[発行責任者]
清流球磨川・川辺川を
未来に手渡す流域郡市民の会
会長 池井 良暢 熊本県人吉市新町16番地
1998年7月6日発行 TEL・FAX0966-24-9929
◆あなたの声を伝えてください!
川辺川ダム事業計画に、異議申し立てを
建設省は6月9日、川辺川ダムの基本計画変更を官報に告示しました。当初350億円だった総事業費も、これで2650億円にはね上がります。
ダム建設の目的や規模の見直しはなされず、また、この財政難の中、熊本県の負担金も580億円(熊本県民1人あたりなんと3万4000円!)にのぼることから、「計画変更は不当」として行政不服審査法に基づき建設大臣に異議申し立てを行うことに決定しました。
異議が認められたら、ダム建設中止に向け大きく前進できます。異議申し立てに対して、建設省は口頭審理など異議を聞く場を設け、記録も残す義務もあります。また、川辺川流域に限らず、国民全てに(未成年者でも)ダム建設に異議を申し立てる権利があります。ダム事業そのものを対象とした異議申し立ては全国でも前例がなく、ムダな公共事業の象徴として全国的運動に発展させる大きなチャンスでもあります。
※そこで、皆様方にお願いです!
①同封の異議申し立て文(A)にご賛同いただける方は、右下の「委任状」欄に署名捺印してください。(6人以上の署名が集められる方は、コピーを取ってくだされば幸いです)
②ご自分で異議申し立て文を書いていただける方は、同封の書式用紙(B)に「異議申し立ての趣旨」「異議申し立ての理由」「住所・氏名・年齢」を書かれ、捺印してください。(手書きでもワープロでも結構です)
異議申し立ての期間は60日以内です。7月24日(金)必着で、下記「異議申し立て事務局」まで郵送してください。よろしくお願い致します。(返信用封筒などを同封すべきところですが、経費節減に何卒ご理解ください)
(異議申し立て文・送付先) 〒868-0004熊本県人吉市九日町93 木本雅己宅
お問合せ 電話0966(22)4004
異議申し立てを訴える、会報かわうそ20号一面
◆手渡す会・4月~6月の出来事
98. 4. 9 建設省、来年度後半に本体着工と記者発表。
5. 2~3「川辺川リバーミーティング98withうんばば中尾」
60艇、120人が参加。(相良村~人吉市)
6. 7 「県民の会」総会。日本自然保護協会の横山隆一さん「川辺川を
守る戦略と戦術」と題する講演。
6. 9 建設省、川辺川ダム基本計画の変更を告示。「手渡す会」「県民
の会」など、異議申し立て活動を開始。
6.17 川辺川ダム補正予算(追加要求)がゼロ査定に。
6.19 川辺川利水裁判第7回公判。
6.28 「川辺川を守る福岡の会(仮称)」第1回学習会。福岡市立青年
センターにて、26名参加。福岡でも異議申し立て活動を開始。
「川辺川リバーミーティング98withうんばば中尾」
カヌーデモ(胸川) 1998.5.3 緒方撮影
「川辺川リバーミーティング98withうんばば中尾」
前夜祭でのうんばば中尾、森徳和弁護士ら
1998.5.2 緒方撮影
◆川辺川利水裁判・第7回公判の報告
「本日、川辺川土地改良事業の根拠が音を立てて崩れました」国宗弁護士の感慨深い意見陳述が法廷に響き渡ると、傍聴に駆けつけた多くの人が目を潤ませました。 6月19日、熊本地方裁判所で開かれた川辺川利水裁判の第7回公判では、原告農民と弁護士、支援団体が一体となって進めてきた、対象農民への同意調書の聞き取り調査の結果が報告されました。それによると、例えば用水事業では農水省側が「事業に同意した」とする3913人に対し、不同意者が1714人となるなど、農水大臣の「3分の2以上の同意」という虚構は完全に崩れ去ったのです。 調査した対象農民の実に9割近くが、「自分の署名・捺印ではない」などの理由で同意していないことが明らかになったのです。中には、すでに死亡していた人が署名・捺印しているケースが7件もありました。 今後の課題としては、農民一人ひとりについて同意書の有効無効を確かめる根拠調べを裁判官にやってもらうことだと、板井優・弁護団長は話されました。
収入の部 金額 備考
繰越金 305,428
年会費・カンパ 724,296 グッズの売上、雑収入なども含む
合計 1,029,724
支出の部 金額 備考
郵送費 182,480 会報発送、資料発送など
紙代 9,733 会報、チラシ、資料など
事務用品費 5,912 タックシールなど
事務所維持費 220,456 家賃、電気、電話、コピー機、印刷機、水道など
旅費 88,306 岡山2名、講師交通費など
その他 18,818 水源連負担金、水道工事費など
合計 525,705
(収入)1,029,724-(支出)525,705=504,019円
◇ありがとうございました!
前号の会報に、郵便振替用紙を同封させていただきましたところ、多くの皆様方から多額の年会費・カンパをいただきました。厚く御礼申し上げます。
住所の変更や、事務局あてへのご意見などございましたなら、振替用紙の通信欄にお気軽にどうぞ。電話やFAX、お手紙でも結構です。
◆川辺川を守る戦略と戦術
去る6月7日、「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」の総会が熊本市内で開催され、日本自然保護協会の横山隆一さんが「川辺川を守る戦略と戦術」と題した記念講演をされましたので、報告します。
「手渡す会」の目的は、川辺川ダム建設の見直しと、川辺川の価値を知ってもらうことになっているが、そのためには「この川にダムを造ってなぜ悪い」と思っている人に、この川の価値を分からせる事が大切です。
戦略とは、誰を味方にして誰を敵にするかを明確にする事で、戦術とはどう戦って行くか、守るものは何かをはっきりさせることです。例えば、建設推進者に対しては、今はどの手段を使って戦うのが効果があるのかを考え、味方にしたい一般市民には、こちらに注目してもらうネタには何がよいかを考えることが重要です。
クマタカは、生態系の中で弱い(絶滅しやすい)生物であり、自然の状態が分かる指標生物です。貴重なクマタカが住んでいることは、川辺川の価値を語っているようなものです。ダム反対運動は多方面から運動を展開していく必要があるが、クマタカが子孫を再生産でき、その種が存続できるような環境を守るという点からも運動を展開していってほしい、などと語られました。
◆編集後記
建設省は4月9日に、1999年度後半に川辺川ダム本体工事に着手すると記者発表しました。これまでは「2001年までに本体着工する」と言っていたのを、なぜ唐突に2年も繰り上げる必要があったのでしょうか。まず2001年には、現在係争中の利水裁判も農水省側が破れ、ダム建設目的の見直しを余儀なくされているでしょう。「過大である」との指摘が大きい基本高水流量も、新河川法により実績流量から再計算しなければなりません。橋本首相の「時のアセスメント」の対象にもなるべきですし、国の財源も今以上に苦しくなるでしょう。ということは、2001年までに本体着工を引き伸ばすことができれば、ダム建設中止の可能性もますます大きくなると言えます。まずは、異議申し立てです!(N.O.)