2008年10月11日土曜日

会報かわうそ7号 1994年8月29日

会報 かわうそ 7号 
       [発行責任者] 
         清流球磨川・川辺川を未来に手渡す
         流域郡市民の会 会長 池井良暢 
            1994年8月29日発行

◆7・30全国集会
  1000人集め、カルチャーが燃えた! 
 たくさんの皆様、ご参加・ご協力ありがとうございました~
 7月30日(土)午後2時より、人吉カルチャーパレス大ホールにおいて「子守歌の里・五木と清流球磨川を守る全国集会」が行われました。月末の土曜の午後であったにもかかわらず、会場には郡市民や全国から様々な人達が参加し、1000人以上がカルチャーパレスの大ホールを埋めました。
 まずは、全国連絡会の遠藤保男さんが基調提案。次に、村ぐるみで細川内ダム計画阻止を打ち出している徳島県木頭村長の藤田恵さんが「国は大きなプロジェクトを小さな村に押し付けて来るが、これは地方自治の侵害。ダム反対は地方自治を守る事」と訴えました。
 次に、五木村の土肥ケイ子さんが、人口の減少など将来の不安を語った後、手渡す会の高場英二さんの「目で見るダム問題」と題した五木村と球磨川・川辺川の現状報告がありました。使用した85枚のスライドは、スタッフの努力の結果です。視覚に訴えたため、分かりやすかったと好評でした。次に、甲斐あきひろさんのオン・ステージ「この川を上って」。会場を埋めた人達の心とぴったり合った曲で、涙をこらえる人もいました。
 休息をはさみ、後半は「五木村と清流球磨川を守るには?」と題したフリートークです。最後に、中高生らで作る「清流川辺川を守る若鮎の会」が登場し、柳原哲郎君が「青かった清流を思い出にしていいのでしょうか」とアピール。集会宣言として建設省への建設に関するデータ公開、ダムに頼らない五木村の立村計画に取り組むなどの要求を採択しました。
 壇上でアピールする清流川辺川を守る若鮎の会(ダムに反対する中高生の会)
      代表の柳原哲郎君  1994.7.30 手渡す会撮影

          満席の人吉カルチャーパレス大ホール
           梅山究さんの姿も見える。 手渡す会撮影

  交流会のスナップ。梅山究さん、緒方俊一郎さん、藤田恵さん(当時木頭村長)、原豊典さん、土肥ケイ子さん、高場英二さん、藤原宏さん、上渕徳光さん、遠藤保男さん、神宮寺清子さんら 手渡す会撮影

        交流会のスナップ。土森武友さんら 手渡す会撮影

   「ちょっと待て川辺川ダム」パレード。人吉市中川原をスタート 手渡す会撮影

      「ちょっと待て川辺川ダム」パレード。人吉市内 手渡す会撮影

◆ハウスは燃えているか…!?
 5月21日の「ハウス開き」(映画・虹の谷上映)で事務所を開設して以来、手渡す会も多様な活動を展開し、くま川ハウスも非常ににぎやかになりました。大型テレビを始め、たくさんの人達からの寄贈で設備も整い、6月4日の海・山・川を守る九州住民合宿、6月29日の福岡賢正さん「国が川を壊す理由」出版記念講演会、そして7月30日の全国大会と、回を重ねるたびにスタッフも参加者も増えて行き、運動も非常に盛り上がりを見せています。
 署名活動をしても、住民の皆様方がダム問題に非常に関心を持たれて来ていることがよく分かります。今後も多様な活動やイベントを行いたいと思いますので、是非、ハウスにお立ちよりください。皆様方のアイディアも、お待ちしています。これまで行ったイベントの中から、いくつかご紹介します。
◇球磨の野の花・押し花で
 押し花を使って、自分だけの作品を作ろうという集いが、6月27日夜、くま川ハウスにて開かれました。集まった約30名の女性が、ウチワやしおり作りに挑戦しました。参加者たちは、講師の重松美代子さんが用意した四季の鮮やかな押し花の中から気に入った花を選び、ピンセットでウチワやしおり等に配置。それを特殊なフィルムで覆い、アイロンでプレスすれば出来あがり。大変好評で、この集いはその後三回も開かれました。


◆「手渡す会」(清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会) くま川ハウスのご案内 
*会長  池井良暢(球磨郡多良木町黒肥地1668-1)
*事務局 重松隆敏(人吉市北泉田町214 TEL0966(22)3917) 
*事務所 くま川ハウス(人吉市新町16 TEL.FAX0966(24)9929) 
毎週月曜日、午後7時30分~9時まで、くま川ハウスにて定例ミーテイングを行っています。一度、のぞいてみて下さい!

◆野坂建設大臣との話し合い実現!
 去る7月22日、水源開発問題全国連絡会と野坂浩賢建設大臣との話し合いが、東京の建設省の建設大臣室で行われました。
 水源開発問題全国連絡会は、私たち「手渡す会」を始め、「長良川河口ぜき建設差止め訴訟原告団」や、7・30全国集会で講演された藤田村長の「細川内ダム反対連絡協議会」など全国16団体が参加して昨年11月に結成されました。いずれも、30年から40年も前に計画され、現在では事業を推進する根拠が全て失われているダム計画を抱えた地域の団体です。
 全国連絡会は、昨年12月24日、細川内閣時の五十嵐建設大臣と初めて話し合いを実現させました。五十嵐大臣は、「水源開発事業などの大規模公共事業は、計画策定から30~40年も経過して、当時と状況が大きく変わり、かなり問題が生じてきている。計画当初の目的が今も有効か否か、客観的に検討・評価して勧告する機関の設置が必要である」と言明されました。
 そこで今回、「水源開発事業などの見直し機関を総理大臣直属の第三者機関として早急に設置する事」などを要請するために、野坂大臣との話し合いを持ちました。話し合いの中で大臣は、今後とも住民との話し合いには積極的に応じる事や、五十嵐前大臣が表明した「水源開発事業の見直し機関の設置」については、その姿勢を引き継ぐことなどを発言されました。
 建設大臣との話し合いを終え、時代は確実に変わりつつある事を実感しました。建設大臣がダムに疑問を持つ市民団体と会ったり、事業の問題を認める発言をするなど、数年前ならとても考えられなかった事です。ベルリンの壁が崩壊したように、時代の流れがダム計画を突き破る日も、そう遠くはないぞと確信しました。
    野坂建設大臣(左端)との話し合い 1994年7月22日 建設大臣室
     手渡す会の緒方紀郎さん、水源連の嶋津さんら 水源連撮影

◇7・30全国集会会計報告 
(収入の部)          
・入場カンパ( 813人分) 813,000
・物品販売の利益     21,340 
・臨時カンパ        32,771
 計             867,111            
(支出の部) 
・通信費         480,875 
・スライド作成       34,560 
・事務用品費        94,097 
・会場費・宣伝接待費  244,603
 計             854,135 
(収支) 867,111-854,135=12,976 
 *残金12,976円は、手渡す会の会計に計上します。

◆今後のイベントのご案内 
◇じいちゃん・ばあちゃんの館まつりについて
 9月11日(日)午後2時から5時まで、駒井田町の「じいちゃん・ばあちゃんの館」(九州技術専門学校前)で行われます。内容は不用品バザーやフリーマーケット、じいちゃんばあちゃんの腕自慢・味自慢など盛り沢山です。たくさんのご参加をお待ちしております。

◇カヌー大会について
 10月1日(土)2日(日)、野田知佑さんを迎え、「清流川辺川を守るカヌー大会」を計画しています。1日にくま川ハウスに来てください。来た人から日本一の清流・川辺川を下ります。夜は、野田さん、菊屋奈良義さんを囲み、朝まで飲み明かしましょう!お問い合わせは、くま川ハウスまで。
◆手渡す会・1周年の歩み
 昨年の8月、私たちの会が発足して早1年が経過しました。私たちの運動が大きな広がりを見せたのも、多くの方方の支えがあったのと、「川辺川ダム計画」自体が多くの問題点を抱えているからだと思います。私たちの1年間の主な歩みを振り返って見ました。
1993,8, 8  「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」発足(青井神社・40名参加)
   9, 4  一斉ビラ配布、署名活動開始(人吉市内) 
    9,23  「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民大会」開催(カルチャー大ホール700名) 
   10, 2  川辺川利水事業対象地域への利水問題のビラ配布開始
   10,17  「川辺川利水事業を考える座談会」黒肥地地区にて
   10,26  「水と農業を語る」講演会 山下惣一氏(相良体育館  100名) 
   11,23  下うけ・松原ダム、日田市訪問ツアー 
   12,24  「水源開発問題全国連絡会」五十嵐建設大臣と初の話し合い
1994,1,25  水害常襲地帯、地区集会開始 
   ~2,15まで4か所  
   4,25  利水を考える会「むらおこしと川辺川シンポジウム」に参加(相良体育館  100名)
   5, 3  多良木地区「利水事業計画変更同意取消し」要求書集め開始
   5, 5  五木村長訪問  *全国連絡会事務局 遠藤氏も同行
   5,13  利水を考える会、 127名の同意取消し要求(九州農政局) 
   5,21  「くまがわハウス」事務所開き(映画・虹の谷上映 100名)
   6, 4  第6回「海・山・川を守る九州住民運動交流集会」*生越忠氏・山下弘文氏講演(第一映劇  150名)
   6, 5  「ちょっと待て、川辺川ダム」街頭パレード
   6,12  ハウスイベント「清流の川石に絵を描く会」30名
   6,27  ハウスイベント「球磨の野の花、押し花で」30名
   6,29  「国が川を壊す理由」(福岡賢正著)出版記念講演会(カルチャー小ホール 250名)
   7,22  「水源開発問題全国連絡会」野坂建設大臣との話し合い 
   7,30  「子守唄の里・五木と清流球磨川を守る全国集会」(カルチャー大ホール1000名)
   7,31  「ちょっと待て、川辺川ダム」第2回街頭パレード

◆会計報告(93、5、17~94、8、24) 
収入の部      金額       備考 
年会費・カンパ    731,673 68名の皆様方より  
イベントなどの収益も含む 助成金 1,100,000 2団体より  
合計       1,831,673
支出の部      金額       備考
郵送費        111,250 
事務用品費      228,220 紙、封筒、文具、印刷外注費など  
雑費         123,181 旅費、消耗品など 
事務所維持費     367,488 家賃、電気、電話、コピー機、印刷機ほか      
合計         830,139 
(収支) 1,831,673-830,139=1,001,534円 
(これまでの個人立替分) 1,001,534-1,116,913=△115、379円
*この期間中は、2団体からの助成金110万円がありましたので、久し振りの黒字会計となりましたが、昨年9月からの個人立替分を補填したために赤字会計となりました。

◆事務所(くま川ハウス)設立のための寄贈 
(大口の寄贈のみ、イニシャルと金額を皆様方にお知らせします)
*F氏より ■事務所改築費  1,380,000円   ■冷蔵庫  75,000円  ■TV・VTR 331,500円   ■コピー機  540,000円  ■看板(3台) 400,000円 
*S氏より  ■クーラー 104,000円   ■ファンヒーター 46,000円  ■電話・FAX 140,000円
*その他、印刷機、水槽セット、台所用品、食器、デスク、扇風機、テーブル、棚、インテリア用品、各種事務用品など、新品からご家庭でいらなくなったものまで、たくさんの品物をたくさんの人達から寄贈していただきました。ありがとうございました!

◆手渡す会は、皆様方のカンパで成り立っています!
 手渡す会の会計は、皆様方の年会費(1000円)とカンパによって成り立っています。支出の方は、運動の急速な盛り上がりと事務所(くま川ハウス)の設立により、会計報告の通り現在赤字財政でやりくりしております。(赤字分は、個人の負担で支えられています。) 会費やカンパには、次の3通りの方法があります。
 ■年会費1000円 …同封の郵便振替用紙でお願い致します。
 ■カンパ      …同封の郵便振替用紙でお願い致します。
 ■定期カンパ(ハウス応援団) …毎月、定額のカンパを、口座の自動引き落としでお願いしております。

 会報「かわうそ」発送時に、毎回郵便振替え用紙を同封させていただきます。手渡す会も結成以来1年が過ぎました。年会費の納入とともに、カンパ(原則として一口1000円で、何口でも結構です)の方にもご協力をお願いします。年会費だけでは、正直なところ郵送費だけで使い切ってしまう状況です。なにとぞ、美しい郷土を未来に手渡すために、皆様方の力をお貸しください。なお、9月からは、年会費とカンパの領収書は、はがきで郵送させていただきます。また、定期カンパ(ハウス応援団)の手続きをされた方は、年会費も兼ねておりますので、同封の郵便振込用紙では納入されなくても結構です。

■郵便振替えの口座は…熊本7-27826「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」まで。
 *毎月定額のカンパ(ハウス応援団)へのお問い合わせは、担当スタッフ 佐藤亮一(TEL24-9929)までお願いします。

◆よりどりみどり・手渡す会グッズ 
Tシャツ、音楽テープ、押し花の絵葉書、清流の石絵……たくさんの方々が、アイデイアをこらした楽しい、心のこもったグッズが続々と完成しています。欲しい方は、球磨川ハウスへ是非お越しください。代金の一部または全部は、カンパとして手渡す会の会計に計上させていただきます。
■「河童とかわうそTシャツ」 1500円 *坂本福治さんの絵がプリントしてあります。
■「清流Tシャツ」 3000円  *西峯多木治さんの手書きの絵です。 
■音楽テープ「五木が泣いている」 1000円 *藤原宏さん坂本福治さん作詞、丸山信一さん曲歌
■押し花で作った絵葉書・うちわ・しおり…200円より*重松美代子さんの作品です。
■毎日新聞連載「再考川辺川ダム」 500円 *福岡記者の取材により、ダム問題がずばり指摘されています。 
■福岡賢正著「国が川を壊す理由」 1550円 *「再考川辺川ダム」が本になりました。
■「川辺川ダム問題調査・対策特別委員会報告議事録 抜粋」 500円  *人吉市議会の貴重な記録です。 
■川石に絵がいた絵 500円より *坂本福治さんの作品です。  
★その他にも、ステッカー、トレーナーなどのオリジナルグッズも現在計画中です。お楽しみに!

◆署名5万人分、人吉市議会へ提出!
  署名にご協力頂き、本当にありがとうございます
◇変わってきた郡市民の意識 
 7・30全国集会を終え、今後は署名活動に重点を置くべきだとのスタッフの意見が多く、8月の下旬からは週に2~3日、午後6時にくま川ハウスに集合して一斉に署名活動を行っています。市民の反応もとてもよく、ほとんどのご家庭が署名に協力していただけます。以前は、「いまさら遅い」等とおっしゃる方も多かったのですが、運動の盛り上がりとともに「やっぱダムは造らんがよかもんな」「頑張って下さい」との声が多くなりました。
 また、テレビや新聞でも、ダム問題が非常にクローズアップされています。ダムの堆砂問題を扱ったニュースステーションの「ダム、砂に埋まる」や、NHKの「農民からの問いかけ~検証・川辺川利水事業」等、くま川ハウスにビデオがありますので、是非見にきて下さい。(ダビングもできます)

◇人吉市議会の動きと署名活動について 
 残念な事に人吉市議会では、9月定例議会において「川辺川ダムの早期完成に関する意見書」を採択しようとしています。これは、人吉市民は川辺川ダムの建設を望んでいるという表明にほかありません。市民の8割以上はダム建設の凍結を望んでいるにもかかわらず、人吉の将来を左右するこの非常に重要な議案は、ほとんどの市民に知らされること無く採択されようとしています。
 そこで、これまで全国から集まった約5万名分の署名(内、人吉市民の署名約1万名分)を、市議会への陳情締切の8月30日に提出することを決定しました。
 議員に、議会に、何とかして市民の声を伝えなければなりません。今後も、署名活動へのご協力をよろしくお願いします。(これまで集められた署名用紙がお手元にありましたなら、至急「くま川ハウス」までお送りください)
  土屋議長(当時)に署名5万人分を提出する重松隆敏事務局長 緒方撮影


    山のような5万人分の署名。木本雅己さんの姿も見える 緒方撮影

◇地区集会について 
 市内の署名活動と同時に、署名を集めている地区周辺の住民の皆様方を対象に、ダム問題を考える「地区集会」を開催しています。8月21日には五日町の若宮神社で、27日には温泉町の老人福祉センターで多くの住民の皆様方の意見を聞くことができました。今後も市内各所でこのような集会を開いて行く予定です。

◇ダムの問題点をみんなに伝えよう! 
 ダムが大きな問題点を抱えていることを、もっともっと多くの人達に伝えましょう。今回、人吉市内にお住まいの方には「昔の球磨川を取り戻すニュース」を同封しました。このようなチラシを、今後2~3週間に1回発行します。これを1人20~100枚程度(ご無理されない範囲で)、ご近所・ご友人・職場などに配っていただけないでしょうか。チラシは「くま川ハウス」にあります。お電話でも結構です。ご協力をお願いします。

◆編集後記 
 早いもので、手渡す会も1周年を迎え、会報を編集するに当たり資料を整理してみたら、出てくる出てくる…!「よくこれだけやれたな」という感慨が込み上げてきました。これも、多くの方々のご賛同があったからです。また、全国のたくさんの団体や仲間たちと連携を深め、運動を進めるようになれたのも大きな成果だと思います。ダム本体着工は、来年度とも言われています。これからが正念場です。美しい郷土を未来に手渡すために、力を合わせて頑張りましょう!(N.O)