[発行責任者]
清流球磨川・川辺川を未来に手渡す
流域郡市民の会 会長 池井 良暢
1995年12月1日発行
◆12月17日(日)「週刊金曜日」講演会
人吉カルチャーパレスにて開催します!
ゲスト 椎名 誠(作家)
本多勝一(ジャーナリスト)
野田知佑(作家)
佐高 信(経済評論家)
保母武彦(宍道湖淡水化事業を
中止させた島根大学教授)
「週刊金曜日」という雑誌をご存じですか?市民の立場に立ち、各地の住民運動も支援している創刊2年を迎える雑誌です。その週刊金曜日の主催により、人吉で「川が育むふるさと-今ダムを考える」というテーマで講演会が開かれることになりました。
全国でも著名な豪華ゲストが、川辺川ダム問題をずばりと斬ります。ダム問題を正しく理解し、将来のために賢い選択をするためにも是非お話を聞きたいですね。日頃はめったに聞けない、素晴らしい、また楽しいお話が聞けると思います。年末の日曜日でお忙しいこととは存じますが、ご家族・ご友人お誘い合わせの上、多数のご参加をお願いします。
◆川辺川で「絶叫ジャンプ大会」
「川辺川はおれのものだ!」「ダムなんていらないぞ!」9月3日、相良村境田橋付近の川辺川で、「絶叫ジャンプIN川辺川」(同実行委主催)が開かれました。
絶叫ジャンプは、高さ4mの岩の上で思い思いの言葉を叫んだあと、川辺川へ飛び込むもので、ただの「ギャー」から自然保護派の絶叫までさまざま。大きな声が河原に響き渡り、水しぶきが上がりました。タレントのウンババ中尾さんもかけつけ、大いに盛り上がりました。
中にはカヌーに乗ったまま飛び込む人や、高さ10mの境田橋の上から飛び込む人も続出しました。これも、自然がそのまま残されている川辺川だからこそできる事です。もしダムができたとしたら、川は濁り、水量は減り、下流への砂礫の供給が止まるため、淵も大きな石で埋めつくされます。なんとかダム建設を止め、この「宝物」を子供たちに手渡したいですね。
相良村境田橋付近の川辺川
1994年7月10日 手渡す会撮影
◆手渡す会・7月~11月の出来事
7/3 「7・3水害から30年、ダムと水害を語る会」(下青井会館)
7/7 建設省川辺川ダム説明会(治水)に参加、質疑。
7/23 「手渡す会」総会(青井神社にて)
7/31 建設省のダム説明会に対する公開質問状提出。
8/4 建設省川辺川ダム説明会(地質)に参加、質疑。
/28~ 川辺川土地改良事業への異議申立てに関する口頭審理(3回目)
9/3 「絶叫ジャンプIN川辺川」に参加。
9/6 川辺川ダム事業審議委員会は「事業推進の立場の県知事が委員を選んでいるので、住民の意見は反映されない」として、白紙撤回を県知事に要請。県当局と話し合い。
9/8 川辺川ダム事業審議委員会の初会合。「地域住民の意見をダム事業に反映させる」はずが、住民の傍聴をシャットアウト。
9/13 「川辺川・この川を残そう!」上映会(くま川ハウスにて)
9/18 「ありがとう!福岡賢正さん」お別れパーテイー(くま川ハウスにて)
9/30 建設省川辺川ダム説明会(環境・地域振興)に参加、質疑。
10/9 川辺川ダム事業審議委員会の現地視察。「十分な審議を行うため、審議期間をあらかじめ設定しないこと」「審議委員会の住民傍聴を認める事」などの申し入れ書を提出。
10/18~日本弁護士連合会の全国集会で、川辺川ダム問題も報告される。その後、四万十川、早明浦ダム、大渡ダム、木頭村などを視察。(手渡す会より8名参加)
10/28 足羽川ダム建設反対全国大会(福井県)参加。
11/4~5五木村「子守唄祭」にてチラシ配布などの広報活動。
11/12 川辺川ダム事業審議委員会の公聴会。「わずか16名、一人あたり15分の制限時間では、地域住民の意見は把握できない」として、2回目の公聴会開催を求める申し入れ書を提出。
11/16 建設省に対して、資料公開と「川辺川ダム建設を中止した場合における五木村の立村計画も立案・提示し、住民に選択肢を与える」などの申し入れと、話し合い。
11/22 県知事に対し、川辺川ダム事業審議委員会のメンバーの見直しと公聴会の再度開催を要請。県当局と話し合い。
建設省川辺川工事事務所との交渉 手渡す会撮影
左より大山さん、西村さん、藤原さん、重松さん、原さん
右側の中央は、光成調査設計課長(当時)
◆建設省の動きと私たちの対応
長良川河口ぜき問題をきっかけに、大規模公共事業の見直しについて社会的関心が高まったのに対し、建設省は今年6月30日、川辺川ダムを含む全国11のダム事業について、計画の変更や中止を含めて見直すための審議委員会を設置すると発表しました。
しかし、それは五十嵐元建設大臣が提起し、私たちが求めていた「第三者機関としての見直し機関」ではなく、建設省主導の「見直し」であり、また、審議委員会のメンバーを事業推進の立場をとる知事が推薦することになっており、手渡す会では「審議委員会の白紙撤回」という基本姿勢をとっています。 「川辺川ダム事業審議委員会」は9月の初会合、10月の現地視察、11月の公聴会と、次々と動きを見せていますが、私たちもそれに対応して「地域住民の意見を反映させるために」(これは審議委員会の目的であります)何度も申し入れ、話し合いを行っております。
また建設省は7月から、計画発表以来29年目にして初めて、一般住民を対象にした「川辺川ダム説明会」を3回にわたって開催しましが、説明も住民の納得のいくものにはほど遠く、住民の疑問や不安は一層大きくなったと言えるのではないでしょうか。
川辺川ダム事業審議委員会の会場前で、
福島知事(当時)に詰め寄る原豊典さん
熊日新聞 1995年9月9日
◆会計報告(95、6、16~95、11、15)
収入の部 金額 備考
繰越金 434,877
年会費・カンパ 1,273,704 グッズの売上、雑収入等も含む
合計 1,708,581
支出の部 金額 備考
郵送費 378,341 会報発送など
紙代 52,032 ニュース、チラシ、資料など
事務用品費 17,568 封筒、文具、など
事務所維持費 453,402 家賃、電気、電話、コピー機、印刷機、水道など
旅費 159,534 四国8名、福井1名、など
ビデオ制作費 266,358 パソコンソフト、ダビング(200本)
ダム説明会撮影 60,000
その他 233,900 印刷外注、会場費、器材借用など
合計 1,621,135
(収入) (支出)
1,708,581-1,621,135=87,446円
◆手渡す会の財政が逼迫しております。この会報を会員、協力者の皆様に発送すれば、財政も底をつきます。(赤字分は個人負担となってしまいます) 大変失礼かとは存じますが、郵便振替え用紙を同封させていただきました。まだ会員になられていない方は、是非会員になっていただきたいと思います。また、年会費(1000円)を納入されていない方は、納入をよろしくお願いします。もちろん、カンパも大歓迎いたします。手渡す会は、市民の皆様の浄財で成り立っております。ご意見・ご要望をぜひ通信欄にお書き添えいただければ幸いです。
◆見て!見て!見て!
「川辺川・この川を残そう!」
ビデオ 40分 VHS用 1500円
パソコン上で、写真、音声、音楽を編集してスライドショーを作り、ビデオテープに録画しました。内容は「ダムの水」「ダム下流の町」「ダム建設・4つの目的とは!?」「緑のダム」「五木村」「楽しい川」「お知らせ」の7部からなっています。
作ったのは、ワープロにも触ったことのない、どしろうとのアタシ。完成品として作り上げる自信などなかったので、皆にはナイショで始めました。
幸い「パソコンの天才児」「愛と勇気と美声の男」「美貌のアナウンスクイーン」の3人の応援を得て、長い歳月(のべ25日間)と幾多の苦難(ほんとはすっごく楽しかった)の末、テスト版完成。手渡す会の皆に見てもらい手直し。最終盤完成!ダム問題を訴える、手渡す会初のビデオができました。川のために何かしてやりたい、という気持ちを形にすることができたうれしさで一杯です。皆で、山・川・海の美しさを、素晴らしさと大切さを、そしてそれを破壊する事の不当さを訴えていきましょうよ!(R.S.)
○ビデオが欲しい方は…同封の振り込み用紙に送料込み1800円 通信欄に「ビデオ希望」とご住所、お名前をお書きになればOK! 入金確認後、直ちに発送いたします。(お問い合わせ佐藤まで0966(24)5631)
川辺川に飛び込む高校生
相良村権現橋 1994年夏 手渡す会撮影
◆編集後記
早いもので、1995年もあとわずかです。今年は建設省が動きました。町内会の回覧板を使ってのダム宣伝ビラまき、ダム説明会、そしてダム審議委員会。私たちの税金で一方的な宣伝をする事には腹が立ちますが、これは建設省としても一方的にダム事業を進めることができなくなった事の表れでもあります。状況は変わりつつあります。17日には椎名誠さんをはじめ、豪華ゲストを迎え、今年最後の大イベントを行います。カルチャー大ホールを満員にしたいと頑張っておりますので、どうぞたくさん人を連れて、おいでください。お待ちしていまーす!忘年会を25日(月)7時より、くま川ハウスで行います。大いに盛り上がりましょう。(料理持ち込み大歓迎です!) では、よいお年をお迎えください。(N.O.)
皆様方のご感想、ご意見、ご要望をお待ちしております。
人吉市新町16番地「くま川ハウス」までどうぞ ■0966(24)9929