2008年10月10日金曜日

会報かわうそ6号 1994年5月9日発行

会報 かわうそ 6号
   〔発行責任者〕
     清流球磨川・川辺川を未来に手渡す
     流域郡市民の会 会長 池井 良暢
       1994年5月9日(月)発行

◆くま川ハウス5月21日(土)にオープン!
 2月に中川原に完成しました、私たち郡市民の会の集いの場でもある「くま川ハウス」のオープニングイベントが、5月21日に行われます。これまで、毎週水曜日の事務局会や、署名用紙やビラ等の印刷、会員の語らいの場として使われてきました。ハウスの中も、印刷機やコピー・電話・FAXやデスクなどの事務用品や、43インチ大画面のテレビ・ビデオ・ステレオ・水槽・コーヒーメーカー・キッチンなど、会員のみなさんの寄贈などによりとても充実し、楽しい雰囲気になりました。これからも、会員のみなさんを始め、いろいろなみなさんの楽しい集まりの場になってほしいと思います。

   完成間もない初代くま川ハウス
      1994年3月重松さん撮影
    左から藤原宏さん、青木栄さん、熊大の先生、原豊典さん、
    佐東チヨキさん、緒方紀郎さん、高場英二さん、緒方みどりさん

◆川辺川ダムで、
  清流球磨川も観光人吉も消滅する
        今が最後のチャンス!
           共に立ち上がろう!
 くま川ハウスの九日町側に、上のような看板を出しました。私たちの市民運動や、郷土の自然に対する思いを、どう市民にアピールして行くか、昨年の末から看板の文句を何度となく検討しました。大変目立つ大きな看板で、九日町の旅館街の窓からもはっきりと分かります。この看板とともに、市民が郷土の自然の危機について、目を開いてくれることを願わずにいられません。

◆水源開発問題全国連絡会の遠藤氏
  川辺川ダム建設予定地を視察に来人
 7月30日、31日の両日、水源開発全国連絡会と球磨川流域の各市民団体との共催で、1000人規模の全国集会(仮称・子守唄の里五木と清流球磨川を守る全国集会)を開きます。遠藤氏は、その準備のために5月5日から6日にかけて人吉を訪れました。1日目はダムサイト予定地や五木村の現状、相良村の既存の水路などを視察しました。
 2日目は、まず手渡す会のメンバー三人とともに人吉市役所を訪れ、経済部長や農業整備課長と話し合いを行いました。これは、ダムから水を引く事のよって成立する国営かんぱい事業が、農家からの申請によって行われる法律の建て前であるのに、人吉市を含む流域の市町村が本来の業務をおろそかにして総ががりでその同意印を取りまくっている事に対して市の姿勢を質したものです。
 午後は、相良村柳瀬の川辺川と球磨川上流部との合流点で、清流と濁流のくっきりした違いを確認。球磨川左岸に広がる水田地帯の広がりを視察し、ダムに代わる洪水対策の案作りに着手しようと話し合いました。

   五木村頭地 1994年 手渡す会撮影


◆「川辺川利水事業」計画変更の
   同意取得に問題あり!
 「川辺川利水事業」計画変更の同意取得作業が、2月より始まっています。川辺川ダムを造り、その水を農業用水として利用しようという26年前(昭和43年)に計画された事業ですが、社会情勢が一変した現在、「これ以上水が欲しい」という農家はほとんどいません。
 それならば、国営事業にかかる農家の直接負担金をゼロにして、受益農家を引き止めようとするのが今回の計画変更の大筋だといわれています。しかし、農家の直接負担金が減る分、市町村負担や県負担が増えています。流域の住民や県民は、知らない間にそのしわよせを受けているのです。巨額の税金がさして必要のない、そして害悪の大きい巨大なダムや水路を作るために使われるのです。
 農家にとっても、国営事業(ダムと幹線水路、ファームポンド)に対する負担金はゼロなのですが、その後に行われる県営や団体営の事業(末端水路など)に対しては負担金を払わねばならず、水代も払わねばならないのに、そこの所は口にせずに町の職員が一戸一戸農家を回り、同意印を集めています。 最近の新聞各紙によると、「水が欲しい」という農家はほとんど無いのに、利水事業の同意の印鑑は、受益者の8割も集まったといいます。なぜそういう事になるのでしょうか。
 我々が多良木町を中心に集めた農家の方々の証言です。
『役場のもんが何度もくっで、印鑑を押した』
『水のただで来るといわれたので、印鑑を押した』
『利水事業の取り消しの印鑑ちゅうで、印鑑を押した』
『国営の幹線水路は負担金はいらんで、その後は水のいるもんだけ水を引けばよかちゅうで、印鑑を押した』
『利水事業の除外地になったで、その印鑑と言われて押した』などなど……ひどい同意の取り方です。現在、「同意取り消しの通告書」集めに、手渡す会でも受益農家を回っています。受益者の2/3以上の同意で、この利水事業は始められるといわれます。ダム本体着工を阻止するためにも、よく分からぬまま印鑑を打たされてしまった農家の「同意取り消しの通告書」を一戸でも多く集めなければなりません。
 また、この利水事業の本質について、受益対象農家でも良く理解していない方が大変多いのが現実です。(でないと、農家の大部分は水はいらないと言っているのに8割も同意が取れるわけがありません)新聞投稿など、あらゆる方法でこの事実を住民に、行政に、議会に知らせて行かなければなりません。

     人吉新聞記事 1994年5月10日 

…今後の「手渡す会」スケジュール…
5月21日(土) くま川ハウス開き
6月4日(土)  「海・山・川を守る会」第6回九州住民運動交流合宿 生越忠先生の講演
  ~5日(日) 川辺川ダム本体着工阻止街頭宣伝
6月17日(金) 福岡賢生さん「国が川を壊す理由」出版祝賀会(PM7:00~青井神社)
7月10日(日) じいちゃん・ばあちゃんのやかた祭り
7月30日(土) 仮称・子守歌の里五木と清流球磨川を守る全国集会(カルチャーパレス大ホール) 
  ~31日(日)  川辺川ダム本体着工阻止街頭宣伝
一人でも多くの参加者を集め、市民に、全国に、郷土の危機をアピールしましょう!