンポジウム(熊本市)、源流水リレー

  6. 9 矢上代議士が「川辺川ダム事業計画の見直し」を建設省に要請
  6.12 五木村水没予定者の95%が村内移転希望と明らかになる
       カヌーデモ(くま川下り発船場前)120艇参加
        1997.4.27 緒方撮影
       カヌーデモ(くま川下り発船場前)120艇参加
        1997.4.27 緒方撮影

◆変わる情勢、あせる建設省!
 諫早湾などムダな公共事業への風当たりが全国的に高まる中、ダム建設予定地の相良村では4月20日の村議会議員選挙で、ダム反対・見直しの新人2名が当選し、最もダム建設促進の立場をとっていた現職が落選しました。5月21日の利水裁判第3回公判では、新たに618人もの農家が補助参加に加わり、ダム建設の目的のうちの1つは、完全に崩れようとしています。
 こうした中、建設省は5月23日にダム本体着工の前提となる仮排水路トンネル工事の安全祈願祭を行いました。これまで代替地の着工式などは、元巨人軍の定岡投手やダークダックス等をゲストに大々的に行われていたのが、今回は「着工式」ではなく、わずか10名程度の「祈願祭」だったことは、建設省もおおっぴらに工事を進められなくなった事の証しとも言えましょう。
 平日にも関わらず多数の市民が抗議に駆け付けましたが、たくさんの報道陣が取材し、多くのマスコミが諫早湾と同様、事業強行への疑問をコメントしていました。このトンネル工事が中止となる日が必ず来ます!
      仮排水路トンネル工事安全祈願祭に抗議(相良村・ダムサイト予定地)
       木本さん、原さん、藤原さん、東さんら
       1997.5.23 小杉邦夫さん撮影

      仮排水路トンネル工事安全祈願祭に抗議(相良村・ダムサイト予定地)
       木本さん、西村さん、東さん、岡さん、橋田さん、川部さんら
       1997.5.23 小杉邦夫さん撮影

◆五木村の生活再建と
    ダム計画は切り離せ!
 6月9日、地元(熊本5区)選出の衆議院議員・矢上雅義氏は建設省に「川辺川ダム事業計画の見直し」を求める要望書を提出しました。その3日後、ダム建設によりこのままでは水没してしまう世帯の95%の方が五木村内に残ることを希望と報道されました。五木村の生活再建とダム計画は、切り離して考えるべきです。
 川辺川ダム建設の目的は全て喪失しているにもかかわらず、建設省は今後、川辺川ダムの仮排水路トンネル工事に3年、ダム本体工事に5~7年かかると言っています。しかし、それまでに日本の財政は破綻するほど危機的な状態です。川辺川ダム本体の工事に今後、2000億円以上もの私たちの貴重な税金が投入されるのです。ダムは100年で土砂に埋まり使えなくなります。ダム撤去を始めた国もあるのです。
 五木村の財産は、何と言っても川辺川の清流をはじめとする豊かで、子守唄の里の雰囲気を醸し出す頭地地区の自然環境です。それら貴重な財産をダムに水没させることは、次の世代にとっても取り返しのつかない損失となります。ダム予算は、ダム計画により長期間苦難を強いられた五木の生活再建に全て投入すべきです。

◆会計報告(97、4、5~6、20)
収入の部      金額       備考 
繰越金        267,562 
年会費・カンパ   569,156 グッズの売上、雑収入等も含む 
合計         836,718  
支出の部      金額       備考 
郵送費        96,075 会報発送、資料発送など  
紙代          23,292 会報、チラシ、資料など  
事務所維持費    168,313 家賃、電気、電話、コピー機など 
書籍購入       75,600 国が川を壊す理由50冊  
その他         29,989 灯油、環境ネットワーク熊本負担金、のぼり製作 
合計         393,269   
(収入)836,718-(支出)393,269=443,449円
◇会員拡大にご協力を!
 会員の皆様の会費やカンパと市民の皆様の浄財により、「手渡す会」もほぼ黒字会計を保つことができるようになりました。厚く御礼申し上げます。今後、さらに活動を広げていくために、皆様のお近くの方に川辺川の事をお話しいただき、会員を1名増やしていただけないでしょうか。
 年会費1000円を「郵便振替01970-1-27826 清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」までお振り込みいただいた方には、年4回程度、会報「かわうそ」をお送りします。よろしくお願い致します。


◆絶滅危惧種・クマタカが生息する
   川辺川の自然を守ろう! 
 川辺川ダム建設計画による391ha(甲子園球場260個分)もの広大な水没予定地とその周辺は、クマタカなどの絶滅危惧種も含む2754種もの多様な生物種の生息が確認されている自然の宝庫です。特に、川辺川の水生昆虫の豊かさが出発点となり、他の魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類の豊かさを支えています。クマタカはこの生態系の頂点に立つものであり、豊かな生態系(自然環境)のシンボルともいえます。
 建設省は、ダムサイト予定地から3km以内のところにクマタカの営巣地があり、周辺に6羽が生息していることを確認しながら、川辺川ダム計画を「公正に見直す」はずの審議委員会に報告していなかったことが昨年8月、大きく報道されました。これに対し昨年10月、人吉市で「クマタカを守る会」が結成され、市民による川辺川ダムサイト予定地付近におけるクマタカの生息調査が開始されました。
 今年6月までの20回近い調査で判明したことは、ダムサイト予定地付近の藤田谷周辺に少なくとも4個体以上のクマタカの生息を確認し、ダム本体の骨材採取地として山ごと破壊される計画となっている原石山から少なくとも1km以内のところにクマタカの営巣地が存在する可能性が非常に大きいことを確認しました。川辺川ダム本体工事が開始されると、藤田谷付近のクマタカの生息は不可能となると断言できます。
 にもかかわらず建設省は、クマタカに関する情報もほとんど公表しないまま、ダム建設を急ごうとしているのです。川辺川流域は、県内に残された数少ないクマタカが生息できる貴重な自然環境です。次の世代のため、人類のために、この貴重な川辺川を未来に手渡しましょう!(あなたもクマタカを見に行きませんか。月2回ほどクマタカの生息調査を行っています。連絡先0966-23-4530東まで)

◆編集後記 
 ちょっと古い話ですが、昨年の11月、Hさんと2人で諫早で開かれた「九州住民運動合宿交流会」に参加しました。メインテーマは、もちろん諫早湾問題。湾が締め切られる前の干潟は素晴らしかった。ヒチメンソウで一面が真っ赤でした。ところが、取材にきたマスコミはほとんどゼロ。ギロチンが落とされてから、各マスコミも怒濤のように諫早を取り上げていますが、もっと早い時点から問題点を指摘し、警鐘を鳴らすのがジャーナリズムの責務ではないでしょうか。川辺川は、どんなにうまく工事が進んでもギロチンが落とされるまで10年以上かかります。気長に楽しく、私たちの貴重な財産を守っていきましょう。(N.O.)

会報かわうそ16号 1997年4月14日発行

会報 かわうそ 16号 
       [発行責任者] 
        清流球磨川・川辺川を
        未来に手渡す流域郡市民の会  
        会長 池井良暢 
          熊本県人吉市新町16番地
          1997年4月14日発行



◆川辺川利水裁判の勝利が見えてきたぞ!
 川辺川ダム建設による利水事業をストップさせるため、866戸の農家らは昨年6月、農水大臣を相手取り行政訴訟を起こしました。今年2月26日に行われた第2回目の公判では、さらに321戸の農家がこの裁判に補助参加しました。
 つまり、合計1187戸もの農家がこの利水事業は不要として司法に訴えた事になります。原告と補助参加の合計が4000戸の対象農家の3分の1以上に達すれば、この裁判は勝利します。土地改良法によって事業を進めるには、3分の2以上の同意が必要だからです。
◇農家が裁判を起こした理由(原告の農民や弁護士さんの発言から)
①この利水事業が強行されたら、賛成の人も反対の人も、対象地に農地を持っているだけで膨大な負担金を払う義務を背負うことになる。
②行政が農家へ同意の印鑑を取る時、錯誤や虚偽の説明による例が多数ある。
③現在使用している水利権は取り上げられる。
④この利水事業に対する農家の「異議申し立て」を、行政は「理由がない」 と決めつけ、事業を強行しようとしている。
 この裁判に勝利すると、川辺川ダムは基本計画から見直されることになります。5月21日に行われる第3回目の公判では、さらに多数の対象農家の補助参加が予想され、農水省の事業推進が違法状態になるのは確実です。 このような状況を広く訴えるために、4月9日には「手渡す会」ほか5団体の代表が上京し、自民、新進、民主など6政党に「川辺川ダム本体着工の中止を求める要請書」を提出しました。
◇川辺川利水裁判・第3回公判
 とき  5月21日(水)午後1時30分 
 ところ 熊本地方裁判所101号法廷   
 原告団連絡先 〒868 熊本県球磨郡相良村柳瀬94 梅山究
    電話0966(24)7236  多数の傍聴参加をお願いします。  

        川辺川利水裁判、第1回口答弁論 門前集会(熊本地裁)
         1996.12.4 小杉邦夫さん撮影


◆手渡す会・11月~3月の出来事
96.11.17  「クマタカを守る会」川辺川流域のクマタカ生息調査を開始。
  11.25  「手渡す会」総会と忘年会(くま川ハウス)
  11.29  人吉市議会OBがダム見直し陳情を市長と市議会に提出。
  12. 1  「県民の会」が熊本市で第1回シンポジウムを開催。
  12. 4  川辺川利水裁判、第1回口答弁論。原告農民12人が陳述。
  12.20  建設省本省など3省庁に、川辺川ダム建設中止を要請。
  12.30  第3回「ちょっとまて川辺川ダム、清流リレーマラソン」 
         (五木村~人吉市~八代市、30名参加)
97.2.21  「事業中の川辺川ダム建設などにさかのぼって適用できる環境
       アセス法制化を求める要請書」を環境庁長官に提出。
  2.24  建設省に、仮排水路工事の中止を要請。
  2.27  川辺川利水裁判、第2回口答弁論。原告866人に加え、321人の
       農民が補助参加を申し立てる。
  3.24  福岡県星野村、真名子ダム反対集会に参加。

◆役立たずの川辺川ダムに血税を使うな!
 「ダムは広大な自然環境を破壊するけど、水道水や発電など生活に役立つから、川辺川ダムができるのはしょうがない」と思っている人も多いようです。しかし、川辺川ダムの水は水道水に使われるわけではありません。
 31年も前(昭和41年)に発表された川辺川ダムの目的は、治水・かんがい・発電ですが、河川改修と幼樹林の成長などにより近年洪水が起こることはなくなりました。反対に、大雨の時ダムを守るための放水により、下流の洪水がかえって大きくなり被害を拡大した例が全国にいくつもあります。川辺川ダムができると、人吉市など下流域は市房ダムとの同時放流による大洪水の危険にさらされます。
 また、かんがい事業は不要として866戸の農家らは行政訴訟まで起こしており、発電に至っては水没などにより閉鎖が考えられる4つの発電所の合計発電量をも川辺川ダムの計画発電量は下回るのです。つまり、計画発表から31年もの間にダム建設の目的は全てなくなっているのです。
 水没地・五木村民の方々はダムによる最大の被害者ですが、下流の住民もダムによる洪水や環境破壊の被害者なのです。「下流域のために水没地・五木村が苦渋の選択をされたのだから、立派なダムを造らねばならない」というのがダム建設推進の錦の御旗になっているようですが、下流の住民も多数反対しており、ダム建設の目的がなくなっているのですから、ダム建設は見直されるのは当然です。
 川辺川ダムの付け替え道路建設、移転補償などにすでに1100億円の税金が投入されています。日本国民全員が1000円もの支出を強いられたことになります。今年度も95億円もの予算が付いており、この財政難の中、今後も天文学的な国家予算が不毛な事業に費やされることを、納税者として許す事はできません。おまけに、ダムは土砂に埋まっていき、ダムの寿命は100年と言われています。
 現行法では事実上、官僚の独断でダム計画がつくられ、何百兆円という事業が国会のチェックなしに動くという異常な事態が続いています。しかし、建設省は昨年12月、3つのダム事業を中止させることを発表しました。住民の力が、熊本県知事が戻せなかった「時計の針」を元に戻したのです。
 また、建設省は川辺川ダムの河道変更工事に3年、ダム本体工事に5~7年かかると言っています。うまく行っても、今後ダム本体工事が終わるまで10年以上、ダム運用までにはさらに何年もかかるはずです。ダム見直しは今からが本番です。

◆守ろう川辺川!
   リバーミーティング97with野田知佑
   ~4月26日(土)前夜祭・27日(日)カヌーデモ
 カヌーイストの野田知佑さん、テレビでおなじみの、うんばば中尾さんも駆け付けます。前夜祭ではコンサートも予定しています。おおいに語り合い、楽しみましょう。4月27日は、カヌー初心者ミニスクールも行いますので、カヌーを持たない方、初めての方でもどしどしご参加ください。スタッフも大募集中です。           ストップ川辺川ダム!!カヌーデモ(人吉市)
           1997.4.27 緒方撮影

◆会計報告(96、10、26~97、4、4) 
収入の部      金額       備考 
繰越金        190,729 
年会費・カンパ   874,729 グッズの売上、雑収入等も含む 
合計       1,065,458  
支出の部      金額       備考 
郵送費        164,245 会報発送、資料発送など  
紙代          16,911 会報、チラシ、資料など  
事務用品費      71,425 文具、印刷外注費など 
事務所維持費   451,075 家賃、電気、電話、コピー機、印刷機、水道など 
旅費          43,560 水源連シンポ、高速道路など  
その他         50,680 灯油、県民の会負担金、VTR代など  
合計         797,896
  (収入)    (支出)
 1,065,458-797,896=267,562円
今回、郵便振替用紙を同封させていただきました。年会費1000円未納の方は、ご協力よろしくお願い致します。カンパも大歓迎です。

◆5月25日(日)2つのイベント同日開催!
 5月21日に行われる川辺川利水裁判の第3回公判では、さらに多数の対象農家の補助参加が予想され、川辺川ダム建設の大きな目的は完全に覆されることになります。ところが、このような利水事業に対する裁判が行われている中、また、膨大な財政赤字を抱え公共事業の見直しが政府内でも議論されている中、建設省は、川辺川ダム本体着工の前提となる仮排水路トンネル工事に5月末にも取りかかろうとしています。それを許さないため、また山・川・海のつながりを訴えるために、2つのイベントが計画されました。

◇県民の会シンポ「巨大なムダ 川辺川ダムは誰のため?」
~ダムの水はいらん!ダムもいらん!

◆場所 熊本市大江市民センター
◆時間 午後1時~4時     
◆主催 子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会 
           (連絡先・川本096-365-3836)
 県民の会の第2回目のシンポジウムを、福岡県八女郡星野村の村長さんを招いて開催します。大分県境の奥八女に位置する星野村では、昭和46年に星野川下流の上陽町に「真名子ダム」建設計画が打ち出されましたが、同村一部が水没する事もあって、村あげてのダム反対運動が展開されています。
 また、パネルデイスカッションでは、本来はダムの「受益者」である多数の農民が、なぜダム不要の裁判に立ち上がったのかを明らかにします。

◇球磨川・川辺川源流水リレー 
◆主催 球磨川水系ネットワーク(連絡先・佐藤0966-24-5631)
 九州一の清流川辺川。そして、日本三大急流にも数えられる本流の球磨川。この2つの源流から汲んできた水と、流域各地からもらったメッセージをたずさえて、マシンを使わずに、人力(徒歩、カヌー、自転車など)で源流から八代海まで運びます。また、その途中の要所要所で企画のスピリッツを示すセレモニーを実施します。参加者には、山や川や海そしてふるさとへの思いを自由に表現してもらいます。運営はボランティアで行い、労力や費用一切は、この企画に関わる人たちの手弁当です。(詳しくは同封のちらしをご覧ください)

◆編集後記
 川辺川ダム水没予定地は、絶滅危惧種のクマタカをはじめ2754種の動植物が分布する、生物の宝庫です。去る2月9日、「クマタカを守る会」の調査にはじめて参加しました。思いはあってもそう簡単には出会うことはできないだろうと想像していましたが、ダム予定地からわずか500m上流の山の上を、4羽のクマタカが同時に舞う姿を確認しました。川辺川の自然は絶対になくしてはならない貴重な財産である事を再確認しました。(N.O.)

会報かわうそ15号 1996年11月18日発行

会報 かわうそ 15号  
     [発行責任者] 
        清流球磨川・川辺川を未来に手渡す
        流域郡市民の会  会長 池井良暢
         熊本県人吉市新町16番地 
           1996年11月18日発行

◆熊本県弁護士会が「川辺川ダム事業の
   再評価が必要」との意見書まとめる
 川辺川ダム事業について、県弁護士会・公害対策環境保全委員会(竹中敏彦委員長)は10月28日、環境への正しい評価と住民への情報を公開した上で事業を再評価すべきだとの意見書をまとめ、建設省や環境庁、県、流域自治体など関係機関に提出しました。
 この意見書は「手渡す会」など地元のダム建設見直しを求めるNGOの依頼を受け、2年におよぶ現地調査などを元にまとめられたものです。五木村については「ダムに頼らぬ地域活性策を、全県民の知恵と経験を傾けて模索する時が来ている」と述べています。竹中委員長は、「調査を進めるなかで、建設省が主張している建設の目的で肯定できるものは何もなかった。ダムをつくること自体が目的になっている」と話しています。

       川辺川ダム事業審議委員会への抗議
        熊本市チサンホテル 1996.8.10 緒方撮影

◆住民不在の川辺川ダム審答申
 建設省が「川辺川ダム計画を見直す」という名目で昨年設置した川辺川ダム事業審議委員会が8月10日に出した答申は、全国各地の審議委員会の答申と同様に「事業継続」でした。委員12名のうちの過半数が事業推進の立場を取る行政関係者であることからも、委員会設立当初からその結論は十分予想できるものでした。
 建設省は、選挙で選ばれた住民の代表である知事に審議委員会の人選を依頼し、住民の意見を聞く場となるよう配慮したとしています。しかし、対象農家の約3分の1がダムからの水は不要として異議を唱え、850戸もの農家の方が裁判闘争まで起こしている川辺川利水事業。そして、人吉市の有権者の過半数を大きく上回る1万9千名の市民がダム計画の見直しを求める陳情署名をした事実は、委員構成にも、答申の内容にも全く反映されませんでした。
 ダム事業審議委員会の問題点が明らかになるにつれて、県内の多くの自然保護団体がダム建設に対する懸念を表明し、「川辺川ダム建設中止」を申し入れた球磨川漁協の声も握り潰されてしまいました。
 さらに、「治水」「利水」などにおけるダムの必要性の検討でも、行政側の主張をそのまま採用しており、住民側が指摘した問題点は黙殺されたと言っても過言ではありません。
 非常に残念だったのが、福島知事が「30年経過し、大局的な判断が必要だった」と述べていることです。ダムの寿命は長くて100年。なぜ、社会情勢は激変しているのに30年も前の計画をそのまま継続させるのが大局的な判断なのでしょうか。
 公共事業を、事業者自らが設置した機関で見直すこと自体が不可能です。住民投票制度など、住民の意思が直接反映できるシステムをつくるべき時がきているのではないでしょうか。
        川辺川ダム事業審議委員会への抗議
         熊本市チサンホテル 1996.8.10 緒方撮影
         川辺川ダム事業審議委員会への抗議
          記者会見する手渡す会の木本さん、原さん
          熊本市チサンホテル 1996.8.10 緒方撮影

◆五木村がダム本体着工に同意…
    私たちの活動はこれからが本番!
 建設省が設置した川辺川ダム事業審議委員会が「ダム建設継続は妥当」との結論を建設省に答申してわずか2か月後の10月11日、ダム水没予定地の五木村と相良村は建設省と「ダム本体着工に伴う協定書」に調印しました。
 30年にわたり、ダム問題による苦難を強いられた五木村当局は「ダム着工やむなし」との結論を選ばざるを得なかったとも言えるでしょうが、ダムにより被害をこうむるのは上流も下流も同じです。「ダムの受益者」とされている人吉市民や農家が多数反対していて、ダム建設の目的がなくなっているのですから、見直されるのが当然です。
 また、この財政難のおり、目的のなくなったダム建設に巨額の国費を投入するのは、次の世代にも大きな負担を強いることになります。長良川河口堰も、本体着工してから全国的な問題としてクローズアップされるようになりました。最近、川辺川ダム問題も急速に各界・各層にも取り上げられるようになりました。私たちの活動は、これからが本番です。

◆手渡す会・8月~10月の出来事
8/7   「川辺川ダム事業審議委員会の廃止と川辺川ダム本体建設凍結
      を求める要請書」を九地建に提出。(福岡市)
8/9   「森が歌う日魚が帰る」上映会。(人吉カルチャーパレス)
8/10  川辺川ダム事業審議委員会、「ダム建設継続は妥当」との結論
      を建設省に答申。「ダム審解散要求書」を提出。(熊本市)
8/12~ (財)日本自然保護協会の保護部長・横山隆一氏、川辺川ダム
      問題の現地調査。(人吉市~五木村)
8/16~ 小杉邦夫写真展「川が育むふるさと~川辺川の人と自然」
8/20  「美しい球磨川を守る市民の会」が八代で発足。
8/21  「川辺川ダム事業審議委員会の答申を無効とすることを求める
      要請書」を九地建に提出。
8/25  「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」が熊本
      市内で発足。

9/11  川辺川流域のクマタカの保護に向け、県に関係省庁への働き掛
      けを要請。(熊本県庁)
9/14~ 「96国際ダムサミットin長良川」に参加。(三重県長島町)
9/23  「清流・川辺川を見に行こう」自然観察会。(相良村権現橋)
9/26  ダム建設の情報公開を九地建に要請。(福岡市)

10/11 五木村、相良村が県、建設省と川辺川ダム本体着工に同意。
10/26 熊本県保険医協会が「ダムと環境」をテーマにシンポジウム。
10/28 熊本県弁護士会が、川辺川ダム建設について「事業の再評価が
      必要」との意見書をまとめる。
         「96国際ダムサミットin長良川」に参加
           1996.9.14 緒方撮影
          「96国際ダムサミットin長良川」に参加
           ダニエルビアード氏、フレッドピアス氏らと歓談する
           手渡す会の木本さん、緒方さん
           1996.9.14 緒方撮影

◆「手渡す会」総会&忘年会 
とき  11月25日(月)午後7時30分~ 
ところ くま川ハウス(人吉市新町) 
なかみ ・経過報告  ・今後の活動方針について      
     ・忘年会(会費1000円) 
◇出欠確認のはがきや委任状など同封しなければならないところですが、正直な話、経費節減のため省略させていただきました。

◆会計報告(96、7、21~96、10、25) 
収入の部      金額       備考 
繰越金       153,962 
年会費・カンパ  475,449 グッズの売上、雑収入等も含む 
合計        629,411  
支出の部      金額       備考 
郵送費       92,845 会報発送、資料発送など  
紙代        16,975 会報、チラシ、資料など  
事務用品費     33,725 文具、印刷外注費など 
事務所維持費   288,787 家賃、電気、電話、コピー機、印刷機、水道など 
旅費         4,350 審議委員会への申し入れ高速道路代など 
その他        2,000 県自然保護団体等協議会負担金など 
合計       438,682  
  (収入)    (支出)  
629,411-438,682=190,729円
◇年会費 1,000円未納の方は、ご協力よろしくお願い致します。カンパも大歓迎です。カンパ・会費は、下記までお願い致します。郵便振替「01970-1-27826」 「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」 

◆農家に訴えられた川辺川利水事業
      初公判は12月4日!
 12月4日午後2時から、熊本地裁101号法廷で、866戸の農家らに訴えられた川辺川土地改良事業に関わる裁判の初公判が行われます。川辺川利水事業は、この裁判が結審しなければ計画決定も工事着工も、法律的にできません。その事はダム建設全体にも大きな影響を与えます。多数の傍聴参加をお願い致します。

◆「子守唄の里・五木を育む清流川辺川
  を守る県民の会」が発足しました!
 日本のふるさとである五木村が、目的を失ったダム計画のために湖底に沈むということに強い疑問を抱き、また、川辺川が、完全に自然な川としては九州で唯一の清流であるということを県民及び国民の皆様に広く知ってもらいたい。という趣旨のもとに、子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会(代表・國徳恭代さん)が8月25日に熊本市で発足しました。
 発足以来、関係諸機関への要請や話し合い、自然の中でのイベントなど多彩な活動を繰り広げておられます。これまでの「手渡す会」の活動とはひと味違った、例えばパソコン通信を使った広報活動やネットワーク造りを積極的に行っておられます。
 今回、県民の会の会報を同封させていただきました。この会報も、すべてスタッフのパソコンを使っての手づくりだということです。今後のイベントなどにも奮ってご参加をお願いします!              
◆編集後記 
 8月20日の朝日新聞一面に、建設省がダム審にクマタカ営巣地の存在を報告していなかったことが大きく取り上げられました。その後、八代や熊本市内でダム計画を見直そうとするNGOが結成されたり、球磨川漁協がダム本体建設反対を表明したり、県内の多くの自然保護団体がダム建設に対する懸念を表明したり、弁護士会が意見書をまとめたり、保険医協会もダム問題を取り上げたりと、川辺川ダム建設に対する疑問の声は大きく広がりつつあります。継続は力なりですね。(N.O.)

会報かわうそ14号 1996年7月29日発行

会報 かわうそ 14号 
      [発行責任者] 
       清流球磨川・川辺川を未来に手渡す
       流域郡市民の会  会長 池井良暢 
        1996年7月29日発行


◆国営川辺川総合土地改良事業
     農家など866戸が裁判闘争へ!
 農水省は、川辺川ダム建設による利水事業(国営川辺川総合土地改良事業)は不要として異議を申し立てていた1144戸もの農家の異議申し立てを3月29日に棄却しました。この利水事業の問題点をまとめると…
①この事業にかかる農家の負担金のうち、県営の分はいくらになるのか明らかにされていません。明らかにしないのは、その金額が高すぎて農家が事業に参加しなくなるのを農水省は恐れているからです。
②農家をだますような同意取得の例が、昨年3回開かれた口頭審理の席上でも多数、明らかにされています。
現在農家が持っている水利権は、川辺川利水事業に参加させられた時点で取り上げられてしまいます。その事も農家は知らされていません。
 以上のような理由で6月26日、農家など866戸が農水大臣を相手に「棄却取り消し」を求める行政訴訟を熊本地裁に起こしました。このような多数の農家の方々が国を相手に裁判を行うのは前代未聞の事です。
 土地改良法によると、対象農家(4000戸)の1/3が事業への不参加を表明すれば、土地改良事業は中止となり、ダム建設は基本計画からやり直しとなり、ダム建設自体にも大きな影響を与えます。カンパや新聞への投書などでのご支援、よろしくお願いします。
              熊本日日新聞 1996.6.27

◆(財)日本自然保護協会
    川辺川ダム問題現地調査にはいる!
 昭和26年の発足以来、わが国の自然保護運動の理論的支柱をなして来た(財)日本自然保護協会の保護部長・横山隆一氏が8月13日、川辺川ダム問題の現地調査を行います。ダムによる水没予定地一帯には、絶滅危惧種のクマタカやヤイロチョウをはじめ、2711種もの貴重な動植物が分布しており、今後も引き続き同協会による本格的な調査が行われる予定であり、大きな反響を引き起こすことは必至です。
 また、前夜にはくま川ハウスにて清流川辺川を生み出す脊梁山地の現状およびダム問題など、いかにしたら清流川辺川を守れるか、横山氏を囲み語り合います。多数のご参加をお願いします。(同封のチラシをご参照ください)
 (財)日本自然保護協会とは… 昭和24年の尾瀬が原の水力発電計画、昭和26年阿寒国立公園雌阿寒岳頂上の硫黄採掘が問題になったのを機会に、全国的な自然保護運動の必要性が痛感され、任意団体として発足しました。その後、急速なわが国の経済発展に伴い、自然保護運動の緊要性が増したため、昭和35年、財団法人となり今日に至りました。(『自然保護ハンドブック』より一部引用)
           1996年夏 川辺川 小杉邦夫さん撮影
            「激流に遊ぶ」

◆国土問題研究会も現地調査
    川辺川ダム建設の見直しを提案!
 川辺川ダムの治水計画について、民間の調査研究機関・国土問題研究会(志岐常正理事長)の上野鉄男氏(専門・河川工学)は、4月13日から3日間、ダムサイト予定地などの現地調査を行いました。
 4月15日夜、くま川ハウスにて行われた説明会には、市民や市議ら約30人が参加。上野氏は川辺川ダムの洪水調節の根拠となるピーク流量の設定について「昭和40年の大水害の降雨量のみを使い、架空の地域別降雨パターンを設定して算出しているため過剰な値が出ている。過去のデータ全てを反映させるべきだ」と指摘。
 さらに同氏は、ダムの洪水調節の難しさを実例を上げながら説明し「ダムは最後の手段とすべき。川辺川は遊水地や放水路などダムに頼らない総合的な治水事業が可能ではないか」などと述べました。
           1996年夏 川辺川 小杉邦夫さん撮影
            「川辺川には日本各地からカヌーイストが集まる」


◆手渡す会・3月~7月の出来事
3/25  川辺川ダム事業審議委員会(以下略称『ダム審』)の第4回委員会。「治水専門委員会を設置して適切な計画高水流量の再設定と対案の組み合わせ計画の策定を求める要望書」を提出。
3/29  第15回日本環境会議「美しい自然を未来に」(熊本市にて開催)で、川辺川ダム問題が大きく取り上げられる。
3/29  農水省は、1144戸もの農家が川辺川ダムによる利水事業は不要として提出した「異議申し立て」の棄却を決定。
4/13  国土問題研究所(志岐常正会長)の上野鉄男氏が川辺川ダムサイト予定地などの調査に人吉入り。
4/27  ダム審の第5回委員会。「川辺川ダム事業審議に関する要望書」を提出。
6/2   ダム審の第6回委員会。環境に関する要望書を提出。
6/26  国営川辺川総合土地改良事業の「異議申し立て棄却」の取り消しを求めて、関係農家ら866人が農水大臣を相手取り、行政訴訟を熊本地裁に起こす。
6/30  ダム審の第7回委員会。実質審議に入ったと報道される。「これまでに提出しました『申し入れ書』『要望書』『資料』などの真摯な審議を求める要望書」を提出。
7/13  ダム審の第8回委員会。「抗議文」を提出。8月の審議委員会で答申案を決定すると報道される。
7/21  理学博士の松本幡郎氏、熊本生物研究所の甲守崇氏を球磨川ハウスにお迎えし、学習会。
            1996年夏 川辺川 小杉邦夫さん撮影
             「高さ11mの橋げたより飛び込む」



◆川辺川ダム事業審議委員会、
         8月に答申案を決定
    誰のための審議委員会なのか?
 30年も前に、国により一方的に立案発表され、現在その必要性が問われ、いまだダム本体工事には着手されていない川辺川ダム計画を中立・公正な立場で見直すという名目で、建設省は昨年「川辺川ダム事業審議委員会」を設置しました。審議委員会は川辺川ダム事業に対し『継続』『見直し』『中止』のいずれかの答申を出すことになっていますが…
①12名の委員を事業促進の立場をとる県知事が推薦しており、12名の委員のうち7名までが事業促進の立場を取る行政・議会関係者となっている。例えば人吉市では、約4万名の人吉市民のうち約1万9千名もの市民がダム見直しの陳情署名に応じたというのに、これでは地元住民の意志は全くダム事業に反映できない。
②地域住民の声を事業に反映するという趣旨とは裏腹に、度重なる住民の要望にも関わらず、住民の傍聴さえ認めていない。
③多数の地元農民が事業に反対して国相手に訴訟を起こした「国営川辺川総合土地改良事業」について、審議委員会の席上、農水省は「ダムによる方法が最適だ」などと説明し、江藤委員長は記者会見で「今後の審議は農水省が出した見解を前提として考えて進めていきたい」と語った。多数の農民の声も聞かず、現地調査もせずに、行政の一方的な見解だけを判断材料にしている。同様に、治水対策などについても、建設省の一方的な説明だけを判断材料にしている。
 以上のような点を考えれば、審議委員会の答申を待つまでもなく、川辺川ダム事業審議委員会は、事業促進のお墨付きを与えるために建設省が設置したとしか言えません。審議委員会の答申後も、「目的がなくなったダム建設を見直し、子供達に豊かな自然を手渡そう」という私たちの運動に変わりはありません。
            1996年夏 川辺川 小杉邦夫さん撮影
              「さし網にかかったアユを上げる」



◆会計報告(96、2、20~96、7、20) 
収入の部      金額       備考 
繰越金        182,071 
年会費・カンパ 1,102,154 グッズの売上、雑収入等も含む 
合計       1,284,225  
支出の部      金額       備考 
郵送費        165,535 会報発送、資料発送など  
紙代          38,224 ニュース、チラシ、資料など  
事務用品費      20,998 封筒、文具、写真現像、印刷外注費など 
事務所維持費   494,375 家賃、電気、電話、コピー機、印刷機、水道など 
旅費          81,750 審議委員会への申し入れ高速道路代など、東京1名  
調査費        193,881 国土問題研究所など、講師旅費宿泊費共 
看板作成      132,000 取り付け費共 
その他         3,500 県自然保護団体等協議会負担金、会場費など     
合計       1,130,263  
(収入)    (支出) 
1,284,225-1,130,263=153,962円
◆私たちの運動も、専門的な調査が必要な段階になりました。今回も皆様方のご協力により、黒字会計になりましたことに感謝致します。今後も調査による出費が予想されますので、カンパのご協力よろしくお願いします。


◆くま川ハウス、
  ニュー看板でイメージアップ!
 前号の会報「かわうそ」で募集しました「看板文句」へ多数のご応募、ありがとうございました。定例会での厳正なる審査の結果、人吉市のKさんの文句が選ばれました。応募された皆様には、近日中に粗品をお送りします。
           人吉市・中川原にあった初代くま川ハウス
            1996.7.22 緒方撮影

◆編集後記 
 今年に入り、手渡す会の活動の多くを「川辺川ダム事業審議委員会」への対応に費やしましたが、委員会のたびに八代や熊本市内から多くの方々が申し入れに加わっていただき、(仮称)『美しい川辺川を守る県民の会』も設立を迎えようとしています。昨年12月の週刊金曜日講演会から、清流とふる里を愛する人の輪が、大きく広がりました。夏は、川辺川の季節です。今年も川辺川の清流はエメラルドグリーンに輝き、皆様のお越しをお待ちしております。(N.O.)

会報かわうそ13号 1996年3月4日発行

会報 かわうそ 13号     
         [発行責任者] 
           清流球磨川・川辺川を未来に手渡す
           流域郡市民の会 会長 池井 良暢 
               1996年3月4日発行

◆「川が育むふる里」講演会
   1300人集め、カルチャーが燃えた! 
   たくさんの皆様、ご参加・ご協力ありがとうございました
 12月17日、人吉カルチャーパレス大ホールで開催された講演会「川が育むふる里-今ダムを考える」(週刊金曜日主催)は、質量ともに大成功を収めました。
 約1300人が入場した会場は活気に満ちあふれ、若い世代も多く感動的でした。人吉の地で、このような硬派の講演会が、カルチャーパレス大ホールに立ち見が出るほどの聴衆に埋めつくされた事は、未曾有の事だと思います。5人の著名な講演者も次々と川辺川ダム問題を斬りました。
◆ジャーナリストの本多勝一氏:「川辺川ダム建設は税金の無駄づかい。建設省のダム宣伝は、結婚サギのようなものだ」
◆経済評論家の佐高信氏:「オウムに破壊活動防止法が適用されそうだが、美しい国土を破壊する建設省にこそ破防法を適用すべきだ」
◆作家の椎名誠氏:「海岸やダムの開発は、地主など当事者だけではなく、流域全体の問題としてとらえるべきなのに、日本ではそれができていない」 
◆カヌーイストの野田知佑氏:「先進国では、ほんの少数の人間でも反対すれば、ダムはできない」
◆宍道湖淡水化事業をストップさせた島根大教授の保母武彦氏:「五木村民には、ダムを造らず村がよくなるか、という不安がある。しかし開発に頼らず村おこしを実現させた例は多数ある。五木の知名度は全国有数。都会には、ふる里を求めている多く人がいる」
 時代は「開発」から「自然との共生」へと大きく変わりつつあります。私たちにとって、そして次の世代にとって何が一番大切なのか。ふる里の将来について大いに考えさせられる講演会でした。 

            満員の人吉カルチャーパレス
             1995.12.17 緒方撮影
            若鮎の会メンバーも大活躍
             1995.12.17 緒方撮影
            満員の人吉カルチャーパレス
             1995.12.17 緒方撮影
            2階席まで満員の人吉カルチャーパレス
             1995.12.17 緒方撮影
◆手渡す会・12月~2月の出来事
12/2  川辺川ダム事業審議委員会の第2回委員会。「ダム事業に地域住民の意見を反映させるための申し入れ書」と約700人の署名を提出。
12/5  「川辺川ダム建設中止を前提とした五木立村計画の策定」の申し入れに対し、県は「中止の場合の計画は策定しない」と回答。
12/17 「川が育むふる里」講演会(1300名参加)
12/30 第2回「ちょっとまて川辺川ダム、清流リレーマラソン」
      (熊本県庁~五木村~人吉市くま川ハウス、30名参加)
1/27  川辺川ダム事業審議委員会の第3回委員会。「五木村再建のための調査立案委員会の設置」を求める申し入れ。
2/10  市房ダム見学会。
2/16  理学博士・松本幡郎氏を迎えダム代替地地質についての学習会。
      五木ダム建設予定地の見学会。
2/17  川辺川ダム事業審議委員会、五木村で村民から意見聴取。
2/21  NHK「クローズアップ現代」(全国ネットで放映)にて、川辺川ダム問題が大きく取り上げられる。
    *五木村でチラシ配布などの広報活動に取り組んでいます。

◆行政は、川辺川ダム中止の場合の
    立村(村づくり)計画を示せ!
 川辺川ダム建設計画を見直す、という名目で建設省が設置した「川辺川ダム事業審議委員会」は2月17日、五木村で8名の村民の方から非公開の意見聴取を行いました。
 「村民は事業推進を希望した」というような報道をしたマスコミが多かったようですが、「ダム本体を早く造ってほしい」という声は(報道を通して知り得た範囲では)伝わって来ませんでした。
 昭和41年の建設省による一方的なダム建設発表以来、五木村はダム問題で大きな苦難を強いられ、人口も大きく流出しました。また、ダムができるからという理由で社会基盤整備も進まず、水没地の小学校では体育館さえ造ることができない状態が30年も続いているのです。ダム問題を解決し、将来を見据えた村づくりに早急に取り組まなければ、状況は悪くなる一方です。
 しかし現在、ダム建設の目的はなくなっています。河川改修が進み、昨年7月の記録的な大雨でも洪水は起きませんでした。農家もダムの水は不要だと言っています。反対にダムができれば、下流はダム放流による大洪水の危険にさらされます。結局のところ上流も下流も、ダムによる被害者なのです。 審議委員会は中止という結論を出す場合もあるのですから、行政はダムによる立村計画だけでなく、ダム中止の場合の五木立村計画も早急に策定し、住民に選択肢を与えるのが公正なやり方ではないでしょうか。

◆100キロ走破!清流リレーマラソン
 第2回「ちょっとまて川辺川ダム・清流リレーマラソン」が、12月30日午前8時半に熊本県庁をスタート。地元人吉市の中高生を含む30余人が『ちょっとまて川辺川ダム』と書かれたタスキをリレーし、ダム見直しを沿道の県民に訴えながら人吉市までの約100キロを走破しました。
 一昨年の第1回は、大晦日に人吉市をスタートして実施しましたが、今年はその復路として熊本市から城南町、松橋町、宮原町、東陽村をへて雪景色の五木村の大通峠へ。五木村頭地、相良村をへて、午後7時すぎにゴールの「くま川ハウス」に拍手の出迎えを受けながら到着しました。
 一人平均1キロから6キロ単位で交替しながら走り抜きました。昨年に続いて参加した人吉市の高校生・柳原哲郎さん(18才)は、「三区間走りましたが、中でも大通峠までの上りがきつく、雪まで降り出してとても寒かったです」と話していました。

◆会計報告(95、11、16~96、2、19) 
収入の部      金額       備考 
繰越金        87,446 
年会費・カンパ 1,017,158 グッズの売上、雑収入等も含む 
合計       1,104,604  
支出の部      金額       備考 
郵送費       159,600 会報発送など 
紙代         21,034 ニュース、チラシ、資料など  
事務用品費     74,215 封筒、文具、写真現像、印刷外注費など 
事務所維持費   366,303 家賃、電気、電話、コピー機、印刷機、水道など 
旅費         22,600 審議委員会への申し入れガソリン代など 
これまでの個人立替分 200,000 くま川ハウス敷金など 
電話機(FAX)    43,775 
その他        35,006 講師謝礼、灯油代 
合計        922,533  
(収入)    (支出) 
1,104,604-922,533=182,071円
◆皆様方の会費・カンパのおかげと、スタッフの経費節減の努力で、今回はこの会報を発送しても、ちょっぴり黒字会計になることができました。◆12月17日の講演会で、たくさんの方に入会いただきました。また会場でカンパを6万1767円もいただきました。ありがとうございました!◆今回、まだ会員になられていないに方には会費等の振り込み用紙を同封させていただきました。年会費(1000円) を納入され、ぜひ会員になってください。もちろん、カンパも大歓迎いたします。                         
◆あなたの言葉が、
   でっかい看板になります! 
 看板文句を募集中!
 看板娘も募集中!(こっちは冗談。でも、なりたい方がいらっしゃれば光栄です)
 くま川ハウスの球磨川に面した大きな看板(高さ2m×幅12m)をかけかえ、グーンと美しくしたいと思っています。で、この際、会員の皆様方からその文句を募集しよう、という事になりました。集まった意見は定例会でみんなで審査し、意見をくださった方から審査と抽選で「手渡す会」や「清流」にちなんだ景品を差し上げようと思っています。 内容、文句、イメージ、デザイン、意見など、どんな事でも結構です。過激なやつ、優しいやつ、おもしろいやつ…楽しみに待っています。(しかし、字数が多くなると看板が見づらくなりますので、ご注意ください) 
★宛先・熊本県人吉市新町16番地 くま川ハウス「看板文句募集係」までどうぞ。(3月16日必着でお願いしまーす!)

☆お知らせコーナー
◆パソコン通信を始めたよ! 
 「手渡す会」でも、今年のお正月からパソコン通信を始めました。川辺川や清流・美しい自然を愛する日本各地の人達が夜ごと集まって、気軽におしゃべりをする部屋ができたのです。(熊本市内の有志の方は、昨年から始められています) 興味のある方は、NIFTY ID VZB01703佐藤亮一までメールを!

◆毎月最終日曜は「川が育むふる里会」 
 昨年12月17日の講演会に向けての実行委員会は、球磨川流域から県内各地へと、自然とふる里を愛する人の輪を大きく広げることができました。講演会が終わってもこのつながりを広げていこうと、「川が育むふる里会」という名称で月1回、最終日曜日に「くま川ハウス」に集まろう、ということになりました。次回は、3月31日午後7時からです。是非、のぞいてみて下さい!(翌日の定例会は、お休みになります)

◆編集後記 
 2月21日のNHK「クローズアップ現代」で、川辺川ダム問題が全国ネットで大きく放映されました。ちょっぴり顔が映っていた私のところにも、全国の友人からたくさん電話がかかって来て、やっぱり全国放送は反響が大きいなと実感しました。手渡す会の活動も今年で4年目に入りますが、ずいぶん広がってきたなと実感します。3月29日と30日には、熊本市内で日本環境会議が開催されますが、ここで もダム問題が大きく取り上げられます。特に2日目の「清流を未来に」と 「次の世代に残すもの」の分科会では現地からの報告もありますので、是非ご参加下さい。(N.O.)

会報かわうそ12号 1995年12月1日発行

会報 かわうそ 12号     
          [発行責任者] 
             清流球磨川・川辺川を未来に手渡す
             流域郡市民の会 会長 池井 良暢 
              1995年12月1日発行


◆12月17日(日)「週刊金曜日」講演会
    人吉カルチャーパレスにて開催します!
   ゲスト 椎名 誠(作家) 
        本多勝一(ジャーナリスト)     
        野田知佑(作家)  
        佐高 信(経済評論家)     
        保母武彦(宍道湖淡水化事業を
              中止させた島根大学教授)
 「週刊金曜日」という雑誌をご存じですか?市民の立場に立ち、各地の住民運動も支援している創刊2年を迎える雑誌です。その週刊金曜日の主催により、人吉で「川が育むふるさと-今ダムを考える」というテーマで講演会が開かれることになりました。
 全国でも著名な豪華ゲストが、川辺川ダム問題をずばりと斬ります。ダム問題を正しく理解し、将来のために賢い選択をするためにも是非お話を聞きたいですね。日頃はめったに聞けない、素晴らしい、また楽しいお話が聞けると思います。年末の日曜日でお忙しいこととは存じますが、ご家族・ご友人お誘い合わせの上、多数のご参加をお願いします。

◆川辺川で「絶叫ジャンプ大会」
 「川辺川はおれのものだ!」「ダムなんていらないぞ!」9月3日、相良村境田橋付近の川辺川で、「絶叫ジャンプIN川辺川」(同実行委主催)が開かれました。
 絶叫ジャンプは、高さ4mの岩の上で思い思いの言葉を叫んだあと、川辺川へ飛び込むもので、ただの「ギャー」から自然保護派の絶叫までさまざま。大きな声が河原に響き渡り、水しぶきが上がりました。タレントのウンババ中尾さんもかけつけ、大いに盛り上がりました。
 中にはカヌーに乗ったまま飛び込む人や、高さ10mの境田橋の上から飛び込む人も続出しました。これも、自然がそのまま残されている川辺川だからこそできる事です。もしダムができたとしたら、川は濁り、水量は減り、下流への砂礫の供給が止まるため、淵も大きな石で埋めつくされます。なんとかダム建設を止め、この「宝物」を子供たちに手渡したいですね。

        相良村境田橋付近の川辺川 
        1994年7月10日 手渡す会撮影

◆手渡す会・7月~11月の出来事
7/3   「7・3水害から30年、ダムと水害を語る会」(下青井会館)
7/7   建設省川辺川ダム説明会(治水)に参加、質疑。
7/23  「手渡す会」総会(青井神社にて)
7/31  建設省のダム説明会に対する公開質問状提出。
8/4   建設省川辺川ダム説明会(地質)に参加、質疑。
/28~ 川辺川土地改良事業への異議申立てに関する口頭審理(3回目)
9/3   「絶叫ジャンプIN川辺川」に参加。
9/6   川辺川ダム事業審議委員会は「事業推進の立場の県知事が委員を選んでいるので、住民の意見は反映されない」として、白紙撤回を県知事に要請。県当局と話し合い。
9/8   川辺川ダム事業審議委員会の初会合。「地域住民の意見をダム事業に反映させる」はずが、住民の傍聴をシャットアウト。
9/13  「川辺川・この川を残そう!」上映会(くま川ハウスにて)
9/18  「ありがとう!福岡賢正さん」お別れパーテイー(くま川ハウスにて)
9/30  建設省川辺川ダム説明会(環境・地域振興)に参加、質疑。
10/9  川辺川ダム事業審議委員会の現地視察。「十分な審議を行うため、審議期間をあらかじめ設定しないこと」「審議委員会の住民傍聴を認める事」などの申し入れ書を提出。
10/18~日本弁護士連合会の全国集会で、川辺川ダム問題も報告される。その後、四万十川、早明浦ダム、大渡ダム、木頭村などを視察。(手渡す会より8名参加)
10/28 足羽川ダム建設反対全国大会(福井県)参加。
11/4~5五木村「子守唄祭」にてチラシ配布などの広報活動。
11/12 川辺川ダム事業審議委員会の公聴会。「わずか16名、一人あたり15分の制限時間では、地域住民の意見は把握できない」として、2回目の公聴会開催を求める申し入れ書を提出。
11/16 建設省に対して、資料公開と「川辺川ダム建設を中止した場合における五木村の立村計画も立案・提示し、住民に選択肢を与える」などの申し入れと、話し合い。
11/22 県知事に対し、川辺川ダム事業審議委員会のメンバーの見直しと公聴会の再度開催を要請。県当局と話し合い。
     建設省川辺川工事事務所との交渉 手渡す会撮影
     左より大山さん、西村さん、藤原さん、重松さん、原さん
     右側の中央は、光成調査設計課長(当時)

◆建設省の動きと私たちの対応
 長良川河口ぜき問題をきっかけに、大規模公共事業の見直しについて社会的関心が高まったのに対し、建設省は今年6月30日、川辺川ダムを含む全国11のダム事業について、計画の変更や中止を含めて見直すための審議委員会を設置すると発表しました。
 しかし、それは五十嵐元建設大臣が提起し、私たちが求めていた「第三者機関としての見直し機関」ではなく、建設省主導の「見直し」であり、また、審議委員会のメンバーを事業推進の立場をとる知事が推薦することになっており、手渡す会では「審議委員会の白紙撤回」という基本姿勢をとっています。 「川辺川ダム事業審議委員会」は9月の初会合、10月の現地視察、11月の公聴会と、次々と動きを見せていますが、私たちもそれに対応して「地域住民の意見を反映させるために」(これは審議委員会の目的であります)何度も申し入れ、話し合いを行っております。
 また建設省は7月から、計画発表以来29年目にして初めて、一般住民を対象にした「川辺川ダム説明会」を3回にわたって開催しましが、説明も住民の納得のいくものにはほど遠く、住民の疑問や不安は一層大きくなったと言えるのではないでしょうか。
         川辺川ダム事業審議委員会の会場前で、
         福島知事(当時)に詰め寄る原豊典さん
         熊日新聞 1995年9月9日

◆会計報告(95、6、16~95、11、15) 
収入の部      金額       備考 
繰越金       434,877 
年会費・カンパ 1,273,704 グッズの売上、雑収入等も含む 
合計       1,708,581  
支出の部      金額       備考 
郵送費       378,341 会報発送など 
紙代         52,032 ニュース、チラシ、資料など  
事務用品費     17,568 封筒、文具、など 
事務所維持費   453,402 家賃、電気、電話、コピー機、印刷機、水道など 
旅費         159,534 四国8名、福井1名、など 
ビデオ制作費    266,358 パソコンソフト、ダビング(200本)
ダム説明会撮影   60,000 
その他        233,900 印刷外注、会場費、器材借用など 
合計       1,621,135 
 (収入)    (支出)
 1,708,581-1,621,135=87,446円
◆手渡す会の財政が逼迫しております。この会報を会員、協力者の皆様に発送すれば、財政も底をつきます。(赤字分は個人負担となってしまいます) 大変失礼かとは存じますが、郵便振替え用紙を同封させていただきました。まだ会員になられていない方は、是非会員になっていただきたいと思います。また、年会費(1000円)を納入されていない方は、納入をよろしくお願いします。もちろん、カンパも大歓迎いたします。手渡す会は、市民の皆様の浄財で成り立っております。ご意見・ご要望をぜひ通信欄にお書き添えいただければ幸いです。

◆見て!見て!見て!
    「川辺川・この川を残そう!」     
    ビデオ 40分 VHS用 1500円
 パソコン上で、写真、音声、音楽を編集してスライドショーを作り、ビデオテープに録画しました。内容は「ダムの水」「ダム下流の町」「ダム建設・4つの目的とは!?」「緑のダム」「五木村」「楽しい川」「お知らせ」の7部からなっています。
 作ったのは、ワープロにも触ったことのない、どしろうとのアタシ。完成品として作り上げる自信などなかったので、皆にはナイショで始めました。
 幸い「パソコンの天才児」「愛と勇気と美声の男」「美貌のアナウンスクイーン」の3人の応援を得て、長い歳月(のべ25日間)と幾多の苦難(ほんとはすっごく楽しかった)の末、テスト版完成。手渡す会の皆に見てもらい手直し。最終盤完成!ダム問題を訴える、手渡す会初のビデオができました。川のために何かしてやりたい、という気持ちを形にすることができたうれしさで一杯です。皆で、山・川・海の美しさを、素晴らしさと大切さを、そしてそれを破壊する事の不当さを訴えていきましょうよ!(R.S.)
○ビデオが欲しい方は…同封の振り込み用紙に送料込み1800円 通信欄に「ビデオ希望」とご住所、お名前をお書きになればOK! 入金確認後、直ちに発送いたします。(お問い合わせ佐藤まで0966(24)5631)
      川辺川に飛び込む高校生
      相良村権現橋  1994年夏 手渡す会撮影

◆編集後記 
早いもので、1995年もあとわずかです。今年は建設省が動きました。町内会の回覧板を使ってのダム宣伝ビラまき、ダム説明会、そしてダム審議委員会。私たちの税金で一方的な宣伝をする事には腹が立ちますが、これは建設省としても一方的にダム事業を進めることができなくなった事の表れでもあります。状況は変わりつつあります。17日には椎名誠さんをはじめ、豪華ゲストを迎え、今年最後の大イベントを行います。カルチャー大ホールを満員にしたいと頑張っておりますので、どうぞたくさん人を連れて、おいでください。お待ちしていまーす!忘年会を25日(月)7時より、くま川ハウスで行います。大いに盛り上がりましょう。(料理持ち込み大歓迎です!) では、よいお年をお迎えください。(N.O.)
皆様方のご感想、ご意見、ご要望をお待ちしております。
   人吉市新町16番地「くま川ハウス」までどうぞ ■0966(24)9929

2008年10月13日月曜日

会報かわうそ11号 1995年10月12日発行

会報 かわうそ 11号    
           [発行責任者]    
            清流球磨川・川辺川を未来に手渡す
            流域郡市民の会 会長 池井 良暢   
              1995年10月12日発行

◆川辺川ダム事業審議委員会に
        あなたの声を!
 建設省は、川辺川ダム計画の目的や事業内容を再検討するために「川辺川ダム事業審議委員会」を設置しました。この審議委員会は、地域住民の意見を事業に反映させ、事業計画の変更や中止の判断を下す場合もあるといいます。手渡す会では、審議委員会の白紙撤回を求めていますが(同封のニュースをご参照下さい)住民の意見を伝えるために、皆様方に下記のような事をご提案します。
          熊本日日新聞 1995.9.7

■同封の「意見申出書」と「原稿用紙」にあなたの意見を書かれて、ダム審議委員会に郵送してください。(詳しくは、別紙を御覧ください) 
■ご家族・ご友人にも、是非おすすめ下さい。
  郵送先は…  〒812  福岡市博多区博多駅東2-10-7 福岡第二合同庁舎 川辺川ダム事業審議委員会事務局あて
川辺川ダム事業審議委員会  
委員氏名   役職名      住所 
岩崎泰頴 熊本大学理学部教授 熊本市黒髪2丁目熊大理学部
江藤 孝 熊本大学法学部教授 熊本市黒髪2丁目熊大法学部 
長 智男 九州共立大学学長 北九州市八幡西区自由ヶ丘1-8 九州共立大学 
戸田義宏 九州東海大学農学部教授 阿蘇郡長陽村河陽九州東海大学農学部 
米沢和彦 熊本県立大学総合管理学部長 熊本市健軍 熊本県立大学 
福島譲二 熊本県知事   〒862-70熊本県知事(だけで着きます) 
福永浩介 人吉市長    人吉市九日町1 
高岡隆盛 相良村長    相良村四浦153 
西村久徳 五木村長    五木村西谷7035 
高田昭二郎 熊本県議    錦町一武2111 
恒松 新  相良村議長   相良村柳瀬2319 
照山哲榮  五木村議長   五木村甲2672-2


◆「手渡す会」総会の議事内容報告
 去る7月23日、「手渡す会」創立2周年を迎えての総会を、多くの会員の皆様を迎え、青井神社にて開催しました。
 まずは、池井会長の挨拶。その後、重松事務局長の一昨年8月「手渡す会」創立以来の2年に及ぶ経過報告。本当にいろいろなことがありました。2年前、ここまでこの運動が進展するとはだれが予測したでしょう。会計報告、監査報告の後、議事に移りました。会則の一部改訂、役員選出、今後の運動方針、を話し合いました。その後、ダム審議委員会への対応や、今後どの様にして川辺川ダム問題を球磨川流域や県内に広げていくか等、積極的な意見交換が行われました。
 会長に池井良暢さん、事務局長に重松隆敏さんが再選されました。以下、当日の議事内容の報告を致します。
       日弁連人権擁護大会「清流をわれらの手に」(高知)に参加
        1995.10.19 手渡す会撮影
日弁連大会(高知)に参加した手渡す会スタッフ
後列左から先田さん、木本さん、原さん、東さん、西さん、原さん、岡さん、大山さん  前列左から古川さん、倉田さん、重松さん、梅山さん、佐東さん

       早明浦ダムの看板を見る重松さん 1995.10.20 手渡す会撮影
     早明浦ダム下流の濁水 1995.10.20 手渡す会撮影
◆12月17日(日)「週刊金曜日」大講演会、
     人吉カルチャーパレスにて開催!
豪華ゲスト 本多勝一(ジャーナリスト、週刊金曜日編集長)
        佐高 信(ジャーナリスト、週刊金曜日編集委員)
        野田知佑(カヌーイスト)        
        保母武彦(宍道湖干拓を中止させた島根大学教授)    
        宮崎よし子(女優)(交渉中)        
        椎名 誠(作家)(交渉中)
 テーマ「川が育むふるさと-今ダムを考える」 「週刊金曜日」という雑誌をご存じですか?市民の立場に立ち、各地の住民運動も支援している創刊2年を迎える雑誌です。その週刊金曜日の主催で、人吉で大講演会が開かれることになりました。豪華ゲストが、川辺川ダム問題をずばりと斬ります。これは、ダム問題を全国に広めるまたとないチャンスです。どうか皆様、12月17日(日)の午後は、ご予定を空けておいていただけないでしょうか。詳細は、11月末頃ご連絡いたします。実行委員にも是非ご参加下さい。みんなのアイデアを集めよう!
第2回実行委員会
◆カルチャーを満員にしよう!
 日時 10月22日(日) PM7:00~8:30
 場所 くま川ハウス(人吉市中河原)

◆編集後記
 今年の夏も清流を求めて、川辺川は多くの人々で賑わいました。ダムができれば、こういう風景もなくなります。私たちの運動の原点になった「再考・川辺川ダム」を書かれた毎日新聞記者の福岡賢正さんが、福岡に転勤されることになりました。5年間、本当にありがとうございました。福岡さんの最新記事を同封しました。多くのマスコミがダム問題を「環境か、開発か」という視点でとらえているように思いますが、これを読めば「開発」どころか取り返しのつかない「負の遺産」を次の世代に残す事になるのがよくお分かりになると思います。回りの人にも薦めて下さい。ダム審議委員に、皆様方の声を是非伝えてください。一人一人の声で、私たちの宝を守りましょう!(N.O.)