2008年10月31日金曜日

会報かわうそ16号 1997年4月14日発行

会報 かわうそ 16号 
       [発行責任者] 
        清流球磨川・川辺川を
        未来に手渡す流域郡市民の会  
        会長 池井良暢 
          熊本県人吉市新町16番地
          1997年4月14日発行



◆川辺川利水裁判の勝利が見えてきたぞ!
 川辺川ダム建設による利水事業をストップさせるため、866戸の農家らは昨年6月、農水大臣を相手取り行政訴訟を起こしました。今年2月26日に行われた第2回目の公判では、さらに321戸の農家がこの裁判に補助参加しました。
 つまり、合計1187戸もの農家がこの利水事業は不要として司法に訴えた事になります。原告と補助参加の合計が4000戸の対象農家の3分の1以上に達すれば、この裁判は勝利します。土地改良法によって事業を進めるには、3分の2以上の同意が必要だからです。
◇農家が裁判を起こした理由(原告の農民や弁護士さんの発言から)
①この利水事業が強行されたら、賛成の人も反対の人も、対象地に農地を持っているだけで膨大な負担金を払う義務を背負うことになる。
②行政が農家へ同意の印鑑を取る時、錯誤や虚偽の説明による例が多数ある。
③現在使用している水利権は取り上げられる。
④この利水事業に対する農家の「異議申し立て」を、行政は「理由がない」 と決めつけ、事業を強行しようとしている。
 この裁判に勝利すると、川辺川ダムは基本計画から見直されることになります。5月21日に行われる第3回目の公判では、さらに多数の対象農家の補助参加が予想され、農水省の事業推進が違法状態になるのは確実です。 このような状況を広く訴えるために、4月9日には「手渡す会」ほか5団体の代表が上京し、自民、新進、民主など6政党に「川辺川ダム本体着工の中止を求める要請書」を提出しました。
◇川辺川利水裁判・第3回公判
 とき  5月21日(水)午後1時30分 
 ところ 熊本地方裁判所101号法廷   
 原告団連絡先 〒868 熊本県球磨郡相良村柳瀬94 梅山究
    電話0966(24)7236  多数の傍聴参加をお願いします。  

        川辺川利水裁判、第1回口答弁論 門前集会(熊本地裁)
         1996.12.4 小杉邦夫さん撮影


◆手渡す会・11月~3月の出来事
96.11.17  「クマタカを守る会」川辺川流域のクマタカ生息調査を開始。
  11.25  「手渡す会」総会と忘年会(くま川ハウス)
  11.29  人吉市議会OBがダム見直し陳情を市長と市議会に提出。
  12. 1  「県民の会」が熊本市で第1回シンポジウムを開催。
  12. 4  川辺川利水裁判、第1回口答弁論。原告農民12人が陳述。
  12.20  建設省本省など3省庁に、川辺川ダム建設中止を要請。
  12.30  第3回「ちょっとまて川辺川ダム、清流リレーマラソン」 
         (五木村~人吉市~八代市、30名参加)
97.2.21  「事業中の川辺川ダム建設などにさかのぼって適用できる環境
       アセス法制化を求める要請書」を環境庁長官に提出。
  2.24  建設省に、仮排水路工事の中止を要請。
  2.27  川辺川利水裁判、第2回口答弁論。原告866人に加え、321人の
       農民が補助参加を申し立てる。
  3.24  福岡県星野村、真名子ダム反対集会に参加。

◆役立たずの川辺川ダムに血税を使うな!
 「ダムは広大な自然環境を破壊するけど、水道水や発電など生活に役立つから、川辺川ダムができるのはしょうがない」と思っている人も多いようです。しかし、川辺川ダムの水は水道水に使われるわけではありません。
 31年も前(昭和41年)に発表された川辺川ダムの目的は、治水・かんがい・発電ですが、河川改修と幼樹林の成長などにより近年洪水が起こることはなくなりました。反対に、大雨の時ダムを守るための放水により、下流の洪水がかえって大きくなり被害を拡大した例が全国にいくつもあります。川辺川ダムができると、人吉市など下流域は市房ダムとの同時放流による大洪水の危険にさらされます。
 また、かんがい事業は不要として866戸の農家らは行政訴訟まで起こしており、発電に至っては水没などにより閉鎖が考えられる4つの発電所の合計発電量をも川辺川ダムの計画発電量は下回るのです。つまり、計画発表から31年もの間にダム建設の目的は全てなくなっているのです。
 水没地・五木村民の方々はダムによる最大の被害者ですが、下流の住民もダムによる洪水や環境破壊の被害者なのです。「下流域のために水没地・五木村が苦渋の選択をされたのだから、立派なダムを造らねばならない」というのがダム建設推進の錦の御旗になっているようですが、下流の住民も多数反対しており、ダム建設の目的がなくなっているのですから、ダム建設は見直されるのは当然です。
 川辺川ダムの付け替え道路建設、移転補償などにすでに1100億円の税金が投入されています。日本国民全員が1000円もの支出を強いられたことになります。今年度も95億円もの予算が付いており、この財政難の中、今後も天文学的な国家予算が不毛な事業に費やされることを、納税者として許す事はできません。おまけに、ダムは土砂に埋まっていき、ダムの寿命は100年と言われています。
 現行法では事実上、官僚の独断でダム計画がつくられ、何百兆円という事業が国会のチェックなしに動くという異常な事態が続いています。しかし、建設省は昨年12月、3つのダム事業を中止させることを発表しました。住民の力が、熊本県知事が戻せなかった「時計の針」を元に戻したのです。
 また、建設省は川辺川ダムの河道変更工事に3年、ダム本体工事に5~7年かかると言っています。うまく行っても、今後ダム本体工事が終わるまで10年以上、ダム運用までにはさらに何年もかかるはずです。ダム見直しは今からが本番です。

◆守ろう川辺川!
   リバーミーティング97with野田知佑
   ~4月26日(土)前夜祭・27日(日)カヌーデモ
 カヌーイストの野田知佑さん、テレビでおなじみの、うんばば中尾さんも駆け付けます。前夜祭ではコンサートも予定しています。おおいに語り合い、楽しみましょう。4月27日は、カヌー初心者ミニスクールも行いますので、カヌーを持たない方、初めての方でもどしどしご参加ください。スタッフも大募集中です。           ストップ川辺川ダム!!カヌーデモ(人吉市)
           1997.4.27 緒方撮影

◆会計報告(96、10、26~97、4、4) 
収入の部      金額       備考 
繰越金        190,729 
年会費・カンパ   874,729 グッズの売上、雑収入等も含む 
合計       1,065,458  
支出の部      金額       備考 
郵送費        164,245 会報発送、資料発送など  
紙代          16,911 会報、チラシ、資料など  
事務用品費      71,425 文具、印刷外注費など 
事務所維持費   451,075 家賃、電気、電話、コピー機、印刷機、水道など 
旅費          43,560 水源連シンポ、高速道路など  
その他         50,680 灯油、県民の会負担金、VTR代など  
合計         797,896
  (収入)    (支出)
 1,065,458-797,896=267,562円
今回、郵便振替用紙を同封させていただきました。年会費1000円未納の方は、ご協力よろしくお願い致します。カンパも大歓迎です。

◆5月25日(日)2つのイベント同日開催!
 5月21日に行われる川辺川利水裁判の第3回公判では、さらに多数の対象農家の補助参加が予想され、川辺川ダム建設の大きな目的は完全に覆されることになります。ところが、このような利水事業に対する裁判が行われている中、また、膨大な財政赤字を抱え公共事業の見直しが政府内でも議論されている中、建設省は、川辺川ダム本体着工の前提となる仮排水路トンネル工事に5月末にも取りかかろうとしています。それを許さないため、また山・川・海のつながりを訴えるために、2つのイベントが計画されました。

◇県民の会シンポ「巨大なムダ 川辺川ダムは誰のため?」
~ダムの水はいらん!ダムもいらん!

◆場所 熊本市大江市民センター
◆時間 午後1時~4時     
◆主催 子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会 
           (連絡先・川本096-365-3836)
 県民の会の第2回目のシンポジウムを、福岡県八女郡星野村の村長さんを招いて開催します。大分県境の奥八女に位置する星野村では、昭和46年に星野川下流の上陽町に「真名子ダム」建設計画が打ち出されましたが、同村一部が水没する事もあって、村あげてのダム反対運動が展開されています。
 また、パネルデイスカッションでは、本来はダムの「受益者」である多数の農民が、なぜダム不要の裁判に立ち上がったのかを明らかにします。

◇球磨川・川辺川源流水リレー 
◆主催 球磨川水系ネットワーク(連絡先・佐藤0966-24-5631)
 九州一の清流川辺川。そして、日本三大急流にも数えられる本流の球磨川。この2つの源流から汲んできた水と、流域各地からもらったメッセージをたずさえて、マシンを使わずに、人力(徒歩、カヌー、自転車など)で源流から八代海まで運びます。また、その途中の要所要所で企画のスピリッツを示すセレモニーを実施します。参加者には、山や川や海そしてふるさとへの思いを自由に表現してもらいます。運営はボランティアで行い、労力や費用一切は、この企画に関わる人たちの手弁当です。(詳しくは同封のちらしをご覧ください)

◆編集後記
 川辺川ダム水没予定地は、絶滅危惧種のクマタカをはじめ2754種の動植物が分布する、生物の宝庫です。去る2月9日、「クマタカを守る会」の調査にはじめて参加しました。思いはあってもそう簡単には出会うことはできないだろうと想像していましたが、ダム予定地からわずか500m上流の山の上を、4羽のクマタカが同時に舞う姿を確認しました。川辺川の自然は絶対になくしてはならない貴重な財産である事を再確認しました。(N.O.)