2009年12月29日火曜日

会報かわうそ39号 2006年10月2日

会報 かわうそ 39号
   [発行責任者]清流球磨川・川辺川を
          未来に手渡す流域郡市民の会
            会長 緒方俊一郎
            熊本県人吉市九日町36-3F 
    2006年10月2日発行 TEL/FAX0966-24-9929


◆国営川辺川利水事業、
   相良村の離脱で完全に頓挫!!
 川辺川の新利水計画策定で、3月に調整役の熊本県が水源を川辺川ダムとせず、川辺川ダム予定地の直下から直接取水する独自案を農水省に提示しました。
 ところが、熊本県が独自の非ダム案を示したことについて、自民党や福永浩介・人吉市長らが猛反発し、事前協議は3ヶ月あまりにわたり中断してしまいました。
 その後、6月には農水省が川辺川第2発電所(六藤)の発電用水を利用する「農水省新案」を提示。それを福永市長らはこぞって支持。しかしそれは、「ダム案に他ならない」と、今度は利水訴訟原告農家が反発しました。
 7月14日の事前協議では、熊本県が「農水省新案」で一本化しようとしましたが、利水訴訟原告農家や相良村長は応じず、あやふやなまま事前協議はまたも中断しています。
 そのような中、利水事業の最大の「受益地」とされていた相良村は、国営川辺川利水事業からの離脱を表明しました。矢上雅義・相良村長は事業離脱の理由として、将来農家に過大な負担をかけることや、過大な負担金で村財政が破綻することなどをあげています。水を待ち望む農家に対しては、既存水路の本格的な補修や改修を含めて村で努力していくとしています。
 このように、身の丈にあった事業にしていかないと、結局は教育や福祉予算が削られるのは目に見えています。
 農家にとって、そして住民にとって最もよい方策を客観的に判断すべきです。より早く、安く、確実に農家に水が届けられる方策が選択されることを望みます。


  「ダムによらない利水・治水を考える県議の会」の
  第2回学習会 人吉市青井神社 200名参加
      2006.3.27 緒方撮影



◆手渡す会・2006年3月~2006年9月の出来事
06. 3.17 相良村議会が、「川辺川水系の堤防改修と水質保全に関する意見書」を全会一致で採択。 3.27 「ダムによらない利水・治水を考える県議の会」の第2回学習会。(人吉市青井神社・200名参加)  3.29 手渡す会が福永浩介・人吉市長に「利水事業の事前協議への復帰」「河川整備基本方針検討小委員会の委員辞退」などの申し入れ。人吉市庁舎前で早朝ビラ配り。
4.13 球磨川水系の長期治水方針「河川整備基本方針」を策定する検討小委員会の第1回目の会合が、東京の国交省で開かれる。
4.30 手渡す会などによる流域の水害被災者への聞き取り調査が終了。ほとんどの世帯が川辺川ダム以外の治水対策を求めていることが判明。
5.10 第2回検討小委員会で、国交省が基本高水7000トンを提示。
5.29 川辺川利水で、農水省が既存発電水路から取水する新水源案を固める。
5.31 相良村の水害被災住民が、ダム以外の治水対策を県に要望。
6. 6 第3回検討小委員会で、国交省が森林の保水力議論を強引に打ち切る。
7.14 川辺川利水の事前協議で、熊本県が「農水省新案」で一本化しようとするが、利水訴訟原告農家や相良村長は応じず。
7.31 相良村が国営川辺川利水事業からの離脱を正式に表明。
8.26 第10回清流・川辺川現地調査、はじめて五木村で全体集会。(五木村林業センター、250名参加)
9. 6 第6回検討小委員会で国交省が、現行の治水計画と同じ基本高水7000トンを強引に決める。 9.22 相良村議会で、川辺川利水事業組合からの村の脱退を求める意見書を可決。



◆こわい!鶴田ダムの放流
 7月22日の集中豪雨で、鹿児島県の鶴田ダムが満水状態になる可能性が高まったため、異常洪水時の操作を実施し、下流の水位は一気に上昇しました。手渡す会のスタッフが現地調査したところ、ダム直下の道路も異常放流のため、大きく崩れてえぐれていました。
 鶴田ダムは、これまで3回水害調節不能に陥っています。過去には被災住民による、鶴田ダムを原因とする水害訴訟も起されています。

   ダムの緊急放流でえぐれた鶴田ダム直下の道路
        2006.7.31 木本撮影



◆科学的検証を黙殺する国交省・小委員会!
 国土交通省の収用裁決申請の取り下げで、川辺川ダム事業計画が白紙化している中、球磨川流域の長期治水方針などを協議する検討小委員会が4月から開かれています。
 ところが、小委員会のメンバーの大半は球磨川流域とは全くなじみの無い学識経験者などで占められ、国交省の見解を追認するだけです。住民は直接意見を言う機会さえもありません。また、毎回住民からは多くの意見書や要望書などが提出されましたが、それらを真摯に検討しようとする姿勢も見られませんでした。
 9月6日の第6回委員会では、基本方針の根幹となる人吉地点の基本高水流量を現行と同じ毎秒7000トンに決めました。国交省の強引な進め方に対し、潮谷義子・熊本県知事は不満をあらわにしました。
 住民を締め出す、このようなやり方は、明らかに時代に逆行するものです。これでは科学的で客観的な検証は期待できず、住民の納得も得られるはずがありません。
 球磨川では、2001年12月から事業者(国交省)と住民が同じテーブルにつき、熊本県がコーディネートして事業の是非を議論する「川辺川ダムを考える住民討論集会」が開催されてきました。この実績を活かし、国土交通省は「住民参加」を理念とする新河川法の精神を尊重し、住民参加で川づくりを進めるべきです。


◆会計報告(2006.2.22~2006.9.21)
│収入の部 │ 金額 │備考 │
│繰越金 │   65,948│ │
│年会費・カンパ │ 962,283│グッズの売上、雑収入なども含む│
│合計 │ 1,028,231│
│支出の部 │  金額 │備考 │
│郵送費 │  211,775│会報発送、資料発送 │
│交通費 │ 348,298│東京行動(小委員会)、高速代など│
│事務用品費 │  33,735│紙代、文具など │
│事務所維持費 │  415,725│家賃、電気、電話など │
│その他 │  82,030│治水ブックレット50冊ほか │
│合計 │ 1,091,563│ │ 
(収入)1,028,231-(支出)1,091,563=▲63,332
◇東京行動が続き、赤字に陥りました。「手渡す会」は、皆様方の年会費とご寄付のみで運営しております。ご支援ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。



◆水害被災者は
  川辺川ダム建設を求めていません!!
 国交省は、昨年の台風14号での水害状況を例に挙げて「110戸に余る家屋の浸水被害があったので川辺川ダムが必要だ」(佐藤信秋事務次官)と主張しています。
 ところが、手渡す会が4月までに実施した聞き取り調査によると、昨年9月の台風14号で家屋に浸水被害を受けた川辺川、球磨川流域の世帯の大半が、宅地のかさ上げや河床の土砂撤去など、川辺川ダム以外の治水対策を求めていることが明らかになりました。ダムについては「ダムの放水で河川が一気に増水する恐れがある」などと反対が相次ぎ、建設を求める意見はほとんどなかったことも報道されています。
 昨年の台風14号で、川辺川のはんらんにより大きな被害を受けた相良村永江地区の水害被災住民は5月31日、矢上雅義村長とともに県庁を訪れ、ダムによらない治水対策の早急な実施を求める要請書を提出しました。要請書は、同村永江地区の住民一同名義で、北側一雄・国土交通大臣と潮谷義子知事あて。発起人の緒方正明さんが、同地区全70世帯の住民ら254人の署名と併せて、出張中の潮谷知事の代理の冨田耕司・県土木部次長に手渡しました。
 住民らは「水害で地域は疲弊している。ダムは何年先になるかわからない。1日も早く川底のしゅんせつや堤防のかさ上げを」と訴えました。

    改修が済んでいない芦北町・漆口地区の
    台風14号による浸水状況
         2004.8.30 緒方撮影


◆編集後記 
 1993年8月に「手渡す会」を設立し、川辺川ダム建設中止を求める闘いをはじめて13年もの年月がたちました。その間、94年7月と99年9月に、水源連(水源開発問題全国連絡会)との共催による全国集会を開きました。94年7月30日の全国集会では、人吉カルチャーパレスに1000人以上が集まった熱気を、昨日のことのように思い出します。当時の状況を考えると、本当によくここまで来たものだと驚きさえ感じます。◇来たる10月28日に、3度目の全国集会を開きます。川辺川ダム建設を完全に中止させるために、数々のダム計画を中止させた韓国からゲストをお招きし、「美しい日本に川辺川ダムはいらない」と題して行います。安倍新首相に私達の声が届きますよう、皆様方のご参加をお待ちしています。(N.O.)

2009年12月28日月曜日

会報かわうそ38号 2006年3月20日

会報 かわうそ 38号
     [発行責任者]清流球磨川・川辺川を
              未来に手渡す流域郡市民の会
              会長 緒方俊一郎
              熊本県人吉市九日町36-3F
      2006年3月20日発行 TEL/FAX0966-24-9929

◆川辺川の新治水方針は
  住民参加の熊本方式で!
 国土交通省の収用裁決申請の取り下げで、川辺川ダム事業計画が白紙化している中、同省は球磨川流域の新たな治水方針(河川整備基本方針)の策定に着手しました。潮谷義子・熊本県知事も、策定にかかわる検討小委員会に加わる意向を示しました。
 これは、新河川法に基づく手続きで、検討小委員会は国交省が示す「基本高水流量」(洪水時の最大流量)などを検討することになっています。ところが、委員の多数を国交省側の専門家が占めており、すでに先行している流域では、住民から「国交省の示す数値に委員は反論できない」との批判が出ています。
 住民を締め出す、このような国交省のやり方は、時代に逆行するものです。これでは客観的な検証はとても期待できず、流域住民の納得も得られないことは明らかです。
 川辺川では、2001年12月から事業者(国交省)と住民が同じテーブルにつき、熊本県がコーディネートして事業の是非を議論する「川辺川ダムを考える住民討論集会」が開催されてきました。その中で「基本高水流量」の検討も行われました。過去最大の洪水が来ても、一部の未改修の地区を除いて現状でも球磨川からあふれないことや、ダムなしの総合治水対策が現実的であることが、住民側の主張により明らかにされました。
 住民討論集会や新利水計画の策定を通して、熊本県が国と住民との調整役をしてきた実績は「熊本方式」とも呼ばれ、高く評価されています。新河川法の精神は、「流域住民の意見や環境に配慮した川づくりを進める」です。国土交通省は、「熊本方式」の実績を活かし、住民参加で河川整備基本方針づくりを進めるべきです。

    第2回川辺川ダムを考える住民討論集会
    八代市厚生会館 2002.2.24 手渡す会撮影

◆手渡す会・2005年11月~2006年3月の出来事
05.11.18 手渡す会などが北側国交大臣宛に「川辺川ダム事業計画の即時中止と現実的な治水対策の早期実現を求める要請書」を提出。
  11.24 手渡す会など8団体の代表が上京し、国交省、財務省などに「川辺川ダム計画の速やかな廃止」などの要望書を提出。
  12.13 農水省が、新利水計画の水源を川辺川ダムとする「ダム案」と、新設する堰とする「非ダム案」を提示。
  12.27 熊本県議会議員8名による「ダムによらない治水・利水を考える県議の会」が発足。
  12.28 川辺川ダム事業認定取り消し訴訟(尺アユ裁判)、原告漁民の勝利で終結。
06. 1.31 国土交通省が球磨川流域の新たな治水方針(河川整備基本方針)の策定作業に着手したことが明らかになる。
  2.12 潮谷義子・熊本県知事が五木村を訪れ、村民と意見交換。
  3. 6 川辺川の新利水計画策定で、熊本県が水源を川辺川ダムとせず、川辺川から直接取水する独自案を農水省に提示。
  3. 9 自民党県連、新利水計画の県独自案について、知事に抗議文提出することを決定。
◆ダムに頼らぬ治水を!
 人吉市の中川原周辺や、繊月大橋周辺などの河床には、大量の土砂が堆積しています。それらを除去すれば、洪水の水位もぐっと下がるのは当然のことであり、私たちは土砂の撤去をずっと要望してきました。
 国交省もようやく、昨年12月から人吉市の中川原周辺に堆積した土砂の撤去作業にとりかかり、工事は先日終了しました。撤去工事の対象となったのは、中河原公園の上下流の延長600m。通常時に水が流れていない河原の土砂を、最大幅100m、深さ1.5mほど取り除きました。この工事を、地元の業者が9000万円で受注しています。
 建設まで何十年もかかるダム建設ではなく、このような現実的な治水対策が求められています。また、ダム建設は大手のゼネコンしか受注できませんが、河道の整備や改修ならば地元の業者が受注できます。ダムに頼らぬ治水対策は、地域振興にもつながるのです。
        人吉市・中川原の土砂撤去工事
        2006.1.7 緒方撮影
◆熊本県、「非ダム」利水案を提示!
 川辺川の新利水計画策定で、調整役の熊本県が水源を川辺川ダムとせず、川辺川ダム予定地の直下に取水装置を設置して、川辺川から直接取水する独自案を農水省に提示しました。
 新利水計画については農水省、対象農家、流域の市町村などが同じテーブルにつき、熊本県が調整役となって新利水計画の水源を「川辺川ダム」とするのか「非ダム」とするのか話し合う事前協議が続いていますが、意見の隔たりが大きく、どちらの案でも事業を実施するために必要な農家の3分の2の同意を得るのは難しいと見られていました。
 川辺川利水訴訟原告団の茂吉隆典団長は「熊本県案は農家負担も安く、漁業補償で混乱が懸念された堰(せき)も設けず、通水開始が確実に早まる」と歓迎。ところが、熊本県が独自の非ダム案を示したことについて、自民党は猛反発をしています。
 自民党の反発の理由に農家の立場に立ったものは見受けられず、「県独自案は、多目的ダムである川辺川ダムを造りたくないと考えていることの表れ」「自民党は、最初からダム案を選択している」などと、ダムをごり押ししようとする姿勢をあからさまにしています。
 農家にとって最もよい方策を客観的に判断すべきです。より早く、安く、確実に農家に水が届けられる方策が選択されることを望みます。
◆会計報告(2005.10.22~2006.2.21)
│収入の部 │ 金額 │備考 │
│繰越金 │  246,243│ │
│年会費・カンパ │ 364,628│グッズの売上、雑収入なども含む│
│合計 │ 610,871│ │
│支出の部 │  金額 │備考 │
│郵送費 │ 109,275│会報発送、資料発送 │
│交通費 │ 122,566│高速代、水源連大会(群馬)など│
│事務用品費 │ 40,262│紙代、文具など │
│事務所維持費 │ 239,220│家賃、電気、電話など │
│その他 │  33,600│治水ブックレット50冊 │
│合計 │ 544,923│ │ 
(収入)610,871-(支出)544,923=65,948
◇「手渡す会」は、皆様方の年会費とご寄付のみで運営しております。2006年分 の年会費(一口1000円)払い込み用紙を同封させていただきました。ご支援ご 協力の程、よろしくお願い申し上げます。
◆川辺川の濁水の原因は穴あきダムだ!
 今年に入り、川辺川は雨のたびに白く濁り続けています。冬季の少雨でも白濁するとは、以前の川辺川では全く考えられないことです。
 私たちは川辺川上流部を調査したところ、五家荘の朴木(ほうのき)砂防ダム上流部に土砂が5m以上堆積し、少しの雨でも堆積した土砂が溶け出し、清流が濁水に変わっているのを確認しました。
 一昨年の台風16号、昨年の台風14号の襲来で、朴木ダム・樅木ダム上流部に大量の土砂が堆積し、川辺川は長期間濁り、流域のアユ漁は大きな打撃を受けました。川底の石が泥を被ったままでは、今年もアユは順調に生育することができないでしょう。
 また、川辺川の濁りは球磨川本流も汚しており、観光都市である人吉市のイメージを非常に悪くしています。
 この2つの砂防ダムは、実体は巨大な貯留域を持つ「穴あきダム」です。手渡す会や流域の漁民有志は国土交通省に対し、川辺川の深刻な濁りの原因である朴木ダム・樅木ダムの撤去を何度も要請しています。ダム本体建設予定地のある相良村議会は3月17日、川辺川の改修や水質保全への対策を国・県に求める意見書を、全会一致で採択しました。 水質日本一の清流を長期間濁水に変えたのは、高さ25mの砂防ダムでした。美しかった渓谷に土砂を大量に堆積させ、川の環境を破壊しているのです。今後もし、高さ61mの五木ダムや、高さ107.5mの川辺川ダムが建設されたら、川辺川と球磨川の清流は完全に破壊されるのは明らかです。
  5m以上堆積した朴木(ほうのき)砂防ダム上流部
  2006.2 生駒撮影
◆編集後記 
 昨年12月に、熊本県議会議員8名による「ダムによらない治水・利水を考える県議の会」が発足しました。現地視察や学習会、知事への提言書の提出など、活発な活動を展開されています。◇新利水計画策定で、熊本県が川辺川から直接取水する独自案を提示したことに対し、自民党が猛反発しました。県議会では自民党の県議が潮谷知事の答弁を拒否しました。「県独自案」が「ダム案」よりも優れていることが明らかになるのを恐れたのでしょうか。議会という公の場できちんと議論さえしない自民党の姿勢は、全くおかしなものです。農民の立場に立った協議の再開が待たれます。一方、ダム本体建設予定地のある相良村の矢上雅義村長は3月17日の村議会で、県の独自案を評価しています。◇3月27日には、人吉で県議の会の第2回県民学習会が開かれます。大変重要な集会です。是非お集まりください。(N.O.)

2009年12月27日日曜日

会報かわうそ37号 2005年11月21日

会報 かわうそ 37号
     [発行責任者]清流球磨川・川辺川を
              未来に手渡す流域郡市民の会 
              会長 緒方俊一郎
              熊本県人吉市九日町36-3F 
     2005年11月21日発行 TEL/FAX0966-24-9929


◆国交省収用申請「取り下げ」で
   川辺川ダム計画白紙に!
 国土交通省は9月15日、川辺川ダム建設に伴う流域漁業権や土地の収用裁決申請を取り下げました。計画発表から40年目にして川辺川ダム事業計画は白紙に戻り、今後のダム建設の行方は全く不透明となりました。
 1966年の川辺川ダムの計画発表以来40年にもわたり、地元はダム計画に振り回され続けてきました。流域の治水対策はもちろん、利水も地域づくりも、ダム計画があったがために放置されてきました。行政がダムにこだわり続けるがぎり、今後もこの状態が続くことになります。
 これまでの「川辺川ダムを考える住民討論集会」の中で、過去最大の洪水が来ても、一部の未改修の地区を除いて球磨川からあふれないことや、ダムに頼った治水は危険であり、ダムなしの総合治水対策が現実的であることが、住民側の主張により明らかにされました。治水でも利水でも、川辺川ダムは不要です。
 また、1968年当時、国は川辺川ダムの総事業費を215億円と見積もり、5年後の1973年度には完成するとしていました。ところがその10倍近い2000億円を投じ、40年が経過してもなおダム本体工事に着手すらできず、計画は白紙に戻ったのです。昨年8月、国は総事業費を3300億円と試算していたことが明らかになりましたが、それが今後どこまでふくらみ、いつ完成するか、見当もつかなくなりました。
 流域住民の生命・財産を守るために、国交省は途方もない困難と期間のかかる川辺川ダム建設を即時中止し、河川改修など現実的な治水対策に早急に取りかかるべきです。

  国土交通省に対し川辺川ダム収用裁決申請
  「取り下げ」を勧告した熊本県収用委員会
    2005.8.30 緒方撮影


◆手渡す会・2005年6月~2005年10月の出来事
05. 6. 4 新利水計画のダム案と非ダム案について、農家への説明会と5巡目の集落座談会が始まる。
  6.27 新利水計画の集落座談会の出席率17.8%。関係農家の関心の低さが明らかになる。
  7. 3 川辺川ダム新利水計画、採算割れの見通しと朝日新聞が報道。
  7.13 五木村の瀬目トンネルに、新たな内壁はく離があることが明らかになる。
  7.24 潮谷知事、農業と水の重要性訴え、人吉で講演。
  7.30 手渡す会学習会(人吉カルチャーパレス)に100名参加。
  8.22 ブックレット「川辺川ダムはいらん!」初版第1版を発行。
  8.30 熊本県収用委員会、国土交通省に対し川辺川ダム収用裁決申請「取り下げ」を勧告。
  9. 1 川辺川ダム事業認定取り消し訴訟(尺アユ裁判)で、原告漁民は「国交省は収用申請を取り下げ、話し合いの窓口を開くべき」と主張。
  9.15 国土交通省、収用申請を取り下げ、川辺川ダム計画白紙に。
  9.15 手渡す会が北側一雄・国土交通大臣に川辺川ダム計画中止を求める要請書を送付。
  9.28 台風14号襲来後、川辺川が長期にわたって濁っていることで、手渡す会が国交省に2つの砂防ダム撤去の要請書を提出。
  10. 7 熊本県が川辺川ダム計画への対応を探る「川辺川ダム総合対策会議」(議長:潮谷知事)を発足させ、初会合。
  11. 4 川辺川ダム事業認定取り消し訴訟(尺アユ裁判)で、国が事業認定の失効を認める。


◆ダム建設と五木の振興は切り離して!
 水没予定地を抱える五木村で9月28日、村民大会が開かれ、10月3日にはダム本体の早期着工などを求め、西村久徳村長らが県や九州農政局に陳情しました。ダム計画が白紙化したため、五木村はダムを前提とする立村が不透明になったと危機感を抱いています。
 しかし、ダムを前提とした地域振興策は「絵にかいた餅」に過ぎません。利用価値のないダム湖に、一体どれだけの観光客が集まるのでしょうか。林業と観光を基盤とする五木の振興策に、ダムはマイナス要因としかなりえません。ダム建設と五木の振興は切り離して考えるべきです。

       頭地の旧集落と代替地
        2005.8.2 緒方撮影 

◆川辺川の濁水の原因は砂防ダムだ!
 9月6日の台風14号の襲来後、川辺川の深刻な濁りは1ヶ月あまりにわたり続きました。手渡す会スタッフで川辺川上流域をくまなく調査したところ、八代市(旧泉村)の朴木(ほうのき)砂防ダム上流部に堆積した土砂で清流が濁水に変わっているのを確認しました。
 この長期にわたる濁りにより、流域の鮎漁は昨年以上に大きな打撃を受けています。ところが国土交通省は「長期濁りの原因は、山腹崩壊や河岸の洗掘などによる影響が大きいと考えられる(人吉新聞2005.9.22)」との見解しか示していません。
 そこで、手渡す会は流域の漁民有志とともに9月28日、国交省川辺川砂防事務所を訪れ、川辺川濁水の原因である朴木砂防ダム・樅木砂防ダムの撤去を強く要請しました。
 その後、10月6日、住民と国土交通省の共同調査で、同ダムが濁水を流し続けていることを再度確認し、2つの砂防ダムの撤去を再度要請しました。
 水質日本一の清流を濁水に変えたのは、規模の小さい砂防ダムでした。今後、もし高さ61mの五木ダムや、高さ107.5mの川辺川ダムが建設されたら、川辺川と球磨川の清流は完全に破壊されるのは明らかです。
◆会計報告(2005.5.22~2005.10.21)
│収入の部 │ 金額 │備考 │
│繰越金 │ △265,907│ │
│年会費・カンパ │ 1,167,780│グッズの売上、雑収入なども含む│
│合計 │   901,873│ │
│支出の部 │  金額 │備考 │
│郵送費 │    241,165│会報発送、資料発送 │
│交通費 │  28,223│高速代など │
│事務用品費 │    67,830│紙代、文具など │
│事務所維持費 │    289,512│家賃、電気、電話など │
│その他 │  28,900│広告費など │
│合計 │   655,630│ │ 
(収入)901,873-(支出)655,630=246,243
◇「手渡す会」は、皆様方の年会費とご寄付のみで運営しております。2005年分の年会費(一口1000円)未納の方は、ご支援ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。
◆ダムに頼らぬ治水・利水を!
 国土交通省の「収用裁決申請の取り下げ」後、一部のダム促進派は活発な動きを見せています。 川辺川ダム建設促進協議会(会長・福永浩介人吉市長)は10月27日、国土交通省に対し、ダムの早期着工などを求める要望書を提出しました。福永会長は「地元としても川辺川ダム建設に強い意志で臨む」とアピールしたとのことですが、住民がダム建設を求めていないことは、これまで何度も行われた各種の世論調査の結果からも明らかです。
 また、自民党県連の「川辺川ダム問題プロジェクトチーム」が10月27日、初会合を開き、治水と利水を切り離すことなく、多目的ダムの建設を国や県に求めていく方針を確認したといいます。しかし、川辺川ダム計画は白紙となり、今後もダムに頼るとすれば、流域の治水も利水も実現するまで途方もない時間がかかることになります。
 10月31日には、第3次小泉改造内閣で留任した北側一雄・国土交通大臣が就任会見で「治水面で川辺川ダムは必要だ」と述べています。国交大臣は、ダム本体着工のめどを立てるために「農水省に早く新利水計画をまとめてもらいたい」と語っていますが、ダム計画そのものがなくなっているのに、ダムを水源とする利水案など立てられるはずがありません。
 国交省は、新河川法による新たなダム計画を一から練り直すことになります。それには、河川整備計画の策定、環境アセスメントの実施、住民との合意形成、県議会と知事の同意など、多くの困難な手続きが必要となります。着工には流域の漁業権の取得も必要不可欠です。熊本県の財政も破綻寸前であり、これらが全てクリアできるはずがありません。流域住民のために、今こそ、ダムに頼らぬ現実的な治水・利水へと転換すべきです。
        是非お読みください!
◆編集後記
 このたび、ブックレット「川辺川ダムはいらん!~住民が考えた球磨川流域の総合治水対策」を花伝社から出版しました。全国の主要書店で好評発売中です。住民有志による編集委員会をつくり、住民討論集会の資料などをもとに学習会を重ね、住民の、住民による、住民のための、ダムに頼らない治水対策をまとめました。専門的な表現をできるだけなくし、写真や図を満載し、誰が読んでも分かりやすく仕上げました。これ一冊で、川辺川ダム問題の現在と、球磨川の治水対策のあるべき姿が、よくご理解いただけると思います。川辺川ダム問題解決に向けた材料として、多くの方々に読んでいただきたいと思います。チラシを同封しました。販売拡大にご協力ください。(N.O.)

2008年10月31日金曜日

会報かわうそ21号 1998年11月30日発行

会報 かわうそ 21号     
        [発行責任者]       
         清流球磨川・川辺川を        
         未来に手渡す流域郡市民の会          
         会長 池井 良暢  熊本県人吉市新町16番地       
         1998年11月30日発行 TEL・FAX0966-24-9929


◆「川辺川ダム基本計画変更」に
     3850人が異議申し立て! 
 ~みんなの声でダム建設を中止に~
 建設省は、川辺川ダムの総事業費や工期を大幅に引き伸ばす基本計画の変更を6月9日に告示しました。これに対して「手渡す会」など各市民グループは、ダム建設の目的や規模は何ら見直されていないことから、計画変更には納得できないとして行政不服審査法に基づき異議申し立てを行いました。 皮切りは、7月29日に建設省川辺川工事事務所に提出した743人分。その後、福岡の九州地方建設局や東京の建設省本省にも続々と提出され、建設大臣に直接郵送された分も含め、異議申し立てを行った住民は3850人(事務局把握分)に上っています。
 異議申し立て書は、「ダム建設の目的は科学的な吟味を経ていないし、地域住民の意思を正しく反映してもいない」とし、異議申し立ての理由として「建設目的が喪失したダム事業に巨額の税金を投入すべきでない」「ダムは堆砂に埋まり将来災害の発生源になる」「球磨川本流の市房ダムとの統合管理は不可能」など、論点は70通り以上にのぼります。
 また、水没予定地区3人を含む42人の五木村民が異議申し立てを行ったことは、五木村民の意思が形として現れた注目すべき事実です。「五木村民に犠牲を強いるダム建設の推進は許せない」「国は五木村民のさまざまな被害・犠牲を認め、十分な生活再建策を講じよ」「ダム建設の目的はなくなり、これでは五木村民は犬死にではないか」などと村民は訴えています。
 その後、9月7日には「口頭意見陳述の申し立て書」を提出しました。前例のない事態のためか、建設省の対応は慎重そのもの。「特定多目的ダム法と行政不服審査法に基づいて審査する」と答えるにとどまっています。
     異議申立書の提出 建設省川辺川工事事務所(相良村)
     左から木本雅己さん、堀尾芳人さん、西村忠孝さん、重松隆敏さんら
       1998.7.29 緒方撮影
       異議申立書の提出 建設省川辺川工事事務所(相良村)
         1998.7.29 緒方撮影
◆手渡す会・7月~11月の出来事
98. 7. 4 建設省川辺川ダム説明会(人吉市チサンホテル)。事業に異議を
      唱える意見相次ぐ。
  7.12 公共事業のあり方を問題提起している五十嵐敬喜・法政大教授ら
      が川辺川現地調査。
  7.29 川辺川ダム基本計画変更に743人が異議申し立て。
  8. 7 異議申し立て2780人に。
  8.13 農水省が、川辺川利水事業を「公表せず再検討」していたことが
      新聞報道で明らかになる。
  8.14 川辺川利水訴訟原告団が「原告側の声も聞くべき」と抗議。
  8.20 異議申し立て3850人に。(事務局把握分)。
  8.22~ 第2回清流・川辺川現地調査(400名参加)
  9. 7 異議申し立て「口頭意見陳述の申し立て書」を提出。
  9. 8 五木村の水没2団体、新たな補償基準を建設省に要求。
  9.10 川辺川利水事業「再検討」問題緊急シンポジウム(熊本市)
  9.18 人吉市議会で、川辺川ダム建設促進と見直し陳情8件、採決され 
      ずに継続審議に。
  10. 8川辺川利水裁判・第8回口頭弁論(熊本地裁)
  10.12「川辺川ダム建設見直しの要望書」を流域首長・議会に提出。
  10.15重松事務局長ら上京し、建設・農水省に事業見直しや情報公開を
      求める要望書を提出。
  10.16シンポジウム「川を守るのは誰か」(東京)150名参加。
  11. 1国土問題研究会、川辺川現地調査開始。(主に治水問題)

◆人吉市議会関連
 9月人吉市議会において、『ダム問題特別委員会』でこれまで継続審議になっていた、川辺川ダム建設に関する8件の陳情のうち「早期着工」3件を採択、「建設見直し」5件を不採択という報告がなされ、本来であればそのまま本会議を通過するものが、本会議において数々の疑問や意見が噴出し、議会は紛糾。結局採決は行われずに一転、『ダム問題特別委員会』に差し戻されました。
 市の有権者の過半数が「ダム見直し」陳情署名を提出していたにもかかわらず、ダム促進決議が強行採決された4年前の市議会と比べれば、ようやく市民の声が議会に届き始めたとも言えるのではないでしょうか。

◆川辺川利水問題関連
 計画中の川辺川ダムから水を引こうとする川辺川利水事業の必要性を、農水省が再検討していることが8月に新聞報道で明らかになりました。この再評価システムは、昨年12月に当時の橋本首相が公共事業の効率的な執行と透明性確保を課題として導入を表明したものです。
 ところが、再評価の対象事業や審議日程さえ事前には公表しないまま、すでに結論の取りまとめにはいっているとのことです。審議過程をオープンにしなければ、住民の声は反映されず、事業者にとって都合のいい結論が出るだけです。
 農水省は「土地改良区からの意見聴取で農民の声を聞いた」と言っているとのことですが、改良区組合員は337人しかおらず、対象農家のほんの一部でしかありません。ところが、この利水事業は不要として裁判所に訴えた農家(原告団)からは、対象農家の過半数を越える2000人以上に達しているにも拘らず、意見聴取さえなかったそうです。一体、誰のための、何のための「事業見直し」なのでしょうか。
 また、10月8日の口答弁論で、農水省は死者76人から同意を取ったことを認めました。さらに、農水省は同意署名の達成ノルマを関係市町村に課していたことも新聞報道で明らかになりました。農水省が計画変更の「錦の御旗」とする同意書のずさんさは、ますます浮き彫りにされています。

◆会計報告(98、6、27~98、11、21) 
収入の部      金額       備考 
繰越金        504,019 
年会費・カンパ   788,443 グッズの売上、雑収入なども含む  
合計       1,292,462  
支出の部      金額       備考 
郵送費        151,540 会報発送、資料発送など  
紙代          24,191 会報、チラシ、資料など  
事務用品費      89,206 タックシール、印刷機インクマスターロールなど 
事務所維持費   451,715 家賃、電気、電話、コピー機、水道など 
旅費         59,800 栃木1名、高速料金など  
その他        14,700 NGOの会負担金、鍵工事費  
合計         791,152   
(収入)1,292,462-(支出)791,152=501,310円
◆今年度の年会費(1,000円)未納の方は、ご協力何卒よろしくお願い致します。カンパも大歓迎です。カンパ・会費は、下記までお願い致します。郵便振替「01970-1-27826」 「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」 

◆川辺川ダム・代替案の検討を進めよう!
 建設省は、川辺川ダムに代わる治水対策について、堤防かさ上げなど5つの対案を比較検討したとしています。「いずれの案よりもダムが最良の策だ」とのことですが、まず、治水対策のもととなっている基本高水流量が過大に設定されていると、多くの専門家が指摘しています。
 さらに、5つの案を別々に切り離して検討し、その中の1つの案のみで過大に設定されたピーク流量をカバーしようとする点が問題です。真の治水対策を考えるためには、個々の治水対策案が環境に与える影響やコストなども考慮しながら、複数の対策を組み合わせて、それらの良いところを生かせるような形で、総合的に検討すべきです。
 11月1日、国土問題研究会の上野さんらの現地調査に同行しました。川辺川合流点から上流の球磨川を、水上村までさかのぼりました。建設省が検討した「遊水地候補地」は、球磨川の連続堤防ができるまでは多くが現役の遊水地であったことや、建設省の代替案では、これら「遊水地候補地」を全て買い上げ、掘り下げることになっているので膨大なコストがかかってしまうことが分かりました。 ピーク流量を適正に設定すれば、遊水池や森林を保全して『緑のダム』を育てるなどの手段を複合的に使って、ダムなしでも治水対策はできるはずです。川辺川ダム建設中止後の『治水代替案』検討を進める時期にさしかかっています。(国土研調査の詳細は、同封の新聞記事をご覧ください)
     球磨川流域を現地調査する国土問題研究会の上野さんら
      1998.11.1 緒方撮影

「手渡す会」総会&忘年会 
●と き 12月14日(月)午後7時30分~  くま川ハウスにて 
●なかみ ・経過報告、会計報告、今後の活動方針 ・忘年会(会費500円)   
◆出欠確認のはがきや委任状など同封しなければならないところですが、正直な話、経費節減のため省略させていただきました。

◆編集後記 
 11月14・15日に「球磨川・川辺川源流水リレー」(球磨川水系ネットワーク主催) に参加しました。14日の早朝、水上村の球磨川源流に歩いて登り、源流の水を汲みました。その後、自転車、たくさんの小学生や大人達、みこし、おじいちゃん、女子高生、人力車など200人くらいの手を経て、夕方、人吉市の中川原に到着。夜は、川辺川源流から運ばれた水と合体。そして、100名程の大宴会。2日目は中川原を朝7時にカヌーで出発。球泉洞からは、またたくさんの人の手を経て、夕方、球磨川河口の水島に到着。夕日が八代海に落ち、合唱団が「組曲・球磨川」を歌う中、源流の水が八代海に放されたときは感動ものでした。のべ300人以上の手を経て、人力で源流の水を海に運ぶ。たくさんの人達が、いろんな角度から川を、そしてふる里を見つめているんだなと、深く感動した2日間でした。(N.O.)

会報かわうそ20号 1998年7月6日発行

会報 かわうそ 20号         
       [発行責任者]         
         清流球磨川・川辺川を          
         未来に手渡す流域郡市民の会       
         会長 池井 良暢  熊本県人吉市新町16番地        
          1998年7月6日発行 TEL・FAX0966-24-9929


◆あなたの声を伝えてください!
川辺川ダム事業計画に、異議申し立てを
 建設省は6月9日、川辺川ダムの基本計画変更を官報に告示しました。当初350億円だった総事業費も、これで2650億円にはね上がります。
 ダム建設の目的や規模の見直しはなされず、また、この財政難の中、熊本県の負担金も580億円(熊本県民1人あたりなんと3万4000円!)にのぼることから、「計画変更は不当」として行政不服審査法に基づき建設大臣に異議申し立てを行うことに決定しました。
 異議が認められたら、ダム建設中止に向け大きく前進できます。異議申し立てに対して、建設省は口頭審理など異議を聞く場を設け、記録も残す義務もあります。また、川辺川流域に限らず、国民全てに(未成年者でも)ダム建設に異議を申し立てる権利があります。ダム事業そのものを対象とした異議申し立ては全国でも前例がなく、ムダな公共事業の象徴として全国的運動に発展させる大きなチャンスでもあります。
※そこで、皆様方にお願いです!
①同封の異議申し立て文(A)にご賛同いただける方は、右下の「委任状」欄に署名捺印してください。(6人以上の署名が集められる方は、コピーを取ってくだされば幸いです)
②ご自分で異議申し立て文を書いていただける方は、同封の書式用紙(B)に「異議申し立ての趣旨」「異議申し立ての理由」「住所・氏名・年齢」を書かれ、捺印してください。(手書きでもワープロでも結構です)
 異議申し立ての期間は60日以内です。7月24日(金)必着で、下記「異議申し立て事務局」まで郵送してください。よろしくお願い致します。(返信用封筒などを同封すべきところですが、経費節減に何卒ご理解ください)
(異議申し立て文・送付先) 〒868-0004熊本県人吉市九日町93 木本雅己宅
      お問合せ 電話0966(22)4004

        異議申し立てを訴える、会報かわうそ20号一面


◆手渡す会・4月~6月の出来事
98. 4. 9 建設省、来年度後半に本体着工と記者発表。
  5. 2~3「川辺川リバーミーティング98withうんばば中尾」
     60艇、120人が参加。(相良村~人吉市)
  6. 7 「県民の会」総会。日本自然保護協会の横山隆一さん「川辺川を
     守る戦略と戦術」と題する講演。
  6. 9 建設省、川辺川ダム基本計画の変更を告示。「手渡す会」「県民
     の会」など、異議申し立て活動を開始。
  6.17 川辺川ダム補正予算(追加要求)がゼロ査定に。
  6.19 川辺川利水裁判第7回公判。
  6.28 「川辺川を守る福岡の会(仮称)」第1回学習会。福岡市立青年
     センターにて、26名参加。福岡でも異議申し立て活動を開始。

     「川辺川リバーミーティング98withうんばば中尾」
      カヌーデモ(胸川)  1998.5.3 緒方撮影

      「川辺川リバーミーティング98withうんばば中尾」
       前夜祭でのうんばば中尾、森徳和弁護士ら
         1998.5.2 緒方撮影

◆川辺川利水裁判・第7回公判の報告
 「本日、川辺川土地改良事業の根拠が音を立てて崩れました」国宗弁護士の感慨深い意見陳述が法廷に響き渡ると、傍聴に駆けつけた多くの人が目を潤ませました。 6月19日、熊本地方裁判所で開かれた川辺川利水裁判の第7回公判では、原告農民と弁護士、支援団体が一体となって進めてきた、対象農民への同意調書の聞き取り調査の結果が報告されました。それによると、例えば用水事業では農水省側が「事業に同意した」とする3913人に対し、不同意者が1714人となるなど、農水大臣の「3分の2以上の同意」という虚構は完全に崩れ去ったのです。 調査した対象農民の実に9割近くが、「自分の署名・捺印ではない」などの理由で同意していないことが明らかになったのです。中には、すでに死亡していた人が署名・捺印しているケースが7件もありました。 今後の課題としては、農民一人ひとりについて同意書の有効無効を確かめる根拠調べを裁判官にやってもらうことだと、板井優・弁護団長は話されました。

◆会計報告(98、4、3~98、6、26) 
収入の部      金額       備考 
繰越金       305,428 
年会費・カンパ   724,296 グッズの売上、雑収入なども含む  
合計       1,029,724  
支出の部      金額       備考 
郵送費        182,480 会報発送、資料発送など  
紙代           9,733 会報、チラシ、資料など  
事務用品費       5,912 タックシールなど 
事務所維持費   220,456 家賃、電気、電話、コピー機、印刷機、水道など 
旅費          88,306 岡山2名、講師交通費など 
その他         18,818 水源連負担金、水道工事費など 
合計         525,705 
  (収入)1,029,724-(支出)525,705=504,019円
◇ありがとうございました!
 前号の会報に、郵便振替用紙を同封させていただきましたところ、多くの皆様方から多額の年会費・カンパをいただきました。厚く御礼申し上げます。
 住所の変更や、事務局あてへのご意見などございましたなら、振替用紙の通信欄にお気軽にどうぞ。電話やFAX、お手紙でも結構です。




◆川辺川を守る戦略と戦術
 去る6月7日、「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」の総会が熊本市内で開催され、日本自然保護協会の横山隆一さんが「川辺川を守る戦略と戦術」と題した記念講演をされましたので、報告します。
 「手渡す会」の目的は、川辺川ダム建設の見直しと、川辺川の価値を知ってもらうことになっているが、そのためには「この川にダムを造ってなぜ悪い」と思っている人に、この川の価値を分からせる事が大切です。
 戦略とは、誰を味方にして誰を敵にするかを明確にする事で、戦術とはどう戦って行くか、守るものは何かをはっきりさせることです。例えば、建設推進者に対しては、今はどの手段を使って戦うのが効果があるのかを考え、味方にしたい一般市民には、こちらに注目してもらうネタには何がよいかを考えることが重要です。
 クマタカは、生態系の中で弱い(絶滅しやすい)生物であり、自然の状態が分かる指標生物です。貴重なクマタカが住んでいることは、川辺川の価値を語っているようなものです。ダム反対運動は多方面から運動を展開していく必要があるが、クマタカが子孫を再生産でき、その種が存続できるような環境を守るという点からも運動を展開していってほしい、などと語られました。



◆編集後記 
 建設省は4月9日に、1999年度後半に川辺川ダム本体工事に着手すると記者発表しました。これまでは「2001年までに本体着工する」と言っていたのを、なぜ唐突に2年も繰り上げる必要があったのでしょうか。まず2001年には、現在係争中の利水裁判も農水省側が破れ、ダム建設目的の見直しを余儀なくされているでしょう。「過大である」との指摘が大きい基本高水流量も、新河川法により実績流量から再計算しなければなりません。橋本首相の「時のアセスメント」の対象にもなるべきですし、国の財源も今以上に苦しくなるでしょう。ということは、2001年までに本体着工を引き伸ばすことができれば、ダム建設中止の可能性もますます大きくなると言えます。まずは、異議申し立てです!(N.O.)

会報かわうそ19号 1998年4月13日発行

会報 かわうそ 19号     
       [発行責任者]
         清流球磨川・川辺川を
         未来に手渡す流域郡市民の会
         会長 池井 良暢  熊本県人吉市新町16番地
          1998年4月13日発行  TEL・FAX0966-24-9929


◆川辺川ダム問題ヒヤリング
 超党派国会議員により霞ヶ関で開催! 
 超党派の国会議員でつくる「公共事業チェックを実現する議員の会」主催による、関係省庁とダム見直しNGO(住民団体)との話し合いが1月28日と3月26日に、東京・永田町の衆議院議員会館で行われました。初代環境庁長官の大石武一さんも、『清流川辺川を守る東京の会』の会長として参加されました。(このヒヤリングは、今後も継続されます)
◇第1ラウンド(1/28)
 人吉からは「手渡す会」事務局長の重松さんが上京し、市民側から14名、国会議員が9名、行政側からは建設省・農水省・大蔵省・環境庁の川辺川ダム担当者が計8名参加しました。
 市民側が事前に提出していた「すでに計画当初予定建設費を上回る1300億円を投入しているが、総事業費はいくらか」「利水事業は係争中でも事業を進めるのか」などの質問に、納得できる回答は得られずじまい。中でも、建設省が総事業費について明確な数字を示さないまま予算を計上している点について、批判が集中しました。

    第1回川辺川ダム問題ヒアリング(衆議院第1議員会館第4会議室)
          1998.1.28 東京の会撮影

◇第2ラウンド(3/26) 
 人吉からは「手渡す会」事務局長の重松さん、原さん、利水訴訟原告団長の梅山さん、漁師の吉村さんが上京しました。市民側から15名、国会議員が4名、行政側から6名が参加しました。
 今回は、地元からの実情報告、問題提起が全体を圧倒しました。まずは梅山さんが農水省のむちゃくちゃな利水事業の進め方を告発。次に原さんが「受益者」であるはずの人吉市民がダムはいらぬと署名がどんどん集まる事を報告。重松さんは昭和40年の市房ダム放流による水害の被害を説明。吉村さんは行政側の強引な事業の進め方を告発。松本先生は一目瞭然な図面によるダム付近の地質学上からの危険性を告発。これら全てが今後、建設省にとってボディーブローとなって効いてくるはずです。(2度のヒヤリングの間隙をぬう形で、建設省は総事業費を2.3倍増やし2650億円とし、熊本県議会の同意もあっという間に取り付け、4月9日には来年度後半を目途に本体着工をするとの記者発表を行いました。建設省もあせっています)

◆手渡す会・12月~3月の出来事
97.11.29 鷲見一夫教授(新潟大)が川辺川現地調査 
  12. 6 フレッド・ピアス氏(環境ジャーナリスト) 谷田一三教授(大阪府立大)
      川那部浩哉氏(琵琶湖博物館館長)が川辺川現地調査。
      忘年会(くま川ハウス)
98. 1.19 理学博士・松本幡郎氏(元熊大教授)の地質学習会開始
  1.28 第1回川辺川ダム問題ヒヤリング(衆議院・議員会館)
  2. 2 中島煕八郎教授(熊本県立大)「五木村の将来を考える」学習会  
  2.10~ ダム建設が止まった町・矢田ダム(大分県大野町)見学ツアー
  2.23 遠藤隆久教授(熊本学園大)「情報公開と直接請求」学習会
  3. 3  川辺川ダム基本計画変更について慎重審議を県議会各会派に要請
      熊本県庁前で早朝ビラ配り 
  3. 4 川辺川利水裁判第6回公判
  3.19 熊本県議会総務委員会で「川辺川ダム基本計画変更に反対」の請
      願は不採択に。県知事意見は可決
  3.24 熊本県議会本会議で同上の請願は不採択に
  3.26 第2回川辺川ダム問題ヒヤリング(衆議院・議員会館)
  4. 9 建設省、来年度後半に本体着工と記者発表

     水生昆虫の権威である谷田一三教授(大阪府立大)
     淡水魚研究の権威である川那部浩哉氏(琵琶湖博物館館長)
     を迎えての、川辺川水生昆虫観察会
      相良村権現橋下の河原にて    1997.12.6 緒方撮影 


      「ダムはムダ」の著者、世界的な環境ジャーナリスト
      フレッド・ピアス氏を迎え、満員の球磨川ハウス  
           1997.12.6 緒方撮影

         球磨川ハウスで語るフレッド・ピアス氏
            1997.12.6 緒方撮影

◆ハンコ行政が農民だます川辺川利水事業
 役所に出す書類のうち1万1570種類が、1年以内に「ハンコ不要」となるそうです。一体、何のためにハンコが必要なのでしょうか。本来は、本人と確認するためなのでしょうが、認め印などどこでも買えます。印鑑が犯罪に使われるケースもあるでしょう。
 さて、計画中の川辺川ダムから水を引こうとする川辺川利水事業は不要として、裁判所に訴えた農家(原告団)は対象農家の過半数を越える2060人に達しています。一方、被告の農水省側は対象農家の3分の2以上の同意を取得したとしながら、同意書の署名の中に本人以外による署名捺印があることを認めています。
 先日、この利水裁判の弁護士による、同意書の署名の筆跡と印鑑が本人のものであるかを確かめる確認調査に同行した際、驚きました。「これは私の署名(筆跡)、印鑑ではない」という農民が続出したのです。ということは、農水省は偽りの印鑑で、偽りの同意を取ったということになります。
 このような地道な弁護団の調査により、これまでに同意書の署名が「自分の署名(筆跡・印鑑)でない」という農民が322名、「水代はいらない」など虚偽の説明で同意させられたという農民が390名いることが、3月4日に開かれた利水裁判第6回公判で明らかになりました。農水省が事業執行の根拠としている2/3以上の同意を取り付けたという同意書の信憑性は、これで完全に崩れたことになります。

◆川辺川ダムの基本計画変更で
     総事業費2650億円に!
 建設省は、川辺川ダムの基本計画を変更するために特定多目的ダム法に基づき熊本県知事に意見を求め、3月県議会において審議されました。建設省による変更内容は、①かんがい対象面積を20%縮小する②ダムの総事業費を2.3倍増やす③工期を平成20年まで8年間延長する、の3点です。
 ダムの目的や規模は見直しもなされず、また、この財政難の中、総事業費2650億円のうち熊本県の負担金も580億円(県民1人あたりなんと3万4000円!)にのぼることから、県議会開催日の3月3日に慎重審議を求める要請を、県議会各会派に行いました。また、県庁前で早朝1500枚のビラ配りも行いました。
 また、3月13日にはダム見直しの各住民団体から「慎重審議」や「ダム建設中止」を求める10件の請願が提出されました。
 結果的には、10件の請願は全て不採択になりましたが、県議会の各会派や全議員に川辺川ダム問題を働きかける初めての機会となりました。利水裁判に勝ち、かんがい目的を完全に消し去り、再びダム基本計画の変更がなされる状況を作り出しましょう。
◆会計報告(97、11、21~98、4、2) 
収入の部      金額       備考 
繰越金        504,755 
年会費・カンパ   619,969 グッズの売上、雑収入、シンポジウム収益金なども含む  
合計       1,124,724  
支出の部      金額       備考 
郵送費        131,440 会報発送、資料発送など  
紙代          18,919 会報、チラシ、資料など  
事務用品費     17,517 タックシールなど 
事務所維持費   472,045 家賃、電気、電話、コピー機、印刷機、水道など 
旅費         142,000 東京2名、講師宿泊費など 
その他         37,375 封筒1万枚など  
合計         819,296 
  (収入)1,124,724-(支出)819,296=305,428円
◇会員拡大にご協力を!
 皆様方の資金面でのご協力に、厚く御礼申し上げます。年会費を納入された方、ハウス応援団で御協力いただいている方には大変失礼ながら、今回、郵便振替用紙を同封させていただきました。また、今後さらに活動を広げていくためにも、皆様のお近くの方に川辺川の事をお話しいただき、会員を1名増やしていただけないでしょうか。年会費(1000円) を納入された方には、会報「かわうそ」をお送りします。よろしくお願い致します。

◆ダム建設が止まった町  
    矢田ダムを見学しました!
 建設省が昨年建設を中止・休止した18のダム計画の中に、大分県・矢田ダムが含まれていました。そこで、地元・大野町の町長さんや住民団体の方との交流を含め、2月10日からの2日間にわたり現地調査を行いました。
 昭和44年、建設省は一方的に矢田ダム計画を発表しました。水没戸数は190戸。治水、都市用水(工業用水・水道用水)を目的にしています。何よりも、水没住民諸団体の徹底した反対運動が、ダム「休止」となった最大の理由のようです。また、都市用水の需要が当初の予想を大きく下回ったこと、さらに治水面でも下流域からダムを求める声は聞かれなかったことは、川辺川ダムとも類似している点でした。 結局、地元にとって28年間も振り回されてきたダムとは①人心を破壊するもの、②地域振興を著しく遅らせるもの、③ダム対策のために余計な出費を強いるもの、ということが分かりました。
         「アメリカでダムの時代は終わった」と宣言した
          アメリカ開墾局総裁ダニエル・ビアード氏
          の講演会に手渡す会スタッフ参加(福岡市)  
             1998.3.28 緒方撮影

         アメリカ開墾局総裁ダニエル・ビアード氏
          の講演会後、交流する手渡す会スタッフ(福岡市)
          1998.3.28 手渡す会撮影

◆編集後記 
 11月は、国際的な見地から河川行政に疑問を投げかけている鷲見一夫教授(新潟大) が、12月は、世界的な環境ジャーナリストであるフレッド・ピアス氏、水生昆虫の権威である谷田一三教授(大阪府立大) 、淡水魚研究の第一人者である川那部浩哉氏(琵琶湖博物館館長)が相次いで川辺川を現地調査されました。忘年会は、上のご三方をゲストに、くま川ハウスは50人の大入り満員となりました。(同封の新聞記事をご参照ください) 3月28日、福岡で「アメリカでダムの時代は終わった」と宣言された、ダニエル・ビアード氏の講演会に参加しました。95年2月に手渡した英文の文書や、96年9月の長良川デーで御覧になった川辺川の写真もよく覚えておられ、次回は是非川辺川を訪れたい、と述べられました。(N.O.)

会報かわうそ18号 1997年12月1日発行

会報 かわうそ 18号   
         [発行責任者] 
          清流球磨川・川辺川を
          未来に手渡す流域郡市民の会 
          会長 池井 良暢 熊本県人吉市新町16番地
            1997年12月1日発行 TEL・FAX0966-24-9929


◆今こそ川辺川ダム建設中止を!
 全国のダム建設見直しを進めてきた建設省は今年、全国で18のダムを建設中止や休止とすることを発表しました。長良川河口堰の運用開始を決めた際、当時の野坂建設大臣が「国家が国民の血税を使って行う公共事業に間違いはない」と言い切ってから2年、建設省の言う事は180度変わったのです。
 川辺川ダムによる利水事業は不要として裁判所に訴えた農家(原告団)は、9月3日に対象農家の過半数を越える2060人に達し、同事業は実質的に実施不能の状態に追い込まれています。また治水面でも、ダム放流による洪水や市房ダムとの統合管理、基本高水流量の過大設定などの問題点が、最近の各政党の調査でもますます浮き彫りにされています。
 このような目的が失われた川辺川ダム建設に、今後2000億円以上の私たちの血税がムダに使われるのです。次に中止すべきダム建設は、川辺川ダムです。
 五木村にとっても、村の中心地と広大な自然環境がダムに沈んでしまっては、今後の地域振興に限りなく大きなダメージを与えるのは明白です。また建設省は、中止するダム建設に投入してきた国の補助金について、地元自治体に返還を求めない方針も固めました。「立派な道路と代替地ができて、ダムはできない」のが、五木にとっても最良の道なのではないでしょうか。
 川辺川ダム計画は、水没によって生活権を奪われる五木に30年以上にわたる苦難を強いてきました。今後、ムダなダム建設に使われる私たちの血税は、五木村の地域振興に投入すべきです。これだけ条件が整ってきた今こそ、川辺川ダム建設は中止させるべきです。         第1回川辺川現地調査 川辺川河畔交流会
         1997.8.30 緒方撮影


       第1回川辺川現地調査 人吉市内パレード
        1997.8.31 緒方撮影


◆手渡す会・7月~11月の出来事
97. 7. 5 討論「九州の自然を壊す公共事業」で川辺川ダムも報告(博多)
     博多・天神で川辺川ダム問題のビラ配布。
  7. 9 矢上代議士の「川辺川ダム事業計画の見直し」要請に建設省は
      「見直さない」と回答。
  7.20 シンポジウム「諫早湾のギロチンが川辺川を狙っている」
  7.22~ 民主党が川辺川ダム問題を現地調査。
  8.10 ダム審答申1周年記念シンポ(人吉商工会議所80人参加)
  8.27 建設、農水、大蔵、環境の各省庁に川辺川ダムと利水事業見直し要請。(東京)
  8.30~ 川辺川現地調査会、研究討論会(JA球磨人吉支所200人参加)
  9. 1~ 共産党が川辺川ダム問題を現地調査
  9. 3 川辺川利水裁判第4回公判。原告と補助参加で2060人に。
  10. 4 建設省、2年ぶりに川辺川ダム事業説明会。住民から意見相次ぐ。
  10.18 中島重旗氏(熊大名誉教授)をまねき学習会。「ダムができれば川はどうなるか」(紺屋町会館30人参加)
  10.19 川辺川のアユ食い大会(中川原公園60人参加)
  11. 3 横山隆一氏(日本自然保護協会)を招きクマタカ学習会(人吉カルチャーパレス30人参加)
  11.8,9水源連大会(神奈川県)に参加。
       第1回川辺川現地調査 パネルディスカッション
        1997.8.31 川辺川現地調査報告集より


        第1回川辺川現地調査 パレードとカヌーデモ合流交歓
         人吉市水の手橋
         1997.8.31 川辺川現地調査報告集より


◆連続シンポジウム、いずれも大成功! 
◇7/20 人吉カルチャーパレスにて
 「諫早湾のギロチンが川辺川を狙っている」と題し、ムダな公共事業と環境破壊を問うシンポジウムを7月20日に開催し、約300名の参加者を得る事ができました。
 各パネラーは、「この事業でメシが食えるのは役人と土建業だけ。川辺川ダムを造らんがために農家をダシにしている」(川辺川利水裁判原告団長の梅山究さん)、「官僚は情報を隠すし、何を言っても通らない。諫早や川辺川の問題は、民主主義の問題だ」(諫早干潟緊急救済本部の山下弘文さん)、「自然破壊とは何かと何かのつながりを分断すること。ダムが建設されることで何が分断されるのか考えてみては」(日本自然保護協会の横山隆一さん)などと講演されました。
 後半は、熊本県弁護士会の竹中敏彦さんをコーディネーターにパネルディスカッション。最後に「ムダな巨大公共事業に地域住民の声を正しく反映させ、その必要性を科学的に検証し事業計画を見直す事を関係機関に求める」大会アピールを採択しました。
        シンポジウム「諫早湾のギロチンが川辺川を狙っている」
          1997.7.20 人吉カルチャーパレス 緒方撮影

        シンポジウム「諫早湾のギロチンが川辺川を狙っている」
         1997.7.20 人吉カルチャーパレス 緒方撮影


◇8/10 人吉商工会議所にて
 川辺川ダム事業審議委員会の答申1周年に合わせ、川辺川ダム事業とダム行政を考えるシンポジウムを8月10日、人吉商工会議所で開催しました。わずか2週間という短い準備期間だったにもかかわらず、会場は約80名の参加者で満席となりました。
 各パネラーは、「ダム審は住民の意見を取り入れる場でも、ダム計画の妥当性を科学的に検証する場でもなく、行政側の主張のみを取り入れ、事業継続を表明させる場でしかなかった」(手渡す会・原豊典さん)、「治水計画の問題点を指摘したが、取り上げられなかった」(ダム審に参考人として出席した毎日新聞記者・福岡賢正さん)、「ダムサイト予定地は地質に問題がある」(元熊大教授・松本幡郎さん)などと指摘。会場からも活発に意見が出されました。
 なお、開催に先立ち「手渡す会」などの地元市民グループは、建設省に担当職員の出席を求めましたが、建設省側は出席を拒否しました。
        川辺川ダム事業とダム行政を考えるシンポジウム
         1997.8.10 人吉商工会議所 緒方撮影


         川辺川ダム事業とダム行政を考えるシンポジウム
          1997.8.10 人吉商工会議所 緒方撮影



◆会計報告(97、6、21~11、20) 
収入の部      金額       備考
繰越金        443,449 
年会費・カンパ   932,636 グッズの売上、雑収入なども含む  
合計       1,376,085  
支出の部      金額       備考 
郵送費       241,068 会報発送、資料発送など  
紙代          31,174 会報、チラシ、資料など  
事務用品費      22,427 タックシールなど 
事務所維持費   438,896 家賃、電気、電話、コピー機、印刷機、水道など 
書籍購入       50,100 諫早関係、現地調査報告集など 
旅費          50,000 水源連大会、神奈川  
その他         37,665 街宣許可、旗竿、水源連会費など 
合計        871,330   
(収入)1,376,085-(支出)871,330=504,755円
■会員拡大にご協力を! 皆様方の資金面でのご協力に、厚く御礼申し上げます。今後、さらに活動を広げていくためにも、皆様のお近くの方に川辺川の事をお話しいただき、会員を1名増やしていただけないでしょうか。 年会費1000円を「郵便振替01970-1-27826 清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」までお振り込みいただいた方には、年4回程度、会報「かわうそ」をお送りします。よろしくお願い致します。


◆川辺川ダム説明会、住民の疑問相次ぐ!
 建設省は10月、2年ぶりに川辺川ダム説明会を開催した。川辺川ダム建設の「4つの目的」とされるもののうち、『発電』はダム建設により水没する、現在稼働している発電所の発電量を補うに過ぎず、『流水の正常な機能の維持』はダムのない状態が正常な川であることは明白であり、『かんがい』も、恩恵を受けるはずの農家の過半数が裁判所に異議を訴え、3つの目的は完全になくなったと言っても過言ではあるまい。残る論点は『洪水調節』だけであり、説明会もそれを中心に説明が行われた。
◇治水計画の過大な設定
 川辺川ダムは、80年に1度の確率で起こる洪水、すなわち人吉地点で毎秒7000トンのピーク流量を想定して造られるという。ところが、きちんとしたデータのある昭和29年以降、最高の流量は昭和57年の5700トン。昭和40年の大水害でさえ5000トンである。それ以降、河川改修や幼樹林の成長で洪水の起きる要因は減少しているはずである。にもかかわらず、過大な洪水を想定し、巨大なダムを造る必要はない。
◇代替案の検討も不十分
 ダム以外の5つの代替案(河川改修や遊水地、放水路など)を示し、「いずれの案よりもダム建設が最もよい」と説明していたが、それらを有機的に組み合わせれば無数の方法が考えられるはずである。「他の組み合わせ案は検討しないのか」と質問したが、検討はしないと明言した。結局、ダムを造ること自体が目的になっている。ア
メリカなどの先進国では、住民の意見をもとに何十もの案を絞り込んで行くという手法が採られているのだ。
◇市房ダムとの統合管理は不可能!
 「市房ダムとの統合管理は現時点ではできない」と建設省は明言した。
◇毎秒5160トンもの非常用放水門
 川辺川ダムには毎秒5160トンも放流できる非常用放水門があり、使用される事もあり得ることも分かった。洪水時に放流されたら下流はひとたまりもない。さらに、昭和40年水害を体験された方は「市房ダムによって引き起こされた災害だ」と
怒りを込めて述べられた。多くの疑問点を残したままダム説明会は終わった。ダム建設に対する疑問は募るばかりだ。

◆編集後記
 8月の川辺川現地調査では、各地から200人以上の参加があり、また輪が広がりました。「川辺川現地調査報告集」を、今回同封させていただきました。11月に水源連大会が神奈川で行われた際、首都圏在住の「手渡す会」会員や、川辺川ダム問題に関心を持つ方が20名近くも集まり交流会が開かれ、初代環境庁長官・大石武一さんもかけつけられたそうです。東京でも会が設立できそうな勢いです。忘年会には、世界的なダム問題ジャーナリスト、フレッドピアス氏も参加されます。本当に広がってきたなと実感できる1年でした。来年は「手渡す会」も早や6年目です。皆様、よいお年をお迎えください。(N.O.)